『エルデンリング』(DLC含む)をクリアしたネタバレありの感想

17周目を始めますか

『ダークソウル』シリーズで世界的に有名なフロムソフトウェアの待ちに待った新作、『エルデンリング』。

発売日をほんとうに心待ちにしていた作品ですが、PS4版をストーリークリア&裏ボス討伐&10周目以上クリア(+協力用のキャラで2周)しトロフィーコンプしまでやり込んだので、感想をここでまとめます。

エルデンリングをトロフィーコンプリート

ネタバレがありますので、気になる方は「はじめに」以降を読むこと&目次にご注意ください。

2024年6月21日配信のDLCをクリアしたので追記にDLCの感想も記載しています。内容にネタバレが含まれていますので、予めご了承ください。

はじめに

『エルデンリング』はどんなゲームか?特徴を簡潔に述べるなら、オープンワールド(フィールド)の『ダークソウル2』+αです。

広大なフィールドを自由に旅しつつ、『ダークソウル』風のアクションで攻略する。そんなゲームですが、ソウルシリーズと大きく異るのがゲーム攻略の方法論です。

本作では、ソウルシリーズより更にアクション部分の要素が拡張。ジャンプ攻撃やしゃがみ攻撃、ガードカウンター、そして『ダークソウル3』でも登場した戦技システムが更に魅力的となり、導入されています。

その試みは実験的であり、従来のソウルシリーズから更に進化を目指した意欲的な作品になっています。

Ver1.03までは、通常の敵だけでなくボスについて「過剰」とも思える強化が行われているため、「最終的」なクリア後の印象としては、良い点よりも悪い点の印象の方が目立っていました。

しかしVer1.04で今までストレスを感じていた部分、特に中盤以降の難易度に調整が入った結果、『エルデンリング』独自の世界観を楽しむ余裕が持てる内容になりました。

具体的には広大なフィールドの探索、武器防具の豊富さや二刀流のアクション、戦技や召喚を用いた多彩なバトルチョイスといった部分です。

本作を10周以上クリア後、PCの『ダークソウル3』をプレイしてみましたが、アクションRPGとして進化を遂げようとする方向性がしっかりと感じられる、壮大な作品だと感じています。

以下、具体的にご紹介します。

「こんな世界をプレイしたかった!」という壮大なフィールド

ムービーが始まり自分の分身をキャラメイク。

マイキャラ

『エルデンリング』ではストーリーを進めるとキャラメイクはノーコスト(LVの振り直しは専用アイテムが必要)、自由に変更可能できるので安心です。

マイキャラ

自分の分身となるキャラクターを設定。そこからフィールドに飛び出せば、広大で美しい世界が待ち受けています。

フィールド1

「ファンタジー」という言葉がぴったりの幻想的なフィールド。

フィールド4

何かが起こりそうなホラー風のフィールド。

フィールド6

ダンジョンに潜ればつい止まって景色を眺めてしまうような美しい地下世界。

フィールド5

禍々しい気配に満ちた「悪」がいそうなダンジョン。

ダンジョン

フィールド。そしてダンジョン(メイン)の作り込みのレベルは相当のものです。『エルデンリング』をプレイし始めると、時間を忘れてこの世界に魂を吸い込まれそうな、没入感を味わうことができます。

特にメインのダンジョンとなるレガシーダンジョンの作り込みは過去最高レベル。探索のしごたえはかなりのものです。

気になるのはフィールドでの落下死

ただほんとうに、ほんとうに残念なのは、フィールドにおける落下死の仕様です。

目視して「ここは大丈夫かな?」と思うところで落下死し、「ここは無理かも?」ってところが大丈夫だったりします。オープンワールドの探索という楽しい(はずの)要素が、落下死によってストレスを感じる原因なっている点は残念です。

初周の体感難易度は「従来の感覚」でプレイしようとすれば過去最高。ただし

そして肝心なのがゲームの難易度。この独自の世界はつねに、危険に満ちています。『エルデンリング』の世界で待ち受ける化け物たちは、容赦なく、全力でプレイヤーを倒しにきます。

敵の出待ちは当たり前で、集団リンチ、高火力の攻撃、遠距離からの休まることのない狙撃、毒などの罠、物語を進めれば進めるほど、プレイヤーへの敵意を常に意識することになります。

ただし『エルデンリング』の大きな特徴はRPG要素。広い世界を探索し、そこで強い武器や技、召喚要素を集め、プレイヤーを強化していくことによって、難易度が劇的に変わる仕様になっています。

その結果、攻略マップ。そしてボス戦でさえ。必要な準備をすることで、攻略が容易になるバランスになっています。

Ver1.04では、全体的なバランス調整の結果、プレイヤー自ら強化要素を制限することで、従来のソウルシリーズ経験者が期待する「難易度」でプレイすることが可能に。

RPG要素を積極活用するか、自分で要素を制限するか。この点は、プレイヤー次第と言えるでしょう。

ただし、攻略マップによっては難しいというよりはストレスを感じる場面は点在します。たとえばここ。解決のステップに気づけるかどうか。その点は、場面に応じて工夫をこらす必要があります。

鬼畜ダンジョン

中盤以降のマップに関しては、

・敵が硬すぎる(全体的にはまだそう感じる)

・数多すぎる

・過剰な遠距離や範囲攻撃を使われる

といった要素はあるものの、用意されている要素を適切に用いることによって、問題の解決が可能です。

敵の強さもその一つで、以前のレビューで記載していた「敵の度を超えた火力」の問題も全体的な方向性として調整され、没入感を保ったまま、壮大な世界を冒険することが可能です。

プレイヤー自身が難易度を調整可能。この意味で

『エルデンリング』はソウルシリーズの伝統(?)を引き継ぎ「高難易度」がその特徴になっています。

敵は群れで襲ってくるAIになっており、一体を攻撃すれば、なぜか遠方にいた敵も寄ってきてリンチされます。

序盤のうちは敵を引き寄せるモブが行動を起こす前に倒せば問題ないのですが(行動を起こされた場合、次の画像のように7~8体の敵に襲われます)、集団から攻撃される機会が多いのが特徴です。

集団リンチ

序盤のエリアでも、プレイヤーを死亡させようとする罠が、至るところに用意されています。

コウモリの大群

ただし、それはソウルシリーズの感覚でプレイした場合。

本作では、探索によって得られる要素とプレイヤーのLVアップによって、誤解を恐れずに言えば、ゲーム内で「無双」することが可能です。

敵の集団も、「戦灰」とよばれる新しい要素を入手し、フル活用することで、驚くほどあっさり、強敵を倒せるようになっています。

ただし、ソウルシリーズの感覚でそれらの要素を縛って『エルデンリング』をプレイし続けるなら、道中の攻略の難易度は大きく上がるでしょう。この点に関して、評価が分かれると思います。

『エルデンリング』で用意された要素を取得し、2周目でそれらを周回プレイでフル活用すれば。ゲームの難易度についての印象は劇的に変わるでしょう。

個人的には、「一切の縛りをしないならば」クリアの難易度は、とてもフレンドリーだと感じています。

ボス戦の難易度はプレイヤー次第

『エルデンリング』では一般の敵が全般的に強化されているだけでなく、ボス戦の基本動作が大きく強化されているのが特徴です。

攻撃回数やプレイヤーの操作への反応、広範囲ダメージといった要素が追加されており、かつVer1.03までは中盤以降のボスの火力。挙動のスピードがプレイヤーの基本スペックを凌駕していました。

特に中盤からボスの攻撃の火力は異常で、中盤以降はHPが1600かつ防具の平均カット率が25%あっても、ワンパンツーパンで殺されることが少なくありませんでした。

ところが、Ver1.04でボスの挙動やスピードが調整され、こちらだけが一方的に攻撃され続けるようなストレスは解消し、

1・用意された要素をフル活用して、楽々ボスを倒す(一部できないボスもいます)

2・用意された要素をしばり、程よい難易度を自分で確保してボスを倒す

というチョイスが用意されています。

この意味で『エルデンリング』はプレイヤーが自分で難易度を決めることができる作品になった、つまりRPG要素が強い作品と感じます。

各ボスの感想はこちら

ロマンを刺激する要素が満載!

個人的に『エルデンリング』の魅力は世界観。「この世界を体験しないのは損!」といえる、オンリー1の魅力を放っています。

装備品は多彩で、自分のイメージに合う「かっこいい」装備を選択。ロールプレイを楽しむことができます。

イケメン装備

お気に入りはこれ。装備デザインの雰囲気やかっこよさについては、ただただ「すごい!」の一言です。

イケメン装備2

ちなみに防具は軽装化してマントをオフにできるなど、細やかな工夫と配慮が見られ、とても好感を持ちます。

武器に関しても鞘に細かな装飾があったりと、デザイン面のセンス的な部分に関しては圧倒されます。画集が欲しくなるほど、細かく作りこまれています。

魔法等の動作も最高。雷の剣の動作はお気に入り。DQの「ギガブレイク」を思わせる動作はとても魅力的です!

雷の剣

そのほか、ゲームのあらゆる部分におけるユーザビリティはとても親切です。『エルデンリング』ではソウルシリーズにおける「ボスソウルの複製」が可能。面倒なボス戦も一度で済むような仕様が導入されています。

追憶

回数に制限はあれど、ステータスの振り直しも、かんたんに行うことが可能です。

生まれ直し

難易度に関する根本思想や設計、一部の英雄墓やアスレチックなど安直な方法でプレイヤーを倒そうとする仕様にはユーザーによってはストレスを感じる部分が多々あるでしょう。

一方で、それ以外の部分、特に世界観やデザインに関してはほんとうに繊細な作りで、ユーザーへの細かい配慮が感じられます。この作品でしか体験することができない、最高級のエンタテイメントを楽しむことができます。

個性的なNPC

『エルデンリング』ではソウルシリーズの伝統を引き継いだ(?)、魅力的なNPCが多数登場します。1周目では倒してしまいましたが、シリーズ恒例のNPCも登場します。

NPC

万が一倒すと序盤のエリアで協力プレイを楽しめなくなりますのでご注意を。

ただし、シリーズの恒例なのか、非常にグロテスクなイベントが満載です。

NPC2

NPCにはハッピーな末路を迎えてほしい方は、イベント終了後、なんともいえぬ後味の悪さを感じる機会が多いでしょう。

NPC3

ただ中には、貴重なアイテムを入手できるNPCイベントがありますので、NPCによっては毎周回時、イベントをこなす価値があります。

周回の難易度について(カンスト難易度クリア済み)

ソウルシリーズの伝統は周回ごとにアップする難易度。『エルデンリング』でも周回によって敵の強さが上がる模様ですが、2~3周目に限定すれば、ソウルシリーズほど厳しくはないと感じています。

一部のボス(露骨にHPが増えて硬くなります)をのぞいては全般的に何が強くなったのかわからないほど、難易度の上昇は緩やかです。

ソウルシリーズでは7〜8周目が最高難易度だったので、エルデンリングもおそらく8周が難易度のカンストと思われます。

実際に10周以上クリアして感じたのは、敵全般の強さに関しては、2周目3周目4周目あたりは特に変化(一部ボスをのぞく)を実感できず、5周目あたりから少しずつ難しくなっていく、という感じです。

周回プレイにおいて、一部ボスのHPや火力は確かに強くなっており、ワンパン祭りは8周目以降経験します(物理防御175〜177、物理カット率45%、属性カット率30%程度)。

なお周回を重ねると敵の強靭度(ダウンまでの数値?)も強化される模様です。一周目では敵をサクサクダウンさせることができた赤獅子の炎を使っても、一回でダウンが取れなくなります。

ラスボスその1の場合、ダウンさせるために8周目以降で5回ヒット必要になります(1周目は3回だったと記憶しています)。周回によって難易度は上がっていくのは、シリーズ恒例です。

まとめると

広大な世界を旅できる高難易度の『ダークソウル2』。それが『エルデンリング』です。

装備の数や種類、豊富なNPCイベント。作り込まれたダンジョン。かっこいい魔法。これらの要素はソウルシリーズと同等、もしくはそれ以上に魅力的です。

Ver1.03まではストレスを感じたゲームバランスですが、Ver1.04になり個人的には大きくプレイフィールが変わったと感じています。

用意された広い世界を存分に探索し、そこで得た要素を存分に強化していく。それによって最後までこの世界に没頭できる。そんなRPGの醍醐味とも言える体験が可能です。

長くなったのでポイントを絞って書くと次のとおりです。

楽しく感じたこと

・独自の世界観と没入感。時間を忘れて「冒険してる」感は圧倒的。

・多彩な装備と芸術的なデザインセンス。レベルや外見といったキャラのカスタマイズ及びロールプレイの楽しさはオンリー1

・キャラクターを育て、自分のイメージを追求していく楽しさ、強くなっていくプロセスを楽しめる。

・相変わらず一期一会のオンラインプレイが楽しい。王都を最初から最後まで協力プレイできたときは、『ダークソウル3』の大書庫での協力プレイの楽しさを思い出した。時々見える幻影もオンラインの楽しさ。

笑える幻影

気になったこと

・RPG要素が強いため、「自らの腕」のみに頼るプレイには困難が伴う。逆に言えば、用意された要素を制限なく使用すれば、難易度は大幅に下がる。

最後に

以上、長々と書いてきましたが、本作は総合的に見れば最高級の面白さを持つ作品です。それはまさに、DQやFFを経験してきたプレイヤーが想像する「RPG」の世界を具現化した世界です。

武器。キャラクターの育成。広大かつ独特な世界。時間を忘れて仮想世界に浸ることができる、最高の没入感を味わうことができます。

この世界をリアルタイムで体験することができたのは、とても幸運なことだと感じています。最後に、制作及び販売に関わったすべての関係者の方に、感謝を申し上げます。

追記(Ver1.10)

2024年6月、DLCが発売されるということで久しぶりにプレイしてみました。それで感じたことはとてもシンプルです。

「最もかんたんで、最も難しいソウルシリーズ」

エルデンリングはアクションという体をしていますが、その難易度をユーザー側の理解度によって劇的に変えることができます。この意味でその難しさの本質的な部分はアクションというよりRPGと言えます。

敵にはそれぞれ「この攻撃がビンゴで効きます」という最適解があります。その最適解を用いることで、強いモブだろうがボスだろうが、ほとんどの敵を文字通り「瞬殺」できる仕様になっています。

今回久しぶりにプレイしてみて、戦技やバフ等を一切縛らずにカンスト難易度をプレイした結果、一部のボスを除く90%以上の敵を10秒以内で瞬殺できたのは、エルデンリングの難易度の根幹がRPGだからでしょう。

DLCをプレイするために必要な某ボスも、最適解を選ぶことで呪い出血が発動する前にかんたんに瞬殺できます。

その一方で、その敵に向いていない戦略、もしくは旧来のソウルシリーズのプレイ感覚で攻略しようとすると、途端に難易度は跳ね上がってしまいます。

この意味で、エルデンリングをソウルシリーズの系統と考えるならば、「最もかんたんで、最も難しいソウルシリーズ」という印象です。

また、エルデンリングをアクションゲームとして捉えると操作性の問題等(分かりやすいのはローリングが発動するタイミング)などの点で、スッキリしない部分が残ります。

なのでエルデンリングはやはり、SEKIROのようなアクション重視の作品ではなく、RPG的な部分が大きい作品なのだと理解しています。

広いマップを探索し、武器や戦技、魔法を入手する。そしてそれぞれの敵にどの攻撃が適切なのかを考え、ボスに応じた最適解をチョイスする。その結果「瞬殺リング」を実現できる。

そういう作品なのだと思います。

SHADOW OF THE ERDTREEをクリアした感想

DLC(App Ver. 1.12、Regulation Ver. 1.12.1)をカンスト難易度で初プレイ、用意された全てのボスを討伐したので感想を追記します。

DLCのラスボスを倒して

新しい世界に突入するとまず気づくのはその陰影が絶妙に表現された独自の世界。『エルデンリング』のアートディレクションに関しては、まさに、「ゲーム」というカテゴリを超越した耽美的とさえ言える美しさを誇ってます。

この世界をほんのひとときでも滞在するという体験は、映画の世界でもUSJでもディズニーランドで過ごす時間とも違った、オンリーワンの体験をすることができます。その上で注意したいことは、本編よりもさらに人を選ぶ(と感じる)ゲームバランスです。

DLCクリア後に感じたこと。それは本編でも感じていたことですが、『エルデンリング』はアクションというよりも「RPG」を重視した作品である、ということです。

DLCの世界に突入し、その世界を探索中に理解できるのは本編でその片鱗を見せていた敵の過剰とも言える強さによる難易度の急上昇です。

敵の攻撃は苛烈であり、プレイヤーが自由に行動するスキをほとんど見せません。それに対して「よし、敵の動きをマスターして、自分が上手になってクリアしよう」という発想によりDLCの世界を克服しようとするならば、頻繁に理不尽さを感じるかもしれません。

そうではなく発想を変えて、

「自分が使いたい装備、自分の好きなスタイルではなく、その場面に応じた最も効果的な方法でクリアしていこう」

という思考に転換することによって、DLCで用意されている世界を制覇することができます。それに気づいたのは、カンスト難易度でDLCを初プレイしたからかもしれません。

ポイントは「アクション」として楽しもうとしないこと

本編から感じていたことですが、『エルデンリング』は一見するとアクションゲームのように思えますが、そもそもアクションを楽しむ作品ではないと感じています。

その理由ですが、本編の時点で敵全般の動作性能に対するプレイヤー基本性能は大きく劣っています。

加え、攻撃やガード、アイテム使用など、プレイヤーがそれぞれの動作を指示するボタンを押してても、その入力がすぐ反映されず一瞬遅れて反映されるなど、アクションそれ自体が直感的に動くようにはなっていません。

また、アクション部分の重要度を占める回避行動(ローリング)においても回避行動が「ボタンを押した時点」ではなく「ボタンを押して離した段階」で発動します。そのためDLCエリアのボス戦においては本編以上に回避行動は困難を極めます。

PS4、PS5の両方のVerでプレイしましたがその感想は同じです。

また壁際のカメラワークは言うまでもなく、敵の攻撃の当たり判定、つまり視覚による認知が実際の判定と著しくズレているため、純粋なアクションとして楽しもうとするならば、プレイ中に違和感や不自然さを感じないことは困難です。

そしてDLCのボスにおいては、ボスの過剰な攻撃エフェクトによって。「敵が何をしているのかわからない」という状態になりプレイヤーのリアルな視界が奪われます。目隠しをしてプレイをするに等しい状態に陥ることはDLCのボス戦において珍しくはありません。

こうしたことから、アクションゲームとして『エルデンリング』を楽しもうとするのではなく、用意された武器や戦技、魔法といった要素、つまりRPG的な部分を適切に用いるが、作品を楽しむ上で遥かに重要な要素になっていると感じています。

実際、RPGの部分において『エルデンリング』はプレイヤーの性能を補うシステムが完備されています。「猟犬のステップ」などのボタン入力即時反映の回避戦技や、手軽に高火力が出せる各種戦技がまさにそれです。

DLCはこうしたプレイヤーの「補完要素」を活用することが重要で、DLCの理不尽に思えるようなボスに対しても、「これを使えば攻略難易度が劇的に変わりまっせ」というある種の「特攻」が用意されています。

DLCの内容としては本編よりもさらにRPGの部分を理解し、敵に応じて適切な選択を用いるかどうかが、攻略難易度に大きく影響します。

この意味でキャラを強化しつつマップを探索し、手に入れた武器や戦技、魔法の特性を理解し、敵に応じた選択でそれらを用いるならば、カンスト難易度だろうがスムーズにクリアできるバランスになっています。

ただし、RPGよりもアクションとして『エルデンリング』を楽しもうとするならば、その難易度は劇的に上昇するでしょう。

個人的には本編でも感じましたが、「難易度」という面では『SEKIRO』の方がはるかに難しいと感じます。『SEKIRO』はRPG要素というよりも攻略は自分がうまくなるしかない、つまりアクション重視の作品だからです。

求められるのは「技術」ではなく「工夫」

過去の『ソウルシリーズ』を経て『エルデンリング』本編をプレイしてず実感するのはプレイヤーに対する敵のターンの長さでした。「あなたはいつまで攻撃を続けるのですか?」というボス含む敵のムーブに驚いたことは一度や二度ではありませんでした。

DLCにおいてはこの傾向がさらに強まり、基本的にプレイヤーが積極的に攻めの行動によってボスを瞬殺するような方法は難しくなっています。

DLCに登場するボスのなかで、いわゆるソウル系のボスはごく一部(DLCエリアに入って最初に戦える大剣のボスはその典型)で、基本的にどのボスも過剰なほど頻繁に攻撃を繰り返し、こちらが攻撃を挟む隙はとても短くなっています。

かんたんに例えるなら、敵のターンが5~6回終わった後にようやく1回攻撃できるかできないくらいの印象です。そして敵のターンで繰り広げられる攻撃は一発1300~1800程度の被ダメで、大技はワンパンされます。

これはDLCコンテンツで用意されたプレイターの攻撃や防御をアップさせるアイテムを仕様して祝福のレベルを10以上にしかつ重装を装備した段階(カット率は物理60%、属性50%程度)です。

DLCのボスはこのような高火力に加え攻撃回数もとても多く、攻撃範囲や当たり判定も広いため、すべての攻撃が致命的になります。そのため、プレイヤーの貧弱な基本スペックにおいての回避行動はローリスク・ハイリターンです。

DLC初プレイ時はそれを理解せずにプレイした結果、ボス戦に入ってこちらが一回も攻撃をしていないのに瞬殺されてしまうことは珍しくはありませんでした。冗談抜きにボスエリアに入って5秒以内、何もできずに瞬殺された回数は1回や2回ではありません。

また、DLCの中盤以降から登場するボスのほとんどはボスエリア入場とともに攻撃をしかけてきます(遺灰使用に反応している可能性あり)。そのため、

ボスエリアに入る→写し身の遺灰を使う→遺灰使用の硬直中にボスの攻撃でワンパン死亡

という状況が頻繁しました。遺灰を使うなら使うさいの隙をどのようにカバーするのか、工夫する必要があります。

遺灰を使った瞬間に攻撃を仕掛けてくるボスと安全に戦う場合、受けたダメージを回復する霊薬、もしくは1度だけダメージの大半をカットする霊薬を配合しておくことでボスエリア入場後に瞬殺されるリスクを抑えることができます。

なおボスによってはNPCを召喚することもでき、一部ボスに関してはNPC+遺灰(DLCエリアで遺灰の攻撃力を強くできる霊薬も入手できます)を呼ぶ前提の難易度になっているように思えます。

そして着実にクリアしようとするならば、先に述べたとおり重要なのはRPG要素です。

プレイヤー自らがアクション操作の技量を高め、ボスの動きを見切って回避し、攻撃を与えていくというより戦う前に適切な武器や装備、戦灰、NPC、霊薬を考慮し適切なチョイスを選択することが快適な攻略のカギとなっています。

DLCのボスは動きが激しく、プレイヤーはいくら加護を高めようと攻撃が直撃すれば即リトライです。

ボス戦だけでなく道中のいわゆる雑魚でさえ、こちらの攻撃中に無限強靭で反撃する敵が普通に登場します。言うまでもなく被弾すれば大きな痛手を被ります。このような状況なのでDLCでは攻撃重視のスタイルそれ自体が無理があります。

なのでタリスマンは防御重視で選択し「まず死なないこと」を意識することで、最高難易度でもクリアすることは可能なバランスになっていると感じています。

特にDLCのボス戦はそもそもこちらが攻撃できるチャンスがボスに対して極めて少なく、被弾すればいともかんたんに瞬殺されます。

そのためDLCのボス戦は与えるダメージの強さではなく、攻撃の隙のなさや状態異常付与といった工夫や、召喚できるNPC、そして遺灰を上手に活用することがとても重要だと感じています。

追加装備について

DLCでは新規の様々なアイテムが入手可能で、新規武器のムーブセット、かっこよさはとても魅力的です。

ただ、武器や戦技、魔法が多く追加されているもののそれらの実用性は極端です。使えるものはとことん使えて、使えないものの実用性は現時点(App Ver. 1.12、Regulation Ver. 1.12.1)において限りなくゼロです。

防具に関しても、「かっこいい装備」は強靭の関係であまり実用性がなく(敵の攻撃の怯みやすさは高火力の敵が多いDLCで致命的)、結局DLC攻略の快適さを求めるなら、防具選択は本編と同じになってしまいます。

とはいえごく一部ですが、武器及び魔法、そして戦技にはとても実用的なものもあります。更にそのなかには、実用を通りこしてDLCでさえ攻略難易度の大幅な軟化が可能となるものもあります。

それらを使ってボスに挑めば、カンスト難易度だろうとも難易度を劇的に下げることが可能です。この意味でDLCも本編と同じく、探索によるプレイヤーの強化手段を増やす試みがとても重要なバランスとなっています。

DLCのボスについて

1度クリアしただけで感想を書くのは十分ではないと思ったので、周回(カンスト難易度×2)してDLCのボスを再度倒した上でボスについて感じたことを書いてみたいと思います。

結論として1度目は理不尽さを感じたボスが多数でしたが、1度倒してボスの特徴を知り、周回して加護レベルMaxにした上でそれぞれのボスを再討伐してみると、最初の印象とは大きく変わったことに驚いています。

結局DLCのボスも本編のボスと同じく、「最適解」を用いることで大半のボスをスムーズに討伐することができました。初戦では開始5秒と経たず瞬殺されたボスが多数でしたが、周回した結果ラスボスを除きリトライ回数2回以内ですべて討伐ができました。

ボス全般は常に「俺のターン」を継続してきますが、HPそれ自体はカンスト難易度でも状態を異常を用いることでそのタフさに抗うことが可能です。使えるものはすべて使い、最適な立ち回りをすることで、結局本編と同じような印象に落ち着きます。

ただし繰り返しになりますが、用意されたもの(レベルや装備、遺灰、アイテムなど)を縛り、アクションとして己の腕のみで攻略を目指す道を選ぶなら、その「難易度」は尋常ではありません。

「クリアするだけ」ならボスに応じた適切な方法を理解し、用意されたものをすべて用いれば可能です。

楽しいと感じるかどうかは人それぞれとして、

・装備を集める

・加護のレベルを最大限高める

・その上でボスに応じた最適の攻撃法を理解し戦いを挑む

といった準備をすることによってプレイヤーのアクションの腕関係なく、「クリアするだけ」なら誰でもできるバランスとなっていると感じます。

とはいえ、現時点において「難しい」という話とは別の問題だと感じるボスも散見されます。具体的にはイノシシに乗ったボス、そしてラスボスがそれらに該当します。

イノシシに乗ったボスの場合まずボスエリアに入場する段階でプレイヤーの視界を塞いでくること、そして突進の不可解なダメージ判定の問題。

そしてラスボスの場合は第二形態の攻撃の過剰エフェクト及び過剰な攻撃ターンによって、プレイヤーがボスの攻撃を視覚的に認知できないだけでなく、何もできない時間が長すぎること。

2度目の討伐でイノシシに乗ったボスもラスボスも3回のリトライで倒しましたが、討伐後は釈然としないものを感じたことは確かです。

そして言及する必要があることですが、「最適解」が用意されているということは、それから外れた行動は攻略をより困難にすることを意味します。

確かに『エルデンリング』のDLCのボスは理不尽さを感じる行動をしてきますが、先に述べたとおり「最適解」を選ぶことでクリアする敷居は高くはありません。だたし「最適解」とは違う方法で攻略をしようとするならば、難易度は劇的に上昇します。

そのため、過去の『ソウルシリーズ』のように

「私は◯◯ビルドで全DLCボスをクリアします」

「私はこの装備を愛しています。この装備で全DLCボスを倒します」

というのは過去作以上に難しいのではないか、とも感じます。

できないことはありません。ですがクリアの難易度が著しく上昇することは間違いないでしょう。

『エルデンリング』は本編でもDLCでも、敵にはそれぞれ、適切な装備や方法があります。それを使うか使わないかで、感じる難易度は180度変わってしまうくらい、ある意味で難易度のバランスは極端です。

例えば、あなたが本編をプレイしたなら崩れゆくファラム・アズラの「竜の聖堂」の祝福にアクセスし、そのすぐ近くにいるハルバード持ちの失地騎士相手に、

1.片手で触れる直剣や片手斧、片手ハンマーで戦いを挑む

2.大剣二刀流、もしくは特大武器で戦いを挑む

という方法で失地騎士と戦ってみてください。

1の場合、こちらが攻撃しても失地騎士は全くひるまずスパアマで反撃してくるので、こちらは大きなダメージを負い(カンスト難易度の終盤失地騎士の攻撃もこちらを2パン、よくて3パンしてきます)、場合によっては連撃で瞬殺されます。

ところが2の場合、こちらの攻撃で失地騎士が怯むため、プレイヤーが「ずっと俺のターン」が可能で一方的かつかんたん、そしてストレスレスに倒せます。

「敵に応じた効果的な武器や戦技を選び戦いに挑むことで難易度は劇的に下がる」という傾向がDLCにおいて顕著にわかりやすいのは懲罰砦に出現する両刃武器を持った黒騎士のボスです。

正々堂々正面から戦いを挑めば、一撃でこちらのHPを7割削ってくる両刃武器(カンスト周回時)による連撃を延々と繰り返し、プレイヤーが攻撃を挟むスキは極めて限定的です。

ところが、「ある戦技」をこちらが使うだけでボスは何もできず、プレイヤーこそが延々と「ずっと俺のターン」状態になります。難易度のバランスとしてはプレイヤーが選ぶ選択によって、極端なほどに変わります。

このように『エルデンリング』は本編DLCあわせて、ある選択で戦えばバトルが楽になるけど、その敵に合わない選択で戦えば難易度が過剰に上がるというような、バランスの揺れ幅が広い点が特徴です。

なので、本編でもDLCで、敵にやられたときはそれを「自分の操作が悪かったから死んだ」と考えるのではなく、「武器や装備のチョイスが悪かった」と考える方が『エルデンリング』を楽しむことができるでしょう。

すなわち、

「武器A戦技Aで延々と戦っても勝てなかった敵に武器B戦技Bで戦ったとたんかんたんに倒せた」

ということが起こるのが『エルデンリング』です。だからこそ重要なのはアクションではなくRPGなのだと、感じています。

『エルデンリング』には様々な武器が用意されているものの、この難易度設計によって本編及びDLCで手に入る大半の武器はただのコレクションに終わっています。

自分の好みやこだわりを優先すれば難易度が上がりすぎて「楽しい」というよりも「ストレス」を感じてしまう。用意された自分の好みの装備を自由に活用できない(特にDLC)という状態に陥ってしまうことを、残念に感じます。

敵がそれぞれの最適な方法で戦うかいなかによって難易度が変わりすぎてしまうことによって、用意されている大量の装備、魔法が使い道をほとんど感じることができない「コレクション」になっているという印象です。

最後に

以上、DLCの感想について書いてきましたが、感想としてはより本編の内容を特化させた内容、すなわちRPG的な要素がより強まった内容だったと感じています。

それはよく言えば戦略的な攻略が求められる作品であり、悪く言えばプレイヤーの攻略スタイルを制限する作品であると言えます。

どんなボスが登場しどのような行動をしてくるのか。それらを理解した上で自分自身がアクションの技術力を磨くというよりも、マップを探索してこちらが取りうる選択肢を増やす。

そしてその選択肢のなかで最も適切なものをチョイスしていく。すると「これは無理では?」と思えるようなボスもすんなりと攻略することが可能です。

とはいえ、敵の強さに関して不自然さが感じられるのも確かでしょう。敵の過剰なターンはもちろんのこと、敵の火力はあまりに盛られ過ぎていると感じています。

現状(App Ver. 1.12、Regulation Ver. 1.12.1)として加護のレベルMaxにし、HP2065あって物理カット73%、魔法カット63%のカット率なのにワンパンされてしまう、難易度を語る以前の敵が多数存在します。

例えば砦にいるエンシスの城砦にいるカーリアの特大剣持ちのNPC騎士。特大剣の攻撃を受ければすべてワンパンされボスよりも更に高い火力を誇ります。倒してもカンスト周回で獲得ソウルは3859です。

またイベントで侵入してくるとあるNPCが使う浮遊魔法は、こちらが盾を構えているにも関わらず盾を貫通してワンパンしてきます。上記加護レベルMax、H2065からラダーンの大ルーンでHPを2300以上にし、更に魔法カット率63%の状態で、です。

現時点(App Ver. 1.12、Regulation Ver. 1.12.1)では人型NPCの攻撃、特に属性ダメージに関しては「加護のレベルが全く反映されていないのでは?」と思うほど、信じられないほどの高火力でこちらをワンパンしてきます。

ワンパンマンは敵対NPCだけなくモブ兵もそうで、赤い投擲物の3連弾が当たれば即死します。

このような過剰と感じられる敵の攻撃力については本編でも一部の雑魚敵が持っていて、『エルデンリング』本編で王都ローデイルで登場する上流小姓の3連ボーガンも異常な火力でこちらをワンパンしてきました。

おそらく属性のダメージ判定それ自体が、『エルデンリング』では格別強く設定されているか、ダメージ計算式に何か問題があると思われます。

また、そこらにいる普通のモブでさえ加護を最高レベルにも関わらず異常な火力を叩き出します。ハエ男やスライムの拘束攻撃はHPの95%を削ってきますので、少しでも被弾している状態でそれを受ければワンパンです。

DLCエリアの至るところにいる兵士たちですら、カンスト世界では装備でカット率を高め加護を最大にしても攻撃を受ければ2発(HP2065でさえ)で倒されます。

現状として、『エルデンリング』のDLCの高難易度の演出は、

・敵を異常なほどの高火力にする

・その上でこちらの回避を難しくして敵の攻撃回数を増やす(プレイヤーの被弾リスクが高まる→すぐ死ぬ)

というのがそのベースで、マップ探索においては上記の要素に加え、

・集団リンチ(全ダンジョンのデフォルト仕様)や不意打ちの高火力拘束攻撃(ハエのモブやスライム、デオの指遺跡の長距離から放たれるヘビの拘束魔法がそれ)

・一方的な遠距離攻撃(例えば地下墓にいる火の砲弾を放ってくるインプやマシンガンのような魔法を打ってくる敵)

となっており、「これをしたら難しくなります」という要素がすべて含まれる印象です。

現時点では初見プレイ時のバランスは極限まで尖っており、クリアするだけなら可能(というか「こだわり」を捨てればむしろ簡単)ですがそこに楽しさを感じるか。達成感を感じるか。プレイヤー全体の評価に、関心を抱いています。

なお、初回DLCクリア後、改めてマレニアや本編後半のボスをDLCボスとの違いを体感すべく討伐してみました。その結果マレニアのムーブを極めて普通に感じ、マリケスはあまりに弱すぎ、ホーラ・ルーやラダゴンのムーブさえも難しさを感じませんでした。

マレニアは別として、ホーラ・ルーやラダゴンは、「最適化」した装備をしなくても倒すことができますし、過去の作品においてはプレイヤー側がロールプレイを楽しむ余裕があったように感じます。

そして、ボスに関しても難しくはあれど、納得感を感じる、そして戦いそれ自体に楽しみを感じ、討伐方法に関しても多様性がありました。

たとえばプレイヤーの評価が高い『ダークソウル3』のDLC2で登場したラスボス及び隠しボス。ラスボスは正面から戦い倒すこともできますし、ある状態異常にさせて逃げ回ることで低いレベルでも安全・かんたんに倒すことができます。

隠しボスに関しても効率的に倒すことができる解法があるものの、とある魔法を使うことで時間はかかりますが安全に倒すこともできます。過去作においては難しい、けれども難しさに余裕とプレイヤーが選びうる選択肢の幅があったのは確かです。

だからこそ協力プレイでもそれぞれの個性ある装備の白霊や遊び心のある赤霊との邂逅が、『ソウルシリーズ』の大きな魅力になっていたと感じています。もちろん、勝利最優先の「ガチ」な方もいましたが。

今後『エルデンリング』のDLCが提示した難しさが今後どこまで進み、それがどう評価されるのか。その結末に興味を持っています。