マーティンD-28、ギブソンJ-45、K.Yairi YW-1000を比較してみた

D-28のアップ写真

アコギの名器として知られるマーティンD-28、ギブソンJ-45、国産の名ギターとして名高いK.Yairi YW-1000。

ここでは、この3つのアコギを、価格、音、演奏スタイル、対応ジャンルなどで比較。それぞれのギターの特徴をまとめました。

個人の感想です。各ギターの優劣を云々する意図はありません。

基礎知識

マーティン D-28

アコギの王様。アコギのスタンダードモデル。音、鳴り、対応ジャンル、全てにおいてハイレベル。クセのないギター。

ギブソン J-45

ギブソンアコギのスタンダードモデル。個性の強いアコギだが、男らしいストローク音はこのギターだけが持つ独特の魅力がある。

K.Yairi YW-1000

海外でも評価の高い国産ギターメーカー、K.ヤイリの代表モデル。硬質でクリア、きらびやかな音が特徴。

価格帯

マーティン D-28>K.ヤイリ YW-1000=ギブソン J-45

D-28が一番高く、YW-1000とJ-45が同じくらいの価格帯です。

音の方向性

個性が違うため、比較不能です。

ただし、音の系統的に、マーティン D-28とK.ヤイリ YW-1000は近いように感じました。ギブソン J-45は別物です。

繊細で綺麗なD-28、きらびやかだけど硬質な音のYW-1000というイメージです。J-45はクセのある「濃い」音ですが、中毒性があります。

音の繊細さ

マーティン D-28>K.ヤイリ YW-1000>ギブソン-J45

コードの和音、アルペジオの音の粒立ち、音の繊細さではD-28が一番。YW-1000も綺麗な音がしますが、D-28より音が硬く、クリアな音がします。

マーティンの音はともかく柔らかいです。高音でも「キン!」とした耳障りな音ではなくて、ソフトで繊細、柔らかい音がするので、響きがとてもキレイです。

ヤイリの場合、キレイ系の音なのは間違いありませんが、マーティンに比べ、硬質で、音にコシがあります。なので、最初は気になるかもしれません。

ギターを弾きこんでいくとこのコシが少し柔らかくなって、まろやかになってきます。

J-45に関しては、D-28やYW-1000とは方向性が全く違います。粘りのある音で、いわゆるアコギのキレイな音とはちょっとイメージが違うので、マーティンやヤイリとは単純な比較は難しいです。

ギターの鳴り

マーティン D-28>ギブソン J-45>K.ヤイリ YW-1000

鳴りはD-28がダントツです。ギターのボディ全体から音が鳴るのを実感できます。YW-1000は弦鳴が強く、ボディの鳴りが弱いように感じます。

ストローク

ギブソン J-45>マーティン D-28>K.ヤイリ YW-1000

コードストロークの気持ちよさはJ-45。このギターはストロークが本当に気持ち良いです。D-28もストロークプレイは可能ですが、ソフトで繊細なストローク音になります。

YW-1000は、J-45のジャカジャカしたストローク音にきらびやかさを加味したような、独特の音になります。

アルペジオ

マーティン D-28=ギブソン J-45=K.ヤイリ YW-1000

どのギターも、アルペジオプレイ対応。それぞれ味があって、音の優劣はつけることができません。

ソロギター

マーティン D-28=K.ヤイリ YW1000>ギブソン J45

ソロギターを弾くなら、J-45は正直厳しいかも(ブルース系はのぞく)。D-28、YW-1000は、ソロギターでギターらしい音色を楽しむことができます。

D-28とJ-45について

マーティンとギブソン、どちらもアメリカのトップメーカーですが、マーティンのD-28とギブソンのJ-45、全く別物と言ってよいほど、音色や演奏した感触が違います。

パッと、ギターを弾いてみて、多くの人が「このギター、いいね!」と言ってくれるのがマーティンのD-28だと思います。

繊細でクセのない、色がある音色を奏でてくれる名器で、本当にD-28は美しい音が出ます。ギターの作りも丁寧で、見た目もキレイです。

一方、ギブソンJ-45はというと、かなりクセが強いです。ストロークにしても、アルペジオプレイにしても、多分好き嫌いが分かれると思います。

この楽器の魅力であるガツンガツンしたストロークプレイでも、「男らしい音がいい」という人、「うるさい」と感じる人、分かれてくると思います。

しかも、J-45は、正直、作りが丁寧とは言いがたいですし、サンバーストの塗装は、汚れが意外に目立ちます。少しギターを弾くと、指紋やら手垢やらで、塗装が汚れてしまいます。キレイに保つのも、気を使います。

音にはクセがあって、作りもあまり丁寧ではない。にも関わらず、J-45はこのギターだけが持つ、独特の魅力があります。これは、論理的には説明できず、J-45をジャカジャカ弾いて「これはいい!」と思った方なら、納得してもらえると思います。

D-28もJ-45も、どちらも魅力的なギターには違いありません。ただ、それぞれ個性が全く違うギターなので、一概に「こちらがいい!」とは甲乙つけがたいと思います。

ブルースや弾き語りのためのコードストロークならJ45、アルペジオやソロギターを楽しむならD-28という具合に、私は演奏する曲に応じて、ギターを使い分けて楽しんでいます。

D-28とYW1000について

私が初めて購入した本格アコギが、K.ヤイリのYW-1000。「国産ギターで、丁寧に作られているからいいよ」というギターに詳しい友人のススメで購入したアコギです。

このギターを買うまでは、アコギの知識はあまりなかったのですが、YW-1000購入後、アコギの美しい音色にスッカリハマってしまい、ギターの教本や楽譜、アコギのモデルの研究など、新しい世界を見せてくれることになりました。

アコギのことをいろいろ調べるうちに、YW-1000がマーティンの最高級モデル、D-45のコピーモデルであることを知るのですが、確かに楽器の方向性としては、マーティンと近いと思います。

それで、実際の音なのですが、D-28もYW-1000も、いわゆる「キレイ」系の音です。音の系統から言えば、D-28もYW-1000も同じだと思います。

ただ、音質、深み、鳴りの面で言えば、D-28の方が繊細で鈴鳴る美しい音色のように思います。YW-1000の場合、音がどちらかというと硬くて、音が絞まった感触がします。

ストロークをしても、D-28は弦一本一本が柔らかく響いて、鈴が鳴るような、繊細なストロークの音色が出ます。YW-1000の場合、クリアでアタック感の強いストローク音が出ます。

単純化して表現すると、J-45のストロークをよりマーティンに近づけたイメージです。YW-1000のサスティンは、D-28より短いように感じます。

ギターの鳴りですが、この点に限って言えば、D-28の方が圧倒的でした。ギターの音の大きさ、深みや広がりはD-28の方が良いです。

YW-1000は、鳴りに関しては、イマイチ弱いのが正直なところ。D-28のように、ギターのボディ全体が鳴っている感じがなく、弦の音が強調されている感じがしました。

オール単板のD-28と、サイド&バックが合板のYW-1000では作りが違うので、そこら辺がギターの鳴りに影響しているのかもしれません。

ただ、肝心の音に関しては、D-28もYW-1000も、どちらも魅力的な音がするので、音の良し悪しは、はっきり言って好みのレベルになります。

D-28にはD-28の良さが、YW-1000にはYW-1000の良さがありますので、そのときの気分や用途で使い分けるのが一番かもしれません。

最後に

ここで比較しているマーティンD-28、ギブソンJ-45、K.Yairi YW-1000、3つのギターは、どれも人気の高いギターです。ただ、価格、音色、方向性は、それぞれ違いがあります。

このページでは、音色などを比較していますが、「このギターが一番良い!」とギターの優劣を云々するつもりはなく、それぞれのギターの個性を分かりやすく整理することを目的にしています。

マーティンD-28、ギブソンJ-45、K.Yairi YW-1000、どのギターも、それぞれの魅力を持った素晴らしいギターだと思います。

「定番」には理由あり、この記事を書くために、それぞれのギターの音を慎重に聴き比べてみましたが、本当にそれぞれ、良さがあります。

マーティンにギブソンにK.ヤイリ。多くの人から支持されているのには、やはり理由があるものだと、あらためて実感します。