TuneCore Japanの著作権管理サービスの特徴と利用における注意点

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URL:https://www.tunecore.co.jp/publishing

この記事では、音楽配信サービスで知られるTuneCore Japanの著作権管理サービスの特徴及び、利用前に知っておきたい注意点等をまとめています。

著作権管理について日本ではJASRACなどが知られていますが、

1.JASRACを利用する場合はすべての作品を委託管理しなければいけない(=所持しているすべての作品及び今後作られる作品の著作権管理を委託する必要がある

2.JASRACを利用するためには全国販売や大手メディアでの放送などの実績が必要とされる

などの課題があり、個人クリエイターが利用するには敷居が高い現実があります。

そこでこの記事では、既存のサービスとの違いを押さえつつ、TuneCore Japanの著作権管理サービスについてご紹介します。作品の著作権管理に関心を持つ個人のクリエイターの方の参考になれば幸いです。

この記事は必要な内容をわかりやすくまとめるため、「著作権管理サービスとは?」「なぜ著作権管理サービスを使うのか?」といった内容は含んでいません。

記事の執筆にあたってはTuneCore Japanに疑問点の問い合わせを行っていますが、内容の正確性を保証するものではありません。サービスの利用に関してはご自身で気になる点を確認することをおすすめします。

はじめに

TuneCore Japanの著作権管理サービスはクリエイターが「作品単位」で著作権の委託管理を行うことができるサービスです。

JASRACに作品の著作権管理を行う上での大きな壁の一つが、「JASRACに作品の著作権管理を委任する場合は曲単位ではなく今あるすべての作品及び今後制作されるすべての作品の著作権管理を依頼することになる」という点です。

また依頼にあたってはその作品の実績等もサービス利用における条件となるため、個人のクリエイターが気軽に利用を申し込むのは難しいサービスです。

一方、TuneCore Japanの著作権管理サービスは著作権管理を依頼したい作品を「曲単位」で登録が可能です。そのため、著作権管理を依頼したい作品とそうでない作品の活用用途を考えた上で、柔軟に作品を管理することが可能です。

主にJASRACが著作権の使用料徴収を行うようです。

そしてTuneCore Japanの著作権管理サービスを利用するにあたって必要なのはTuneCore Japanのアカウント。TuneCore Japanの音楽配信サービスを利用する必要はありません。個人のクリエイターが作品の著作権管理するための方法として、注目する価値があります。

TuneCore Japanの著作権管理サービスは有料?料金は?

2024年3月現在、TuneCore Japanの著作権管理サービスは無料で利用することができます。徴収された著作権使用料のうち15%がTuneCore Japanへの手数料となります。

著作権譲渡期間は1年間で契約は1年ごとに自動更新される仕組みになっています。更新料も無料です。

ただし公式HPに「著作権管理サービスの利用料金が変更される可能性がある」という趣旨の記載があります。利用料金は2024年現在無料ですが利用料無料が永久に保証されているわけではありません。利用料は今後、変更される可能性があります。

注意点。場合によっては「自分の作品の著作権使用料を払う」ことも

TuneCore Japanの著作権管理サービスを利用する上で知っておきたいのが、「著作権管理を委託した(自分の)作品を使うことで、著作権使用料を支払う必要がある場合がある」という可能性です。

例えば、

1.動画投稿(配信ストアで自分が自分の作品を視聴する場合や、自分のYouTubeチャンネルにて動画作品としてアップロードする場合はTuneCore Japanの許諾や著作権使用料の支払いは不必要)

2.自分の作品が含まれる同人CDの販売

3.個人サイトでの作品公開

4.イベントでの使用

などの場合が考えれます。

ドワンゴ(ニコニコ)の「楽曲収益化サービス」でも著作権管理サービスに対応していますが、こちらは事前に申請することで「免除申請」を行うことができます(こちらの記載、外部リンク)。

TuneCore Japanの著作権管理サービスを利用して、自分自身が作品の利用者となった場合、著作権管理を行う団体(主にJASRAC)に申請し、使用料を支払う必要があるとのことです。

流れとしては、

1.JASRACへ利用の申請を行い著作権使用料を支払う

2.JASRACからTuneCore Japan(作品管理を行う出版社としての立場)に使用料が支払われる

3.最終的に著作者へと支払われる

という形になるようです。

「自分の作品を使うのだから、最初に免除申請はできないのか?」という話なのですが、利用に関しては作品の使用用途や範囲についてJASRACが詳細を定めており、TuneCore JapanではなくJASRAC側に直接問い合わせを行う必要があるとのことです。

自分の作品を使った場合でも、自己使用ではなく著作権使用料を支払う可能性がある、ということを押さえておく必要があります。自己使用が認められた場合、著作権使用料の支払いは免除されます。

著作権管理サービスを利用した作品をライセンスフリーの音楽素材販売サイトなどで販売することはできない、という点も押さえておく必要があります。

中途解約はできるか?

TuneCore Japanの著作権管理サービスの著作権譲渡期間は1年間です。「問題は途中で管理委託をやめたくなったらどうなるか?」という話ですが、原則的に「譲渡期間内」での管理停止はできません。

著作権譲渡期間の満了日「3ヶ月前まで」にTuneCore Japanに届けることによって、著作権管理サービスの管理停止が可能です。管理停止を依頼しても違約金は発生しません。

管理停止は可能ですが、音楽配信などのように「今すぐ中止します」という形にはできず、著作権譲渡期間(1年間)は管理停止ができないイメージです。

基本的には、ある会社の著作権管理サービスを利用することでその会社のサービスを使い続けることになるため、最初にどの会社のサービスを選ぶのか?しっかり調べた上で利用を決定することが大切だと感じています。

なおTuneCore Japan同様、曲単位で著作権管理を委託できるドワンゴ(ニコニコ)の「楽曲収益化サービス」では著作管理譲渡期間が10年間となっています。

1年毎の更新がベストなのか、10年毎の更新がベストなのか、その点は個人の考え方によるでしょう。更新期間を考えてサービスの選択を検討する必要があります。

TuneCore Japanの著作権管理サービス 重要ポイントまとめ

1.「曲単位」でJASRACなどの著作権管理団体に著作権の委託管理が可能

2.利用料は2024年現在無料。初期費用、更新費用ともに無料。TuneCore Japanには回収された著作権使用料の15%を手数料として支払う

3.契約期間は1年間。解約したい場合は「契約満了日3ヶ月前まで」に管理停止依頼を行うことで、1年間の契約満了日に管理停止が可能

4.著作権使用料の徴収はJASRACが代行する模様。作品を使用する場合「自分の作品でも」まず著作権使用料を支払う必要がある場合がある。自己使用による事前の免除申請はTuneCore JapanではなくJASRACに行う

最後に

TuneCore Japanの著作権管理サービスについて、基本的なサービスの特徴や注意点、そして私自身が個人のクリエイターとしてサービスを利用する上で「知りたい」と思ったことを中心に記事を書きました。

TuneCore Japanのアカウントさえあれば今すぐ申請が可能で2024年現在では利用は完全無料。実質1年間の制限があるものの、管理依頼を中止も可能となっています。

ちなみに、サービスの疑問点を明確にするためにサポートセンターに対して4回問い合わせを行いました。いずれの回答も迅速かつ明瞭でした。

著作権管理サービスは基本的には一度依頼したサービスを使い続けることになります。気になる点を迅速かつ明瞭に確認した上でサービスを利用したい方にとって、真剣に利用を検討する価値があるサービスとなるでしょう。

個人的な感想として、

1.管理画面の使いやすさ

2.サポート体制の迅速さ=問題発生時の解決しやすさ、疑問点の解決しやすさ

の2点において、大きな魅力を感じています。

特にサポートの迅速さと問い合わせ内容に関する対応については特筆すべきポイントです。真剣に音楽に取り組みたい方にとってTuneCone Japanのサービスは、まさにそのニーズに答えるサービスと言えるでしょう。

以上、TuneCore Japanの著作権管理サービスについて気になっている方の参考になれば幸いです。