『半沢直樹』や『下町ロケット』でお馴染み、池井戸潤さん原作のドラマ『空飛ぶタイヤ』の感想です。
池井戸潤さん原作のドラマは、社会派の硬派な内容が多いですが、『空飛ぶタイヤ』も例外ではありません。
このドラマのテーマは自動車関連の大企業によるリコール隠し。2002年の三菱ふそうの脱輪事故や三菱自動車のリコール隠しが元になっているそうで、リアリティに溢れた社会派ドラマになっています。
ストーリー
『空飛ぶタイヤ』の主人公は、赤松運送という小さな運送会社を営む赤松徳郎(仲村トオル)。
ある日、赤松運送のトラックが平坦な道を走行中に脱輪、33歳の主婦と子どもを轢き、主婦は死亡、子どもは重症の大事故に。
事故の原因は、赤松運送の整備士によるトラックの整備不良にあると思われ、この事故によって、赤松運送は倒産寸前に。取引先や銀行、全てから見放されてしまいます。
事故の結果、赤松運送の社員は世間からの攻撃にさらされます。徳郎の息子も、「人殺しの息子」といじめられてしまいます。
しかし、徳郎は事故原因について疑問を抱き、独自に調査を開始。調査を進めるうち、事故の原因はトラック自体の欠陥にあることが分かってきます。
徳郎は、トラックの販売元であるホープ自動車に真相究明を求め、戦いを挑むわけですが、この展開がともかく熱い!
最初のトラック事故の場面から、スッとストーリーに引きこまれ、気づけば、DVDをあっという間に全巻観てしまっています。
事故によって絶対絶妙に追い込まれていく徳郎と、その影響を受け苦しむ徳郎の家族が、苦しみながらも「正しい在り方」を求め、信念を曲げずに戦い続ける。
人生、どうあると、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると主張することは、やはりカッコイイものです。
登場人物について
『空飛ぶタイヤ』では、『半沢直樹』や『下町ロケット』と同じく、ワル専門の人、ちょいワルイヤな人、組織人として複雑な思いを持ちながら動く人、様々な人物が出てきます。
PTA会長になりたいがため、徳郎一家を精神的に追い詰めるおばさん。娘の女の子は徳郎に陰湿ないじめをするいじめっ子。
組織の悪を知りながら組織と自分の将来を予想して動く男。諸悪の根源、倫理観を捨て去り悪に身を染めた男。
しかし、池井戸潤さん原作のドラマは、人の権力欲とか、そういったダークな欲と人間の立ち振舞いが面白いです。
このドラマはあくまでドラマの世界なのですが、実際、このドラマに出ているキャラクターたちが、この現実世界に登場していてもおかしくないような、リアリティさがあります。
エンタティメントとして面白いのはもちろんのこと、社会の在り方、人としての在り方、様々なことを考えさせられる、素晴らしいドラマでした。