「ヴィンテージなんてセールストークだろ」と思っていた時期がありました。このギターと出会うまでは

ハードケース

ギブソン LG-3のヴィンテージギター購入記録と感想です。

人生初となる50年製の古いギブソンのヴィンテージギターを入手。購入から弾き心地など、実際に感じたことや気づいたことをまとめています。

「アコギならヴィンテージがいいって本当?」と気になっている方の参考になれば幸いです。

購入の経緯など

東京御茶ノ水で、マーティンの000シリーズのような、少し小ぶりなギターを物色していたところ、とある楽器やさんで、強烈なオーラを放つギターを発見。試奏させてもらったところ、音に一目惚れ。購入しました。

購入したのはこちらのギターです。メーカーはギブソン、機種はLG-3というタイプのギターです。

1950年製ギブソンLG-3

このギターは、いわゆるヴィンテージギターと呼ばれるタイプのギター。

愛好家によると、木材の質などが、現行のものとは違うそうです。ギブソンのロゴ、ピックガードの形から、1948年~51年に製造されたギターだそう。

ギブソンのロゴ。gとiの部分の「・」がくっついています。

ヘッド

1942年~55年まで使用されていたティアドロップのピックガード。

ピックガード

ペグはボロボロですが、昔のものです。少し固いですが、きちんとチューニングもできます。

ペグ

サウンドホール周りは塗装が取れています。

サウンドホール

指板は問題なし。フレットは打ち直してあります。

指板

このギターにケースはついていなかったのですが、楽器屋さんがサービスでハードケースをつけてくれました。

ハードケース

新品の音とどう違う?

このギターは、楽器屋さんで試奏させてもらったとき、一発で「コレだ!」と確信しました。

音の反応が良くて、弦を弾いたイメージと、音がピタリと一致します。おまけに、音を出したときのギター全体の響きの良さには絶句してしまうほど

J-45などのドレッドノートタイプのアコギと比較すると、さすがに低音部分は弱いですが、それでもギター全体が、ヴィンヴィンと振動しているのを実感。

ローコードをジャラーンと弾くだけで、低音から高音まで、ギターが鳴っているのを感じます。文字通り、ギターがボディから振動、音を出しています。

アルペジオでプレイしても、ピックでコードストロークをしても、「え、なんでこんな小さいギターからこんな大きくて深みのある音がするの?」というくらい、良い音が。

楽器の状態も良く、プレイアビリティも高いので、現役でガンガン使えます。

ヴィンテージギターを買う価値はあるか?

以前から、ギターに詳しい友人たちから、「アコギは昔のもの、特に70年代より前のものがいい」ということを聞かされていましたが、正直、眉唾ものだと思っていました。

愛用している現行のギブソンJ-45にマーティンのD-28、どちらも好みの音ですし、「ヴィンテージギター=商売上手な人が考えたマーケティング戦略」というイメージしかありませんでした。

しかし・・・。実際、自分でヴィンテージギターを弾いて、その考えを改めました。

今回購入したギブソンLG-3のほか、金額にするとかなりの額になるヴィンテージギターを数軒のお店で試奏したのですが、良いヴィンテージギターは、鳥肌が立つくらい、素晴らしい音でした。

もちろん、すべてが良かったわけではありません。なかには「・・・?」という個体もありました。

【試奏したヴィンテージのギター】

・ギブソン LGシリーズ数本(1950年代~1960年代のもの数本)

・マーティンD-28(1960年代のサイド&バックがハカランダのもの)

単音を弾いても、コードを弾いても、アルペジオで弾いても、ピックを持ってガンガン弾いても、音の深み、音の大きさ、何もかもが新しいギターとは違います。

「鳴り」の違いは一発で分かる!

一番感動したのは、ギターの鳴りです。

文字通り、ギター全体が音を振動させている感覚があって、ボリュームや響きが、新品のものとは全く違いました。これだけは、多分誰が聴いても、違いが分かると断言できるほど、違いが明らかでした。

小ぶりなボディから発せられる深みのある音。弦の響きも、現行のギターとは別ものでした。

愛用している2013年製のJ-45も良いですが、音の深み、ギターの乾いた独特の鳴りだけは、ヴィンテージならでは。

やはり、アコースティックギターは、木材のこともあるかもしれませんが、長年しっかり弾きこまれることによって、音が育っていくのかもしれません。

新品とヴィンテージの違いはこちらにまとめています。興味をお持ちの方はあわせてご覧ください。

最後に

今回、ギブソンLG-3が初めて買ったヴィンテージギターになりましたが、「市場や専門家、ギターに詳しい人が良いというものには理由がある」ということを身をもって体験しました。

もちろん、ヴィンテージが絶対と礼賛するつもりはありませんが、古いギターにしろ新しいギターにしろ、先入観を持たず、まずはギターを弾いてみて、素直に良し悪しを判断するのが一番だと思いました。

それにしても、1950年代初頭に作られた古いギターが、今も現役で使えることに驚きを感じます。

しかも、そのサウンドは熟した何とも言えない素晴らしい音。確かにこの音を知ってしまったら、ヴィンテージにハマるのも、無理もないかもしれません。

骨董趣味ではなく、普通に現役で使え、しかも良い音がする。これは単純に驚きでした。

今は、このギターがきっかけで、ヴィンテージギターにハマって破産してしまうことを恐れています。