『エルデンリング』をクリアしたネタバレありの感想

17周目を始めますか

『ダークソウル』シリーズで世界的に有名なフロムソフトウェアの待ちに待った新作、『エルデンリング』。

発売日をほんとうに心待ちにしていた作品ですが、PS4版をストーリークリア&裏ボス討伐&10周目以上クリア(+協力用のキャラで2周)しトロフィーコンプしまでやり込んだので、感想をここでまとめます。

エルデンリングをトロフィーコンプリート

ネタバレがありますので、気になる方は「はじめに」以降を読むこと&目次にご注意ください。

レビューの感想は

1・6周目と冬山の巨人討伐までがVer. 1.02

2・7〜8周目をVer. 1.03

3・9〜15周目をVer. 1.03.2

4・16周目をVer1.04

5・17周目をVer1.08.1

でプレイした体験をもとに書いています。

結論を書くと、Ver1.04のアップデートにてゲームプレイの印象が大きく変わりました。この作品でしか味わうことができない体験に没頭できる作品だと感じています。

はじめに

『エルデンリング』はどんなゲームか?特徴を簡潔に述べるなら、オープンワールド(フィールド)の『ダークソウル2』+αです。

広大なフィールドを自由に旅しつつ、『ダークソウル』風のアクションで攻略する。そんなゲームですが、ソウルシリーズと大きく異るのがゲーム攻略の方法論です。

本作では、ソウルシリーズより更にアクション部分の要素が拡張。ジャンプ攻撃やしゃがみ攻撃、ガードカウンター、そして『ダークソウル3』でも登場した戦技システムが更に魅力的となり、導入されています。

その試みは実験的であり、従来のソウルシリーズから更に進化を目指した意欲的な作品になっています。

Ver1.03までは、通常の敵だけでなくボスについて「過剰」とも思える強化が行われているため、「最終的」なクリア後の印象としては、良い点よりも悪い点の印象の方が目立っていました。

しかしVer1.04で今までストレスを感じていた部分、特に中盤以降の難易度に調整が入った結果、『エルデンリング』独自の世界観を楽しむ余裕が持てる内容になりました。

具体的には広大なフィールドの探索、武器防具の豊富さや二刀流のアクション、戦技や召喚を用いた多彩なバトルチョイスといった部分です。

本作を10周以上クリア後、PCの『ダークソウル3』をプレイしてみましたが、アクションRPGとして進化を遂げようとする方向性がしっかりと感じられる、壮大な作品だと感じています。

以下、具体的にご紹介します。

「こんな世界をプレイしたかった!」という壮大なフィールド

ムービーが始まり自分の分身をキャラメイク。

マイキャラ

『エルデンリング』ではストーリーを進めるとキャラメイクはノーコスト(LVの振り直しは専用アイテムが必要)、自由に変更可能できるので安心です。

マイキャラ

自分の分身となるキャラクターを設定。そこからフィールドに飛び出せば、広大で美しい世界が待ち受けています。

フィールド1

「ファンタジー」という言葉がぴったりの幻想的なフィールド。

フィールド4

何かが起こりそうなホラー風のフィールド。

フィールド6

ダンジョンに潜ればつい止まって景色を眺めてしまうような美しい地下世界。

フィールド5

禍々しい気配に満ちた「悪」がいそうなダンジョン。

ダンジョン

フィールド。そしてダンジョン(メイン)の作り込みのレベルは相当のものです。『エルデンリング』をプレイし始めると、時間を忘れてこの世界に魂を吸い込まれそうな、没入感を味わうことができます。

特にメインのダンジョンとなるレガシーダンジョンの作り込みは過去最高レベル。探索のしごたえはかなりのものです。

気になるのはフィールドでの落下死

ただほんとうに、ほんとうに残念なのは、フィールドにおける落下死の仕様です。

目視して「ここは大丈夫かな?」と思うところで落下死し、「ここは無理かも?」ってところが大丈夫だったりします。オープンワールドの探索という楽しい(はずの)要素が、落下死によってストレスを感じる原因なっている点は残念です。

初周の体感難易度は「従来の感覚」でプレイしようとすれば過去最高。ただし

そして肝心なのがゲームの難易度。この独自の世界はつねに、危険に満ちています。『エルデンリング』の世界で待ち受ける化け物たちは、容赦なく、全力でプレイヤーを倒しにきます。

敵の出待ちは当たり前で、集団リンチ、高火力の攻撃、遠距離からの休まることのない狙撃、毒などの罠、物語を進めれば進めるほど、プレイヤーへの敵意を常に意識することになります。

ただし『エルデンリング』の大きな特徴はRPG要素。広い世界を探索し、そこで強い武器や技、召喚要素を集め、プレイヤーを強化していくことによって、難易度が劇的に変わる仕様になっています。

その結果、攻略マップ。そしてボス戦でさえ。必要な準備をすることで、攻略が容易になるバランスになっています。

Ver1.04では、全体的なバランス調整の結果、プレイヤー自ら強化要素を制限することで、従来のソウルシリーズ経験者が期待する「難易度」でプレイすることが可能に。

RPG要素を積極活用するか、自分で要素を制限するか。この点は、プレイヤー次第と言えるでしょう。

ただし、攻略マップによっては難しいというよりはストレスを感じる場面は点在します。たとえばここ。解決のステップに気づけるかどうか。その点は、場面に応じて工夫をこらす必要があります。

鬼畜ダンジョン

中盤以降のマップに関しては、

・敵が硬すぎる(全体的にはまだそう感じる)

・数多すぎる

・過剰な遠距離や範囲攻撃を使われる

といった要素はあるものの、用意されている要素を適切に用いることによって、問題の解決が可能です。

敵の強さもその一つで、以前のレビューで記載していた「敵の度を超えた火力」の問題も全体的な方向性として調整され、没入感を保ったまま、壮大な世界を冒険することが可能です。

プレイヤー自身が難易度を調整可能。この意味で

『エルデンリング』はソウルシリーズの伝統(?)を引き継ぎ「高難易度」がその特徴になっています。

敵は群れで襲ってくるAIになっており、一体を攻撃すれば、なぜか遠方にいた敵も寄ってきてリンチされます。

序盤のうちは敵を引き寄せるモブが行動を起こす前に倒せば問題ないのですが(行動を起こされた場合、次の画像のように7~8体の敵に襲われます)、集団から攻撃される機会が多いのが特徴です。

集団リンチ

序盤のエリアでも、プレイヤーを死亡させようとする罠が、至るところに用意されています。

コウモリの大群

ただし、それはソウルシリーズの感覚でプレイした場合。

本作では、探索によって得られる要素とプレイヤーのLVアップによって、誤解を恐れずに言えば、ゲーム内で「無双」することが可能です。

敵の集団も、「戦灰」とよばれる新しい要素を入手し、フル活用することで、驚くほどあっさり、強敵を倒せるようになっています。

ただし、ソウルシリーズの感覚でそれらの要素を縛って『エルデンリング』をプレイし続けるなら、道中の攻略の難易度は大きく上がるでしょう。この点に関して、評価が分かれると思います。

『エルデンリング』で用意された要素を取得し、2周目でそれらを周回プレイでフル活用すれば。ゲームの難易度についての印象は劇的に変わるでしょう。

個人的には、「一切の縛りをしないならば」クリアの難易度は、とてもフレンドリーだと感じています。

ボス戦の難易度はプレイヤー次第

『エルデンリング』では一般の敵が全般的に強化されているだけでなく、ボス戦の基本動作が大きく強化されているのが特徴です。

攻撃回数やプレイヤーの操作への反応、広範囲ダメージといった要素が追加されており、かつVer1.03までは中盤以降のボスの火力。挙動のスピードがプレイヤーの基本スペックを凌駕していました。

特に中盤からボスの攻撃の火力は異常で、中盤以降はHPが1600かつ防具の平均カット率が25%あっても、ワンパンツーパンで殺されることが少なくありませんでした。

ところが、Ver1.04でボスの挙動やスピードが調整され、こちらだけが一方的に攻撃され続けるようなストレスは解消し、

1・用意された要素をフル活用して、楽々ボスを倒す(一部できないボスもいます)

2・用意された要素をしばり、程よい難易度を自分で確保してボスを倒す

というチョイスが用意されています。

この意味で『エルデンリング』はプレイヤーが自分で難易度を決めることができる作品になった、つまりRPG要素が強い作品と感じます。

各ボスの感想はこちら

ロマンを刺激する要素が満載!

個人的に『エルデンリング』の魅力は世界観。「この世界を体験しないのは損!」といえる、オンリー1の魅力を放っています。

装備品は多彩で、自分のイメージに合う「かっこいい」装備を選択。ロールプレイを楽しむことができます。

イケメン装備

お気に入りはこれ。装備デザインの雰囲気やかっこよさについては、ただただ「すごい!」の一言です。

イケメン装備2

ちなみに防具は軽装化してマントをオフにできるなど、細やかな工夫と配慮が見られ、とても好感を持ちます。

武器に関しても鞘に細かな装飾があったりと、デザイン面のセンス的な部分に関しては圧倒されます。画集が欲しくなるほど、細かく作りこまれています。

魔法等の動作も最高。雷の剣の動作はお気に入り。DQの「ギガブレイク」を思わせる動作はとても魅力的です!

雷の剣

そのほか、ゲームのあらゆる部分におけるユーザビリティはとても親切です。『エルデンリング』ではソウルシリーズにおける「ボスソウルの複製」が可能。面倒なボス戦も一度で済むような仕様が導入されています。

追憶

回数に制限はあれど、ステータスの振り直しも、かんたんに行うことが可能です。

生まれ直し

難易度に関する根本思想や設計、一部の英雄墓やアスレチックなど安直な方法でプレイヤーを倒そうとする仕様にはユーザーによってはストレスを感じる部分が多々あるでしょう。

一方で、それ以外の部分、特に世界観やデザインに関してはほんとうに繊細な作りで、ユーザーへの細かい配慮が感じられます。この作品でしか体験することができない、最高級のエンタテイメントを楽しむことができます。

個性的なNPC

『エルデンリング』ではソウルシリーズの伝統を引き継いだ(?)、魅力的なNPCが多数登場します。1周目では倒してしまいましたが、シリーズ恒例のNPCも登場します。

NPC

万が一倒すと序盤のエリアで協力プレイを楽しめなくなりますのでご注意を。

ただし、シリーズの恒例なのか、非常にグロテスクなイベントが満載です。

NPC2

NPCにはハッピーな末路を迎えてほしい方は、イベント終了後、なんともいえぬ後味の悪さを感じる機会が多いでしょう。

NPC3

ただ中には、貴重なアイテムを入手できるNPCイベントがありますので、NPCによっては毎周回時、イベントをこなす価値があります。

周回の難易度について(カンスト難易度クリア済み)

ソウルシリーズの伝統は周回ごとにアップする難易度。『エルデンリング』でも周回によって敵の強さが上がる模様ですが、2~3周目に限定すれば、ソウルシリーズほど厳しくはないと感じています。

一部のボス(露骨にHPが増えて硬くなります)をのぞいては全般的に何が強くなったのかわからないほど、難易度の上昇は緩やかです。

ソウルシリーズでは7〜8周目が最高難易度だったので、エルデンリングもおそらく8周が難易度のカンストと思われます。

実際に10周以上クリアして感じたのは、敵全般の強さに関しては、2周目3周目4周目あたりは特に変化(一部ボスをのぞく)を実感できず、5周目あたりから少しずつ難しくなっていく、という感じです。

周回プレイにおいて、一部ボスのHPや火力は確かに強くなっており、ワンパン祭りは8周目以降経験します(物理防御175〜177、物理カット率45%、属性カット率30%程度)。

なお周回を重ねると敵の強靭度(ダウンまでの数値?)も強化される模様です。一周目では敵をサクサクダウンさせることができた赤獅子の炎を使っても、一回でダウンが取れなくなります。

ラスボスその1の場合、ダウンさせるために8周目以降で5回ヒット必要になります(1周目は3回だったと記憶しています)。周回によって難易度は上がっていくのは、シリーズ恒例です。

まとめると

広大な世界を旅できる高難易度の『ダークソウル2』。それが『エルデンリング』です。

装備の数や種類、豊富なNPCイベント。作り込まれたダンジョン。かっこいい魔法。これらの要素はソウルシリーズと同等、もしくはそれ以上に魅力的です。

Ver1.03まではストレスを感じたゲームバランスですが、Ver1.04になり個人的には大きくプレイフィールが変わったと感じています。

用意された広い世界を存分に探索し、そこで得た要素を存分に強化していく。それによって最後までこの世界に没頭できる。そんなRPGの醍醐味とも言える体験が可能です。

長くなったのでポイントを絞って書くと次のとおりです。

良い点

・独自の世界観と没入感。時間を忘れて「冒険してる」感は圧倒的。

・多彩な装備と芸術的なデザインセンス。レベルや外見といったキャラのカスタマイズ及びロールプレイの楽しさはオンリー1

・キャラクターを育て、自分のイメージを追求していく楽しさ、強くなっていくプロセスを楽しめる。

・相変わらず一期一会のオンラインプレイが楽しい。王都を最初から最後まで協力プレイできたときは、『ダークソウル3』の大書庫での協力プレイの楽しさを思い出した。時々見える幻影もオンラインの楽しさ。

笑える幻影

悪い点

・RPG要素が強いため、「自らの腕」のみに頼るプレイには困難が伴う。逆に言えば、用意された要素を制限なく使用すれば、難易度は大幅に下がる。

最後に

以上、長々と書いてきましたが、本作は総合的に見れば最高級の面白さを持つ作品です。それはまさに、DQやFFを経験してきたプレイヤーが想像する「RPG」の世界を具現化した世界です。

武器。キャラクターの育成。広大かつ独特な世界。時間を忘れて仮想世界に浸ることができる、最高の没入感を味わうことができます。

この世界をリアルタイムで体験することができたのは、とても幸運なことだと感じています。最後に、制作及び販売に関わったすべての関係者の方に、感謝を申し上げます。