昔から好きだったものの、最近とくに、至福に感じる時間があります。それが、愛用する革製品(レザークラフト)の手入れの時間です。
「断捨離」という考え方を知って以来、「所有するものは最小限で、それもお気に入りのものだけ、使うものだけ、自分が好きなものを厳選して所有する」というスタンスを大切にしていますが、革製品もその数少ないものに含まれます。
革靴は新しいもので2025年現在6年目、古い靴で9年、皮のカバンは20年目と10年目。そして財布も古いものはすでに購入から10年を越えました。
毎月定期的に、それらをブラッシングし、クリームを塗ったりして手入れをする。この時間が私にとって、近頃は至福の時間となっています。
「経年変化」を味わう喜び
なぜ、革の製品に惹かれるのか?それはきっと、皮がともに時間を刻んでくれる存在だからなのかもしれません。
こちらはラウンドファスナーの長財布が2015年購入、小銭入れが2017年購入で、どちらも購入から長い時間が経過しています。どちらも現役で、表面の色合いは、購入したときよりも魅力を感じています。
内側のヌメ側は、新品とは全く別の色合いを帯びています。
定期的にブラッシングする。クリームを塗る。こうしたことを続けていくと、時間とともに皮の色合いが変化し、深みを刻んでいく。それはまるで、人の顔が、それまでの生き方が刻まれていくようなもの。
だからこそ、革製品はただの「物」というよりも、相棒と言っていい存在です。
傷も、勲章。
革製品は鑑賞するためのものではなく、「使う」ためのもの。そのため、さすがに使用において生じる傷だけは、日々増えていきます。
こちらの財布は2020年購入、そして名刺入れは2018年購入。どちらも、傷が目立つようになりました。
「商品価値」という意味では、購入時よりもマイナスでしょう。だがそんなことは私には関係ありません。生じた傷以上に映える皮の輝き、そして深みはまさに、唯一無二。
皮ごとに、全く違った表情を見せてくれます。だからこそ、可能であれば一生使っていきたい。そして、その変わりゆく皮の色合いを、楽しみたい。
これから育つ、喜び。
2024年4月、この記事を公開した時点で最も新しい一品がこちら。
万双という会社の財布で、ロゴマークがないのが大きな特徴です。
購入から1年。メンテでクリームを塗っていると、徐々にツヤ感が出てきます。
こちらは、購入してすぐ(一週間程度)に小銭入れのボタンの皮が剥がれてしまったのですが、財布の機能性や使いやすさ、そして皮の雰囲気はとても気に入っています。
2025年現在、まだ使用1年程度ですが、今後どのように変化していくのか?それが楽しみで仕方ありません。
最後に
昔から、「使い捨て」という考えが好きではありませんでした。
「あれもこれも」ではなく、自分が気に入ったもの、大切にしたいと思うものを厳選して選び、それらを大切に、丁寧に、長く使っていく。私はそんなスタイルが好きです。
だからなのか、修行僧になったわけではありませんが、年々物欲は衰える一方で、10代の頃のように「これがほしい」「あれがほしい」という煩悩は、今ではすっかり消えてしまいました。
今は、必要なものは持ちつつも、それとは別に、自分が好きなもの、大切にしたいもの中心に囲まれた暮らしつつ、経験や体験を大切にしたい。そんなふうに思うこの頃です。