ユダヤ人が成功する秘密はこの教えにあり?『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』を読んで

ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集

日本人でありながら、ユダヤ教に改宗した著者による、タルムードの格言集『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』を読んだ感想です。

内容ですが、ユダヤ人の根本となる「タルムード」の教えを、分かりやすく抽出した内容。読みやすくまとめられているので、スラスラ読めます。

以下、本の気になった内容と考察です。

ユダヤ人のリスクに対する考え方

「数十年おきに世界を襲う大不況や経済危機の予兆をいち早く感じ取り、ビジネスに被害が及ばないうちにさっさと撤退するか。路線を変える。世の中が公共に踊っているときには、皆と一緒に浮かれることなく、手を広げすぎるリスクを避け、慎重に行動する。これがユダヤ式のリスク管理であり、またお金儲けの鉄則である。」(P12)

→攻め時と引き時をわきまえ、つねにリスクを予想する。安全にこだわらず、上手くいくときは進み、ダメならすぐに撤退。身軽に動くことが大切。

ユダヤ人のお金に対する考え方

「ユダヤ人は「お金を至上のもの」とは考えないが、見下したり軽蔑したりするようなことは決してなく、「心の平和は財布次第だ」「心を病むと体が悪くなる。しかし、金がないと両方悪くなる」とも言う。心身ともに健全でいるためにはある程度のお金がいる、と言うのである。」(P24)

→お金に対する偏った考えは捨て、お金の持つ現実的な役割を理解する。お金がないと、人生は苦しみだけ。

ノーペイン・ノーゲイン、何かを差し出さなければ成功は得られない

「先に失わなければ何も得られない。何も失わず、楽して成功することなどあり得ない。ユダヤ人の子どもたちが、幼い頃から親に叩き込まれる「ノーペイン・ノーゲイン(痛みなければ得るものなし)」という金銭哲学を超えた人生哲学なのである。」(P33)

→ユダヤ人式に考えるなら、成功前に大切なものを捨てる(ただし時期を見て)。捨てるからこそ、道が開ける。成果を得てから捨てるのではない。成功と犠牲は表と裏、トレードオフが鉄則。

好況に次は不況

「良いことの次はには必ず悪いことが起きる。抜け出せるのは準備した人だけ。」(P38)

→明けない夜が来ることはないように、良い時期はある。ただし、良いときに準備しておかないと、悪い時期のときが悲惨。良い時期は次の悪い時期に備えておく。太陽の陽のあるうち、暗い時の準備をしておく。

大きく勝とうとしない。確実に勝つ。

「小さな儲けにとどめよーそれを繰り返せ。」(P54)

→大きく成功しようとすると罠がある。欲張らず、小さい成功、確実に成果になることを繰り返す。ちりも積もれば山になる。

目立ずにこっそり力を蓄えていく

「雀たちが空を飛ぶ時は金冠をはずして飛ぶようにしていれば、漁師たちに撃ち殺されずに済んだであろう〜中略〜弱い者は安全に目立たず少しずつ利益を何世代にもわって積み重ねていくことが大切だと説いて聞かせる。」(P58)

悪銭身につかず

「富を求めても良いが、均衡のとれたものとする。私益を追求する自由はあるが、その方法と収入の使途については、適正さを重んじ、ヘブライ聖書の決まりに従うべきだ。」(P66)

→インチキや人を騙して儲けることは魂を傷つけ、不幸を呼ぶ。そして、結局そのつけを払う。適正な手段で利益を追求することが重要。

お金に対する5つの心構え

1、適正・・・身の丈にあった報酬、生活を

2、自己規制・・・日々勉強を重ねよ

3、自己抑制・・・誘惑に負けないよう自分を抑えよ

4、自己管理・・・しっかり自分を管理せよ

5、正直・・・嘘をつかず、正直に生きよ

(P84)

ユダヤ人が交渉相手を質問攻めにする理由

「日本ではだます方が悪い、という認識は共通だ。一方ユダヤでは騙される方が悪い、という認識が共通だ。騙されないためには質問する以外にない。」(P98)

人の話を鵜呑みにして騙されるのは自己責任、というのがユダヤ流。嘘つきに騙されないために、気になるところは質問攻めにして、相手の誠意を確認しておくことが大切。

交渉するときは小さな譲歩を引き出させる

「とりあえず着実に手に入る成果を求める。これがユダヤ式交渉術の基本だ。この「少し」を、しつこく、何度も繰り返す。これによって、最終的には成果は大きなものとなる。」(P106)

→実現可能な小さいことから確実に得ていく。その小を重ねることで、大を得ることができる。最初から大きなものを求めず、小さく確実性のあることを狙っていく。

ビジネスは仕組みを作ったものが勝つ

「経済用語でいう「プラットフォーム」とは、他の産業の基盤となるような業種、仕組みのことである。ユダヤ人の歴史を振り返ると、彼らは物事の根源を押さえる、プラットフォーム的ビジネスに多く関わってきた。銀行、証券といった金融業はお金の流れを押さえる基盤、根源となるものだし、物流業は物の流れを押さえるものだ。」(P150)

→胴元が一番儲かる。お金が流れる胴元のビジネスを作って、そこを押さえる。こうすることで、自由にビジネスの流れをコントロールし、お金が生まれる仕組みを管理することができる。人の仕組みに乗るのではなく、自分発の仕組みを作るのが強いビジネスのカギとなる。

こどもには苦労することを教える

「ユダヤ人は、常に「人生は良い時ばかりではなく、苦境の方が多い。特に若い時は苦労が多い」という見地から教育する。」(P225)

→小さいときからこどもに「何でもできる」という万能感を与えることはしない。むしろ、世の中は厳しく、苦労が多い場所であることを伝える。そのなかで苦労し、生き抜いていくことを教える。最初から苦労を教えることで、後でいいことがあるとこどもを教育する。

決してあきらめない

「不運が襲って来ても、絶対にあきらめずにバトルし続けること。」(P254)

→予想外の不運は避けられない。人生はそういうもの。しかし、不運にあったときこそ、諦めず、幸福を探すこと。「苦難の犠牲者」に甘んじず、幸福を自らつかみとるために戦い続ける。

感想など

ユダヤの成功哲学ということで、なるほど、ユダヤ人がなぜ世界で活躍し、成功しているのか、そのもととなる考え方に触れられた気がして、とても面白かったです。

この本を読んで特に印象に残ったのは、本の最後にある毛利3本の矢の話(P230)。

毛利三本の矢の話は、戦国大名の毛利元就の有名な逸話で、団結の重要性を説いた話です。安芸(今の広島県)の小さな豪族出の毛利元就は、様々な権謀術数を尽くし勢力を拡大、中国地方に一大勢力を築きます。

彼には3人の息子がいて、あるとき元就は息子たち3人に、それぞれ1本の矢を見せ、それを折らせます。1本の矢を折らせたところ、次は3本重ねた矢を折れ、と息子たちに命じます。しかし、1本の矢とは違い、3本重ねた矢はなかなか折れません。

そこで元就は3人の息子たちにこう語ります。「1本1本の矢は折れやすけど、それを3本に束ねさせたら、矢は折れにくい。お前たち3人、きちんと団結し、毛利の家を守れ。」これが毛利3本の矢の教えです。

つまりは団結、集中の重要性を語った話ですが、ユダヤ人の場合は、次のように考えます。

いくら矢を重ねたところで、折れるときは折れる。だからこそ、矢は別々に分散させておけ!

これがユダヤ人の考え方。

どんなに強くても、ダメになるときはダメになる。だから矢はまとめずにバラバラにしておく。基本は分散。日本人とはまるで考え方が違う、ということが分かります。

どんなに強くても、大きな災害のときには無力になる。だからこそ、そのリスクを予想して対策を立てておくのが生き抜くための知恵なのかもしれません。

刺激的で勉強になった一冊でした。

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