大きな会社と小さな会社は経営方法が180度違う!
竹田陽一著『小さな会社☆社長のルール』(フォレスト出版)の読書感想です。
この本について
「ランチェスター経営」をキーワードにビジネスコンサルティングを展開する著者の本。
※ランチェスター経営とは
20世紀、イギリス人のF.W・ランチェスターが発表、アメリカ人のバーナードクープマンが軍事戦略として数値化したランチェスター法則(戦争における戦略)を、経営に置き換えて体系化したもの。
ランチェスター経営は、戦争の戦略を経営に置き換えた経営戦略。
「強者には強者のやり方があって、弱者が強者の戦略を真似ても上手くはいかない。弱者は弱者の戦略を選択することが大切!」というのが著者の主張。
大企業ではなく、中小企業経営者の目線で、最適な経営戦略を考えるための考え方が勉強できる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
はじめに、ランチェスターの法則とは(P6)
戦争における力関係を分析したもの。
第一法則:攻撃力=兵力数×武器の性能(質)
→先頭範囲が狭い場合のみ有効な法則。接近戦、一騎打ちの法則とも言われる。
第二法則:攻撃力=二乗の兵力数×武器の性能(質)
→武器性能や兵士の数に差がなければ、攻撃力は兵力数の二乗に比例する。
中小企業は大企業のやり方を真似てはいけない(P28)
日本では、0.5%の強者(大企業)と、99.5%(中小企業)、一握りの強者と大部分の弱者の世界が生きる世界。
有名なコンサルタント、本はセミナーは、一部の強者のやり方を成功例として推奨するが、強者のやり方を弱者が取り入れても上手くいくことはない。
社長が幹部を兼任する(P38)
従業員100程度の会社の場合、幹部や部下を養成する必要はなく、社長のワンマンでいい。
部下の教育が必要になるのは、せいぜい従業員数1000人を越えてから。従業員が少ないうちは、社長が幹部を兼任し、自らワンマンで戦略を実行すべし。
中小企業は社長がすべて(P62)
会社は人で決まる。中小企業にとって人=社長。
社員教育の注意点(P65)
社員教育を施す目的は、社長と従業員の役割の違いをハッキリさせること。社長がやること、従業員がやること、役割分担の違いを明確にし、組織がスムーズに動くようにする。
13人程度の社員数であれば、目標や戦略、戦術、全て社長が決めればいい。社員数が30人を超えたら、従業員のなかから、戦術担当者を育成する。
教育費の9割は社長に投資せよ(P70)
中小企業経営では、社員に教育セミナーを受けさせたり、社員教育の効果を過信してはいけない。
それより、中小企業は社長がすべて。教育費用の9割は社長自身の能力アップに投資すべし。従業員の力を頼ったり、彼らが予想以上に成長することを期待してはいけない。
会計について(P92)
キャッシュフローがどうやらこうやら、一般の企業経営では、会計の重要性が主張される。
しかし、会計はお金の流れを明確にするだけで、会計を重視しても、1円も利益を生まないことを忘れてはいけない。数字はあくまで現実を把握するために理解しておく。
成果主義はプラスよりマイナスの方が大きい(P118)
現状、成果をもとにした能力給系の賃金体系に変更して上手くいったケースはほとんどない。
成果主義の導入により、社員同士の関係がギスギスし、全体的に業績や会社の雰囲気が悪くなったマイナス例の方が多い。
賃金に対しては、会社なりに、筋の通った、自分たちなりの考え方をしっかり持っておく。
粗利こそ企業の生き血(P130)
会社は儲けを生き血として生きていく。
生き血とは粗利のことであり、粗利は会社のサービスや商品をお客に売ることによってもたらされる。当たり前のことだが、粗利こそが、会社経営で格別に重要な要素。
商品を計画的に売るために(P141)
商品を売るときに大切なのは、買い手視点で商品を見ること。買い手が商品にどのような問題点を感じているか、そこを売り手がズレて理解していると、商品は思うように売れない。
感想など
「会社はそれぞれ強み弱みがある。会社の規模によって打つ手も違う。小さな会社が、大きな会社のやり方を真似ても上手くいかない。小さい会社、弱い立場だからこそ、一番効果的な手を考えて実行することが大切。」
そんなことが実感できる本。
当たり前に考えて、相手が3万の軍隊、こちらが3千の軍隊なら、真正面から戦って勝てる可能性は限りなくゼロ。相手が大軍でこちらが小軍であるなら局地戦で頑張るなど、やり方はいろいろあります。
自分の現状を把握して、どんな方法が上手くいくのか、冷静に見極めること。弱者が強者の真似をしても上手くいかないのは当然ではどうすればいいのか?
この本を読めば、そのヒントがつかめるかも。
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