『「思いやり」という暴力』の読書感想 – 「あなたのため」が有害な理由

優しさは結局利己主義のカタチ?

中島義道著『「思いやり」という暴力』(PHP文庫)の読書感想です。

この本について

物事をハッキリ言わず対話を避ける日本的な優しさ、精神風土に異を唱える本。

「思いやりは利己主義の変形、人は何かを語ろうとするとき、誰かを傷つけずにはいられない」

「日本人のハッキリ物を言わない優しさ、思いやりこそが人々の対話を妨げている原因だ!」

など、独特&刺激的な内容な満載の本になっています。

以下、本書の読書メモです。

日本の人間関係の公理(P4)

日本の人間関係で一番重要視されていることは、他人を思いやることであり、それはすなわち、本当のことを言わないこと。

それは建前を中心に、人間関係を維持することであり、言葉で物事をハッキリ言わないことで人を傷つけない。これこそが、日本流の思いやり。

和の精神について(P62)

和の精神=同質性の重視なので、現状におかしいと感じる者、現状を変えていこうとするものには、大きな足かせとなる。

和の精神は社会的勝者を擁護して社会的敗者を排除する機能を持つ。それによって、新しい考え方、革命的な考え方を潰していく。

そのため、いつまでも、保守的で無難、定型的な考えがまかり通っていく。

ヨーロッパのおせっかい(P102)

ヨーロッパ人はおせっかい。それは他人と自分が同じでないことに我慢できないタイプのおせっかい。こちらの気持ちや事情は配慮せず、自分の価値観を一方的に押し付けるタイプのもの。

言葉の裏を探る(P127)

日本人は、一般的に言葉を額面通りに受け取ることはしない。言葉の字面の裏、微妙にズレている表現、言葉の裏側にある真意を理解すること、そこに美点を感じている。

何を話そうと誰かを傷つける(P182)

物を語ろうとするときは、誰も傷つけぬよう、語ることはできない。

誰も傷つけずに物事を語ろうとすることはできるかもしれないが、誰かに配慮して語ろうとしたとき、真実を語ることを放棄しなければいけない

感想など

「優しさや思いやり、配慮はある種の暴力である」という考え方が印象的な本。

中島義道さんの本は毎度毎度、読む度に強烈な印象があり、人前で読むことはなかなかできないのですが、時々無性に読みたくなるときがあって、家でじっくり読書したいときはもってこい。

常識的な発想とは少し違う中島義道本を読むことで、普段自分はこう考えているけれど、それは本当に正しいのだろうか、それでいいのだろうか、考えることができます。

それによって、そうだ、こういう考え方もあるのかもしれない、こういうふうに考え方を修正してもいいかもしれない。そんな発見があります。

この本もそれにぴったりの本で、物をハッキリ言わない、相手の気持ちを思いやって配慮するという日本人的な行動について、「こういう考えもあるんだな」という、新しい視点を学ぶことができます。

世の中、人付き合いにしろ何にしろ、自分はこう思うけど実は違うということがたくさんあります。

ときどきは、自分の頭の中の思い込み、固定観念、価値観を置いておいて、いろんな考え方に触れてみることが大切なのかもしれませんね。

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