人生、ひねくれたっていいじゃないか。『ぐれる!』の読書感想

ぐれる!(新潮新書)

理不尽な現実を受け入れることは案外気持ちがいい。

中島義道著『ぐれる!』(新潮新書)の読書感想です。

この本について

綺麗事・建前論を完全に排除、徹底的に人生のマイナスを見つめ、そこから本当の人生、生き方を考える本。

「人生は自分次第、頑張れば理想の人生を実現できる!」

「いつもポジティブで、明るい態度でいよう、それが幸せに生きる秘訣!」

そんな一般の自己啓発書に疑問を感じたら、この本をどうぞ。

以下、本書の読書メモです。

世の中について(P46)

世の中は、標準や一般からずれているものに対して冷酷に振る舞う。

独身者、子ども嫌い、ひとり好き、「普通とは違う」ように思える者に対し、世の中は「あいつはおかしい」と冷酷に糾弾する。

だからそれを恐れる人はみな、「こうするのが当然」リストに従って、標準からずれて糾弾されないよう、世の中に適応しようとする。

女について(P75)

女は同性の女に対し、異常なまでの嫉妬心を持っている。それは、女が子どもを生むという特質を持っている性質上、そうなるようになっている。

だから、女は他の女が自分より上か下か、恵まれているかそうでないか、そういったことを異様に気にする。

戦うのが男の運命(P83)

男は、自分の遺伝子をばらまくという動物学的宿命を持っている。それゆえに、男は戦うことを余儀なくされている存在。

しかし、戦いに勝ち続けられるのはごく一部の男のみ。仕事で成功する、女にモテまくる、金持ちになる、そういった戦い全てに勝てる男は少ない。

女にモテても仕事で失敗する、仕事で成功しても女にモテない、金持ちになっても不幸、そんなふうに、完璧な勝ち組の男はなかなかいない。

みな、何かしら「もっとこうすれば良くなったはずだ」と不満や後悔を感じながら、その人生を終えていく。

でも、現実問題、社会において男がどこまで勝てるか、どのくらい勝負ができるかは、生まれたときからある程度決まっている

生まれながらの力を頼りに、個人の能力で戦い抜かなければならない。

だから男の運命は、標準値を離れ、大きな勝者(最初から恵まれたもの)と圧倒的な敗者(恵まれないもの)、運命が大きくばらけてしまう。

人生を諦めてぐれる(P97)

生まれつきの能力も家柄もコネも才能もなにもない。

人生はそういうものに対して残酷な仕打ちを与える。「人生は平等である、チャンスは誰にでもやってくる」というのは大嘘で、人生最初から無理ゲーの人もいる。

もし人生でそのことに気がついてしまったらどうするか。俺はダメだ、人生どうしようもない。そう自覚したときは人生から降りてぐれればいい。

自分がダメであることを認め、自分の人生が良くなること、良いことが起きること、そういう諸々の希望を全て放棄し、ダメなまま死んでいく運命を受け入れる。

成功できない、女にモテない、頭が悪い、そういったことに自分には何も責任がないことを理解して、運命の理不尽さを認め、ダメな自分そのものを受け入れる。

そこから、自分の本当の人生が始まる。

真実を見よ(P103)

世の中にはインチキな催眠術があふれている。

人生は頑張ればどうとか、将来はどうだとか、嘘のメッセージで溢れている。そんな嘘にだまされず、真実を見る。

世の中が実際どうなっているか、現実はどうなっているか、それを見つめ受け入れることが、人生のスタートラインに立つということ。

40以降の働き方(P126)

40歳を過ぎたらしたいこと、それは世間的な価値と距離を置いて、徐々にフェードアウトしていくこと。

仕事をしなければお金を稼げない、それであるなら、仕事に呑み込まれない程度の距離を取って仕事に接する。

感想など

「それを言っちゃあおしまいよ」の連続だけれでも、読後は不思議な爽快感がある本。

いやぁ、実際人生でそうだようなぁ、本のページをめくるたび、そんなふうにうなずいてしまいます。

この文章なんて最高。

あなたはダメ人間なんです。それはもう一生変わらないんです。

突如、明日からもてはじめることもできないでしょうし、明日から頭がクルクル動くようにもならないでしょう。

あなたは、永遠にもてないまま、無能なまま、そしてそのまま死んでいくことでしょう。

それはたまらないだって。まだ、そんなことを言っているんですか?

たまらなくっても、たまっても、とにかくそれが真実なんだからしかたない。ですから、それをよく認めて、あきらめて生きるしかないのです。

背丈が160センチメートルの男は、どんなにあがいても180センチメートルの男にはなれないんです。

下品な家庭で育ったあなたは、育ちのよい上品さを身につけることはできないんです。

頭の悪い遺伝子をふんだんに受け継いだあなたは、金輪際頭がよくなることはないのです。

しかも、このすべてにあなたの責任はない。あなたが選んだことなんか、このうちに一つもない。

ああ、そう考えると、すべてはなんと理不尽なことでしょう。そして、なんと心がすっきりすることでしょう。

(P98より)

本書ではこんな具合、ネガティブという言葉を超越して、「確かにこれが現実だよなぁ」という直球ストレートなメッセージを提供してくれています。

なので、読んでいて爽快な気持ちになったというか、やっぱり自分の生まれながらの資源(持って生まれたもの、変えられない特質)で何ができて何ができないのか、そこはしっかり考えた方がいいように思います。

「ぐれる!」必要はないかもしれませんが、人生っていろいろ可能性があるわけではなく、なるようにしかならないものだと思います。

あれを実現しよう、これを実現しよう、こんなふうになっていよう、そう思っていても、気がつけば自分が思っていたのとは別のところにいる自分がいて、思っていたのとは違う人生を生きている。

そんな思い通りにいかないことの連続だと思います。

でも不思議なのは、思い通り、希望通りにならない人生だけれども、なるようになった人生にこそ意味がある気がすることです。

考えてもみなかった場所で暮らし、考えてもみなかった仕事につき、生活している。

それを人は運命とかいろんな言葉で説明しますが、人生は自分の意志とは無関係に進んでしまう、自分の人生を振り返ってみると、そんな何かがあるような気がしています。

なので、本書に書かれているとおり、世の中の価値や標準的な考え方、「こうあるべき」的な考え方はヨコに置いておいて、自分の人生の現実はどうなのか、そういったことを考えてみることが、とても大事なことだと思います。

本書は少し毒気が強いので、誰にもオススメできる内容ではありません。あまりのネガティブさ、率直なモノ言いに読むのを止めたくなることもあるかもしれません。

でも、この本が必要な人は、きっと、人生の可能性に目を開くきっかけになるかも。

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