ネガティブだから人生で失敗しない!?
内藤誼人著『有吉弘行は、なぜ言いたいことを言っても好かれるのか?』(イースト・プレス)の読書感想です。
この本について
毒舌芸人の有吉弘行さんの魅力、処世術を紹介した本。
本書の内容は一般的な処世術指南書とは真逆の内容。性悪説の観点から、世の中を上手く渡っていくための処世術が学べる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
人付き合いは表面的でOK(P14)
仕事、職場の人間関係は上っ面、表面的で問題ない。仕事の関係なんだから、それ以上を期待する方がおかしい。
個性なんていらない(P23)
自分なりとか、自分らしいとか、そんな個性は不要。
必要なのは、相手のニーズを読み取って、それに応じてキャラを変えていく柔軟性。人によって態度を変える風見鶏でいい。
とりあえず頭を下げる(P41)
他人に怒られたときはとりあえず頭を下げる。反省なんてしなくていいから、形だけ頭を下げておく。反省する姿勢を示すことが大切。
3割の人に好かれればOK(P57)
会う人、関わる人、全ての人に好かれる必要なし。関わる人間関係のうち、3割の人に好かれれば御の字。
人生では一発屋を目指す(P60)
人生であれもこれもできるようになる必要はない。「これだ!」という1つのものを磨いて、それで勝負する。
人は信用するな(P69)
人に期待するから面倒になる。人に期待するから失望する。
人間関係ははなから思い通りにはならない。人間関係は困らせられるのが当たり前。嫌な気持ちになることも多い。人間関係はもともとそういうもの。
本当の自分は隠せ(P97)
社交にはウソが必要。
ウソがあってこそ、円満、潤滑な人間関係が保てる。人間関係で馬鹿正直になる必要なし、適当なウソを潤滑油に、滑らかさを重視する。
人前で愚痴は言わない(P103)
人が興味を持つのは自分のことだけ、他人の悩みや苦しみは興味なし。人前で愚痴を言うのは意味がなく、場合によっては有害になる。
基本は聞き役、余計なことは話さない(P118)
人付き合いは聞き役にまわる。余計なことをペラペラ話さず、聞かれたことだけ話せばいい。
なめられない工夫をする(P134)
他人に軽く扱われないために、「怖い」と思わせる一面を演出する。
「あいつを怒らせるとヤバイな」という印象を与えておくことで、人になめられず、そのことによって、無用なトラブルを回避できる。
小者を演じる(P165)
自分を大きく見せても、「出る杭は打たれる」で何のメリットなし。必ずどこかで反感を買う。
できる姿や成功している姿は人に見せない。「自分はダメなんです」くらいの演技をしておく方がいい。自分を実力以上、小さく見せること。
感想など
『お前なんかもう死んでいる』と同じく、ネガティブな視点の処世術本。
一般的に、人間関係などの処世術本は、「人には誠実に、明るく、笑顔で!」的なポジティブ視点の内容が多いですが、有吉さんの本はそのような本とは真逆。
「人は信用するな!」
「人間関係は表面的でいい、演技でいい!」
「ウソは必要、人間関係ではほどよくウソをつけ!」
など、人によっては「けしからん!」と激怒する内容になっています。
ただ、どちらがいい悪いではなく、「実際、世の中でどんな考え方が役に立つのか?」という視点で考えると、有吉さんの考え方はとても実用的というか、現実的だと思います。
世の中、理想で生きていけばそれでいいのかもしれませんが、実際問題、なかなか難しいもの。
だからこそ、有吉さんの綺麗事を排除した現実主義的な考え方は、ネガティブで耳障りは良くはありませんが、人生で役に立つ考え方だと思います。
渡る世間は鬼ばかり、だからこそ必要なのは理想論より現実論。
ネガティブ処世術を知っておくことで、人間関係に失望せず、世知辛い世の中を、ほんの少しでも渡りやすくなるかも。
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