「心が成熟する」ということはこういうこと。『「本当の大人」になるための心理学』の読書感想

「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟 (集英社新書)

「自分の人生は、本当にこれで良かったのだろうか・・・」と悩まない生き方を見つけるために知っておきたいこと。

諸富祥彦著『「本当の大人」になるための心理学』(集英社新書)の読書感想です。

この本について

心理学的な視点から大人の心の成熟について考察、人生の様々な気づきが得られる本。

なぜ大人になっても幸せに暮らせないのか。日々不満や不安で安心して生きていくことができないのか。

その答えは、この本が教えてくれます。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P3)

今の世の中は、若さなどの外面的価値に重点が置かれている社会であり、それがゆえに、心の成長といった、内面的価値が軽視されている。

心から満足して自分の人生を生きるためには、心の成熟が必要不可欠。心が成長してこそ、人生も味わい深くなっていく。

あえて執着する(P7)

こだわること。執着すること。これこそが心の成長のカギ。自分が大切だと思うこと。価値を感じること。そして孤独を大切にすること。

これこそが、中年以降の人生を深く充実させていくための柱となる。

「成熟できていない」ということ(P29)

自分の感情をコントロールできない=心が未熟な証拠。

本当に成熟している人間は自分の感情を内面で保持し、コントロールすることができる。

逆に、自分の感情をコントロールできず、感情に振り回されているということは、内面が未熟な証拠。

この意味で、「キレる大人」が増えているという現状は、心が未熟な大人が増えている何よりの証拠。

逃げるときは全力で逃げていい(P49)

日本はとかくプライドを重んじ、恥よりも切腹や討死を重んじる文化的環境がある。

しかし、逃げることは何も恥ではない。辛いことを辛いと言っても、何も恥ずかしくない。だから自分のキャパをこえそうな辛い状況からは、積極的に逃げていい。

人生生きていくために恥をかいてもいい。プライドを捨ててもいい。恥やプライドよりももっと、大切なことがあるのだから。

人格が成長するプロセス(P56)

心が成長し、内面的な成長が得られるプロセス。

1・自分の内側に意識を向ける。孤独な状態で、自分の心と向き合う。

2・自分の人生にはどんな意味があるか。どんな使命があるか。自らの人生の意味を問う。

3・答えを探し続ける。

4・他者と表面的でない、深い心の交流を持つ。

5・本来の自分に気づく。それによって、自分の人生の意味や使命に気がつく。

6・新たな気づきによって、現実が変わっていく。

成熟した大人の考え方(P59)

成熟した大人だけが理解できる6つの人生哲学。

1・人はそもそも分かってくれない。

2・人生は思い通りにならない。

3・人は分かり合えない。

4・人は本来孤独である。

5・私は私、あなたはあなた。

6・周囲から孤立しても大丈夫。一人でやっていけるから。

現実を受け入れるということ(P119)

人生は基本的に思い通りにならないことだらけ。諦めなければいけないことだらけ。だからといって、人生に意味がないわけではない。

思い通りにならない人生を受け入れつつも、絶望することなく、前向きに生きていく。これこそが成熟した大人の在り方。

向上心のマイナス効果(P135)

向上心を持つ=常に自分にダメ出しをしている状態。

今の自分はダメ、だから頑張ろう。それはそれで良い効果を発揮するときもあるが、向上心には終わりがない。

いつまでも向上心を持ち続けるのではなく、ある段階で、「自分はこういうものである」という現実と向き合うことも大切。

思い通りの人生は本当に素晴らしいのか(P151)

自分の思ったとおりの人生。理想通りの人生。

それはそれでいいかもしれないが、思い通りの人生を歩むことができなかったからといって、人生の価値を見損なってはいけない。

むしろ、人生は思い通りにならないからこそ意味があり、価値がある。

「こんな人生になるとは思ってもみなかった」という現実の人生にこそ意味があることを知り、日々経験する「思いもよらなかったこと」を楽しみ大切にすること。

それこそが、成熟した大人の心の在り方。

つねにチャンスに心を開いておく(P157)

どんなときでもチャンスはある。幸福を運んでくる偶然のチャンスは、いつでもやって来る。大切なのはいつも心を開き、柔軟になること。

人生今日という1日、何が起こるかは分からない。目の前の偶然を大切にすること。

感想など

心の成熟=充実した人生。

ほんとうの意味で大人になることはどういうことなのか、読後にしばらく考え込んでしまいました。

多分、こうやって考えて、自分自身で答えを見出していくことこそがきっと、成熟のプロセスになるのだと思います。

この意味で、本書はとても充実した読書体験を与えてくれた一冊でした。

本を読む。考える。自分なりに意味付けを持つ。それによって自分の世界が変わっていく。読書にはこんな力がありますが、この本もまさにそう。

少し重いテーマなので、誰もが気軽に読める本ではないですが、今いろいろ思うことがあって、じっくり自分と向き合う機会を持ちたい方にはぴったり。

生き方を見直すタイミングに読みたいおすすめの本です。

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