悩んでいることには意味がある!
諸富祥彦著『悩みぬく意味』(幻冬舎新書)の読書感想です。
この本について
悩むことの肯定的側面が見いだせる本。
私達が日常で悩む様々な問題には意味があり、悩みぬくことによって、人生の方向性、進むべき道が見えてくるというのが本書の考え方。
悩むことは苦しく、ネガティブな体験で、できれば避けたいもの。
しかし、もし、そこから逃げられず、悩むハメになったときは、この本を読むことで、悩みに対する見方、受け止め方が変わってくるかも。
以下、本書の読書メモです。
悩むことの意味(P4)
悩みは本当の自分と出会う過程。
悩み苦しみ、試行錯誤するなか、進むべき道へと導かれていく。悩むことで、それまで気付くことがなかった学びがあり、人間として深く成長できる。
悩みと学び(P25)
悩み=気づくべきことに気がつくことであり、学ぶことを学ぶための機会。自己成長の師。
悩みと向き合うのは時間がかかるが(P28)
人は本当に悩んだとき、1年2年、長い時間、苦しい思いをすることになる。
しかし、1年2年と悩み続けるうち、着実に何かが変わっていく。そして、悩みを乗り越えたあと、「それを経験しなければ気付かなかったこと」や「悩みによって成長した自分」と出会うことができる。
そして、人生に無意味なことは何一つなく人生で起こる出来事には意味や目的があることに気がつく。
人生にはシナリオがある(P37)
人生には暗黙のシナリオが存在している。人にはそれぞれ歩むべきシナリオがあり、日々起こる出来事は、そのシナリオの方向に向かわせるために起こっている。
日々の出来事、偶然、興味や関心を追いかけて行くと、もしかしたら、その先に歩むべき道があるのかもしれない。
考えるべきことは自分がどう思うかではない(P46)
悩んだとき、人は悩みに「なぜ」を求める。
なぜこんな苦しいことが起こるのか、なぜそんなめに遭わないといけないのか、意味を確認しようとする。
しかし、大切なのは、悩みの原因を問うのではなく、なぜそれを経験しなければいけないのか。何に気がつく必要があるのか。
そのことを考えていくと、人生が問いを発していることに気がつく。人生から何を求められているのか、悩んだときは、そんな視点を持ってみる。
悩むときはとことん悩んでいい(P121)
悩んでどうしようもないこと、苦しくて不安なことは、極限まで悩みきること。
そのとき、中途半端にポジティブになって苦しみをごまかす必要はない。とことん落ち込み、悩みぬく。本気で悩みぬくことが人の内面的成長と成熟に意味を持つ。
どうしようもないときは「とりあえず3年」で(P177)
人生に行き詰まり、詰んでしまったような状態になったら、先のことなんて考えなくていい。「3年だけ頑張る」つもりで、毎日過ごしていく。
感想など
「悩み」というヘビーなテーマの本ですが、夢中になって購入から即日読了。
悩むこと、苦しむことの意味が分かりやすく理解できる内容で、本書の考え方を意識のどこかに入れておくと、山あり谷ありの浮世を、柔軟に生きていくことができるようになると思います。
「完全に幸福になり得るのは白痴にのみ与えられた特権である」という言葉があるように、人生、生きているうちは、いろんなことに悩むもの。
「お金や仕事、人間関係、健康、生きていて、すべてが完璧、ハッピー(^O^)」なんてことはありません。
しかし、悩みがあること喜びあり。
人生、何もかもが上手くいって、やることなすこと完璧にできる。そんな人生が本当に意味があるのか、疑問です。
もちろん、365日、毎日がイヤなことだらけで、人生を通じで、すべて上手くいかない、そんな人生が続くのもゴメンですが、結局はバランス。
ネガティブなことがあるからこそ、ポジティブなことに意味がある。仕事でも人間関係でも、苦労をして悩むからこそ、上手くいったとき、それが大きな喜びになります。
まぁ、不思議なもので、人生はどうしようもダメな時期があります。
しかし、時間とともに、状況はまた変わっていきます。状況が変わったとき、挫折で味わった体験が、大きな財産になっていきます。
「良いとき→悪いとき→悪いとき→良いとき」という具合、人生の流れはコロコロ変わっていくもの。
悪いときがきて、いろんなことに悩むハメになったら、そのときはきっと、立ち止まって、自分自身を見つめなおすときなのかもしれません。
そして、悩むことがマイナスだけではないこと、悩むことによって、向かうべき場所に向かうきっかけになること。
そのことを知っておくと、悩むことがムダではないことに気がつきます。大切なのは、ネガティブな体験と向き合い、その意味を知ろうとすること。
もしかしたら、その過程で、大きな宝物が見つかるかもしれません。