孤独でない人生は、孤独な人生よりずっと虚しい。『孤独の達人』を読む

孤独の達人 自己を深める心理学 (PHP新書)

もし、人生において本当に充実した人生を願うなら決して避けてはいけないことが1つある。それが、孤独になるということ。

それを主張しているのが本書、諸富祥彦著『孤独の達人 自己を深める心理学』(PHP新書)です。

この本について

本書では孤独は寂しいとか虚しいとか、決して惨めなだけのものではないことを主張。

その上で、むしろ孤独は幸せな人生を送るために必要不可欠なものであることを心理学的な視点から提示。

人生で必要において一人になることの意味。孤独なときに人生を充実させるためにすべきことなど、孤独の必要性が実感できる内容が満載です。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P16)

一口に孤独と言っても、それには次の3つの種類がある。

1・友達がいない、恋人がいないなどの必要なつながりが持てずに感じる孤独。自分で選んだわけではないのに、そうなってしまった非選択的孤独。

2・周りに人はいるけれど、自分が自分の意思で「独りになりたい」と選ぶ選択的な孤独。

3・世の中と意図的に距離を置き、自分一人で黙々と内面に沈潜していく実存的な孤独。

それぞれ、同じ「独りになる」ことでも、意味や精神的影響度は全然違う。

孤独を云々するためにはまず、この3つの孤独の違いを理解しておく必要がある。

本当の自分を持つために(P28)

周りや社会に流されない本当の自分。それを見つけるために大切な4つのこと。

1・他者との比較をやめる。

2・一人の時間を十分に持つ。

3・自分の内側とつながる。

4・我を忘れて取り組める何かを持つ。

本当の若さとは(P34)

日本においては「可愛い」という言葉に代表されるように、外見的若さが若さの意味だと考えられている。

しかし本当の若さとは何かにワクワクできる精神的なもの。この意味で、何歳になっても何かにワクワクできる人は、若い人。

それは心が死んでいない、年を取っていない証拠だから。

寄り道をする(P37)

人生を変えるきっかけは寄り道にあり。

ふと偶然立ち寄った本屋。偶然再会した知人。偶然参加した勉強会。そういった本当に偶然のきっかけによって、本当の自分の人生が見つかることが多い。

だからこそ大切なのは、毎日効率ばかりにとらわれず、ときにムダだと思うこと。気が向いたことを素直にやってみることが大切。

この意味で寄り道は大切。

まっすぐ正しい道。効率的な道ばかり選んでいると、自分にとって本当に大切な何かを見逃す可能性がある。

譲れないものは譲らない(P40)

人にはそれぞれ、「これだけは何があっても」という、絶対譲れないものがある。

それは自分の存在そのものにとって重要なものであり、それだけは何があっても妥協してはいけない重要度が高いもの。

譲ってもいいものはいくら譲ってもいいが、譲ってはいけないものは、絶対に譲ってはいけない。

一人でいられること(P62)

一人で行動できる、一人だけでいられること。それは人としての成熟の証。

逆に、いつも誰かといないと不安な人。一人でじっとしていられない人は、未成熟である証。

独身の心構え(P79)

これからの時代は、結婚しないのが当たり前の時代がやって来る。

今や、結婚しても3組に1組が離婚し、東京では30代の3割が未婚という状態。そして、その率は年々増加し、やがては2人1人が独身の時代がやって来る。

そこで大切なのは、人生独身でも幸せに生きていけるという心構えを持つこと。

「結婚できない自分は不幸である」という考えにとらわれると、見つけられる幸せも見つけられない。

独身がおかしくない時代がやって来るのだから、いかに独身の人生を楽しむか。自分で自分を幸せにするための心構えを持つことが大切。

こんな時代に結婚をするために必要なこと(P85)

独身が当たり前、離婚が当たり前のこんな時代だからこそ、結婚するためには絶対必用なものがある。

それは、「この人と人生をともにしていく必然性」という意味。

結婚で失敗するのは、なぜこの人と結婚しているのか、その意味がわからない人。

世間体や利益のために結婚すれば、結婚はできるがやがて、結婚相手と人生を一緒に過ごす意味が分からなくなり、生活に虚しさと無意味さを感じるようになる。

しかし、「自分がこの人と結婚して一緒に生きているのはこんな意味がある」と納得できる人は、結婚している意味に納得できるので、別れることはない。

そして、これからの時代、結婚を考える上で本当に大切なのが、なぜこの人と暮らして生きていくのか。その必然性を感じること。

それがあれば、貧乏だろうが豊かだろうが、何だろうが一緒に結婚生活を継続していくことができる。

しかしそれがなければ、2人を結びつける絆は薄い。かんたんに壊れてしまう。

高齢者になったときの心得(P92)

幸せな老後を送るために大切なこと。

1・生活環境を変えない。年をとったら、今まで暮らしてきた環境で過ごすことが一番。

2・心から信頼できる友人、仲間を持つ。

3・家族や同居者に気を遣わずに暮らせる環境を持つ。

「結婚したい」のにできない本当の理由(P132)

いつも口癖で「結婚したい」を連呼しているのに結婚できない人は、自分で結婚を避けている傾向にある。

それはいわゆる回避傾向の人間に多く、口では結婚を連呼するが、本心では実は人と親密になることを恐れている

それだけでなく、結婚によって人生が変わってしまうこと。そして自分が変わってしまうことを恐れている。

だから、結婚のチャンスがあっても、心理的な無意識の抵抗感が表層意識に出てきて、自分からそのチャンスをダメにしてしまう。

これが結婚できない本当の原因。

自分の人生を変えるためにできること(P135)

人はそれぞれの人生で無意識のうち、あるパターンを繰り返している。人生を変えるということはまさに、このパターンを壊す、ということ。

そのために大切なのは、

1・自分の人生のパターンに気づく。

2・そのパターンを繰り返すことで、自分がどんなメリットを得ていたのかを認識する。

3・自分で自分を大切にすると宣言する。

4・何があっても大丈夫な人、絶対に自分を裏切らない心から信頼できる人を探す。

5・自分で自分の人生パターンを書き換える作業をする。

→「こんなふうに生きたい」と思える人生ストーリーを紙に書く。それを朝と夕30回、声に出して読み上げる。気持ちを込めて大きな声で読むのがポイント。

「人生脚本」とそれを書き換える方法についての話です。

人生が成功する本当の理由(P170)

人生で成功をおさめ、幸せを手にしている人がなぜそれを実現できたのか。そのきっかけの80%は本当に偶然の出来事をきっかけにしている。

偶然起こったことからチャンスをつかみ成功する。これが一つのパターン。この意味で、偶然のチャンスを生かせる人が、成功することができる。

感想など

人生で決して孤独になることを恐れないこと。そして、自分にとって一番幸せな人生とは何なのか。それを自分でしっかり考えること。

そのメッセージが深く心に残る本です。

諸富先生の本は読者目線で、分かりやすく、読むたび読むたび、新しい発想がもらえて、心理学が本当に実用的で役に立つ学問であることを教えてくれます。

本書でも自分と向き合う大切さ。

そして人生脚本の理論を用いた人生の再築方法など、専門書で読めば難しい本を、分かりやすく実践できるように解説されていて、とても勉強になります。

ということで人生は一度きり。

せっかく自分という人間に生まれてきたのだから、その自分という人間の人生を楽しく。「これで良かった!」と心から思える物語にしたい。

そんな方は本書がそのための方法を提示してくれます。ぜひ参考にしてみてください。

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