『モンスターマザー』の読書感想 – 非常識な母親が増える原因とは

モンスターマザー

好きなのは「わたし」だけ、本当は我が子さえどうでもいい?

石川結貴著『モンスターマザー 世界は「わたし」でまわっている』(光文社)の読書感想です。

この本について

公の場、世間で非常識な振る舞いをする「モンスターマザー」の実態を探る本。

いわゆるモンスターペアレント関連の本で、モンスターな母親の特性を、「自己愛」や時代の労働環境の変化など、様々な方向から考察していきます。

なぜ、モンスターマザーが世間を敵視しするのか、子どもが人に迷惑をかけても知らん顔をして、世の中は私のためにあるかのごとく傍若無人、非常識な振る舞いをするのか?

この本を読むとその理由が分かるかも。

以下、本書の読書メモです。

根本は子育て環境の変化(P3)

モンスターペアレントに悩まされる学校が増えており、校長や教師を恫喝、非常識なクレームをつける保護者が増えている。

なぜそのような行動を起こすモンペが増えたのか、その背景にあるのは、母親たちの変化にある。

今の母親たちは「子どものため」というより「自分のため」という気持ちが中心で、子育ても子どものことを第一に考えるより、いかに楽で効率的に子育てできるかを考えている。

そのため、至高の中心が子どもよりも自分、自分中心で考えてしまうので、そのような母親が一歩世の中に出ると、自分自分のモンペになる。

また、母親も子育てに関心があって頑張っている母親と、上記のようなモンスターマザー、二極化する傾向にある。

子育てを頑張っている母親ですら、人間関係の希薄化が原因で、他の母親とも「薄い」つながりしか持てず、孤立している。

一人で孤軍奮闘した挙句、「自分以外は敵」というように、極端な人間不信になってしまう人も。

モンスターマザーが登場する背景には、子育てをする母親の環境が変わったことにも原因がある。

客観的な視点が持てないモンスターマザー(P27)

モンスターマザーの視点は自分だけ。自分がどう思うか、自分が楽か。そこがすべて。

そのため、保育園や幼稚園の先生が子どものためを思ってアドバイスをしてくれても、そのアドバイスを受け入れることはない。

彼女らは、「人がどう思うか、どう考えるか」という視点や想像力が完全に欠如している。自分視点で自分が絶対正しいと思っているので、当然、子育ては独善的になる。

それがどんなに非常識で間違っていたとしても、彼女らの理屈は、「私がいいと思うのだからそれでいい」となってしまう。

他人の迷惑をかけても関係ないのがモンスターマザーの考え方。

学校に一人でも「私は絶対正しい」と信じて疑わないモンスターペアレントが独善的・非常識な行動を起こすことで、それに追従する母親が出てくる。結果、非常識な行為がまかり通ってしまう。

モンスターマザーは現象よりも感情を優先する(P71)

モンスターマザーがクレームを入れてくる場合、根本には感情の問題がある。

「何が起きて、その結果どうなったのか?」という現象より、その現象でどんな感情を感じたのが、そこに反応する。

モンスターマザーは感情に動かされ、理性的な行動ができないので、冷静な話し合いは難しいかも。

忠告や意見、アドバイスはムダ(P74)

モンスターマザーは、「自分は正しい」と思いつつも、心のどこかで、「認められたい、誰にでも受け入れられたい」と思っている。

彼女らは、人から認められたいと願うあまり、傷つくことを恐れ、批判について、必要以上の過敏な反応を示す。

ひどい場合だと、善意のアドバイスですら、「批判」や「個人攻撃」と受け取り、味方であるはずの善意の人にすら「反撃」してしまう。

「子育ては損、自分は被害者」と考える母親(P189)

専業主婦をする母親のなかには、「自分は外で働けないで、家庭で報われない子育てをしている。自分は犠牲者だ」と考える母親もいる。

彼女らは「被害者意識」を持っているのが特徴で、子育てに報酬や評価がないことに対して、不満を持っている。

「自分だけは子育てのために人生を犠牲にしている、損をしている」というネガティブな感情を持っている。

感想など

社会問題化している自己中で非常識なモンスターペアレントの問題を、「母親」の視点で読み解く内容で、刺激的で面白かったです。

この本では、子どもの食事をオールインスタントにしたり、運動会でピザの出前を頼む母親の例が出てくるのですが、このような奇抜で非常識な行動の背景には、母親の内的な価値観、考え方の変化があるそうです。

「世間よりも自分。私が全て。私は正しい。だから反対する人、私に何か言ってくる人は悪いやつ。」

彼女らの思考はこのようにシンプルで、周りにいる人がどう感じるか、社会のルールはどうだとか、全く考えることはありません。

このような人が増えている現象がモンスターペアレントの問題。

人と人とが折り合いをつけて、妥協し協力しながら生きていく場所で、このような自分中心の人が増えていけば、当然共存は難しくなります。

「言いたもん勝ち、やったもん勝ち」の世の中になってしまうと、きちんとルールを守る善良で常識的な人々が損をしてしまう、ギスギスした世の中になってしまいます。

モンスターペアレントの問題は、もはや個人の問題ではなく、皆で考えていかなければいけない問題なのかもしれません。

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