最新の研究で分かった脳のこんな話。
池谷裕二著『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? 』(祥伝社)の読書感想です。
この本について
脳科学の最新研究をもとに、恋愛やダイエット、不眠症など、身近な話題を分かりやすく解説する本。
一言でいうと、「脳はこんな働きをしていて、だから私たちの日常の行動はこんなふうになってしまうのか!」という発見がある本です。
この本を読めば、脳の存在をもっと身近に、リアルに感じることができます。
以下、本書の読書メモです。
意識の不思議(P3)
意識しないで出来ることと、意識しないと出来ないことがあるのは、それは脳の使い方の差。
意識してしまうことは、「それは注意してやりなさい」と脳が警告を発しているから。
ストレスと脳(P33)
慣れればストレスはストレスにならなくなる。まだ慣れていないことはうまくできないのは当然で、ストレスを感じるのも当然。
しかし脳はその刺激にだんだんと慣れてきて、経験を積むことで、ストレスもストレスでなくなる。
やる気について(P59)
やる気は脳の仕組みにあり。外から脳に刺激を与えることで、行動を起こせる→結果を出せるという仕組みが外発的動機づけ。
脳は外から刺激を与えることで、うまく反応してくる。
ドーパミンの役割(P65)
脳内物質のドーパミンは、やる気を促す快楽を与える。ドーパミンが出るから人はやる気になるし、そして、何か一つのことにとことん打ち込むことができる。
例えば恋愛中に「あばたもえくぼ」になるのはドーパミンの働きがあるから。ドーパミンの働きによって周りが見えなくなり、ますます恋愛にはまり込んでいく。
恋も実は、脳内物質による働きによる影響が大きい。
自己維持本能について(P94)
人には機能をずっと働かせる恒常性が備わっている。
つまり脳は同じ状態を志向する傾向があり、だからこそ、人は意識しなければ、なかなか変化していくことが難しい。
なぜ不安が必要なのか?(P263)
不安を感じる機能が人に備わっているのは、それが必要だから。不安によって様々な能力が活性化されるのがその何よりの証拠。
例えば記憶力。不安を感じることで人は記憶力が活性化され、それによって、自分にとって危険なものを感知し、遠ざけるための行動を起こすことができる。
人に備わっているものに何一つムダはなし。必要だから、備わっている。
感想など
コラム調で分かりやすく脳のあれこれが勉強できた本。
心とは何なのか、意識とは何なのか、そういうことを考えると哲学的になってしまいますが、単純に考えると、心も意識も脳の働き。
私たちが誰かに恋をするのも、仕事に一生懸命になるのも、そこに脳が司令を出しているから。
そう考えると、脳とは何なのか、ますます不思議。
この本では、身近なテーマをもとに、脳の働きや役割について分かりやすく理解できます。専門書で脳を勉強するまえに、この本を読むことで、理解もはかどります。
自分を知るという面で、とても勉強になった一冊でした。