「ひきこもり」の本当の本質を説く。『仮面ひきこもり』を読む

仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」 (角川oneテーマ21)

家の外ではリア充。家の中ではひきこもり。

服部雄一著『仮面ひきこもり あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」』(角川oneテーマ21)の読書感想です。

この本について

社会と関わり、表面的にはうまくやっている。しかし内実、人を信用できず、ニコニコしつつも人を疑い、人間関係にストレスを感じている。

そんな心を閉ざしている「第二のひきこもり」について書かれている本。

ひきこもりというと大げさな気がしますが、この本では日本人にありがちな、社会に適応していくための心理的努力について、考察することができます。

以下、本書の読書メモです。

はじめに(P4)

ひきこもりには、全く外の世界に出ていくことができないひきこもりと、精神的なひきこもりの2種類がある。

後者は、表面的には社会的にうまく適応しているものの、完全に心を閉ざしており、心理的に孤立している。

これは日本ではよく見られる症状で、20代から50代、職業性別問わず、多くの人が、精神的なひきこもり状態に陥っている。

彼らは人を信じることができない。本当の自分を隠し、仮面をつけて、世の中に適応しようと努力している。

だから内面と外面、その差が、驚くほど大きい。

なぜ仮面ひきこもりは苦しいのか(P28)

仮面ひきこもりとは、いわば社会参加するひきこもり。普通の生活はしているけれど、心理的に大きな壁がある。

基本的に彼らは人間不信であり、対人恐怖を抱えている。それを知られないよう、笑顔をつくり、にこやかな雰囲気で、本当の自分を隠している。

だから一見周りとうまくやっているように見えても、心を開いていないし、人を信用しているわけでもないので、親しい人間関係が築けない。

彼らの多くは孤独で、特に異性と関係を築くのが難しい。

仮面ひきこもりの家庭環境(P35)

一般的なひきこもりが育つ家庭には共通点がある。

専業主婦の母親が多く、父親は育児に無関心。家族同士で本音を言うことはなく、親の夫婦仲は悪いのに、離婚していない。

しかし、親自体に経済力があるので、こどもがひきこもっても、それを許容できる。そして、母親が子どもをなんとかしようと、一人で頑張る傾向が強い。

一方、仮面ひきこもりの場合、家庭環境は比較的似ているが、母親とこどもの共依存関係が強いところに特徴がある。

母親は父親と会話が少なく、本音を言わない。そして寂しい。夫のかわりに、子どもに自分の存在価値を求め、共依存の関係に陥っていく。

ここに、仮面ひきこもり家庭の特徴がある。

ひきこもりの本当の原因とは(P40)

社会的であれ仮面であれ、ひきこもりになってしまう本当の原因は愛着の問題。

彼らは母親との間に深刻な愛着不足の問題を抱えており、

1・人間不信

2・対人恐怖

3・感情麻痺

4・二重人格

これら4つの特徴を持っている。

問題が目に見える症状となって現れているのが社会的ひきこもりであり、問題を隠蔽して表に出さずに我慢しているのが、仮面ひきこもり。

つまり違いは、症状が表に出ているか出ていないか。それだけの違い。

仮面ひきこもりの特徴(P45)

仮面ひきこもりにあてはまる特徴。

1・恋人と親密になれない。

2・身近な人に本音を言わない。言えない。

3・人をあてにしない。自分でなんとかしようとする。

4・根本的に人は信用できないものと考えている。

5・人を喜ばせるために無理をする。

6・人といると緊張する。

7・笑顔を作って人と接しているが、本当は人が怖い。

8・人が何を考えているか、分からない。

9・その場しのぎで行動することが多い。

10・他人に影響されやすい。

11・善悪の判断がわからなくなる。

12・自分で決断できない。

13・何のために生きているか、分からない。

14・自分の気持ちがよく分からない。

15・人は二面性があると信じている。

16・本当の自分を見せると人から嫌われると信じている。

17・人に合わせすぎる傾向がある。

18・誰も本当の自分を理解していないと思っている。

19・自己主張が激しい人が苦手。

20・太宰治の『人間失格』に対して、大賛成か大反発か、極端な反応を示す。

感想など

仮面ひきこもりという表現を使っていますが、内容は回避性人格障害の話。

一応、表面的にはきちんと社会的に適応していて、何の問題もないように見える。しかし本人は人を信用していなくて、他人との間に距離感、孤独感を感じている。

本書ではその状態を「仮面ひきこもり」と表現、その原因を、家庭環境に起因する愛着の問題であると言います。

ただ、正直なところ、多かれ少なかれ、みんな、こういう部分があるんじゃないかなー。

社会で出会う人出会う人を信頼することなんてできないし、人前で無防備ひ心を開いていたら、とんでもないことになるのも事実。

実際悪いやつもいて、信用していい人。信用してはいけない人。付き合っていい人。付き合っていけない人。

それを察知してうまく距離を調整していく。それが大人の流儀ではないでしょうか。

それに、一応社会で自分を適応させるために笑顔を作るのも当たり前のことだし、仕事の人間関係で親密になれないのも、むしろあたりまえのことではないでしょうか。

別に仮面ひきこもりとか、わざわざそういうラベルを貼って、「自分は問題なんだ」と考える必要はないように思います。

もともと対人関係で過敏なのはその人の特徴の一つだし、人は多かれ少なかれ、対人不安を持っているもの。

マイナスと考えず、むしろ持ち味と考えて、活かす方法を考えた方がもっと実用的じゃないか?なんでもかんでも、心の問題にするのもどうなんだろうか?

個人的にはそう思いますが、あなたはどうでしょうか。

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