失敗した、問題はその次のこと。
畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』(講談社)の読書感想です。
この本について
失敗は成功のカギ!失敗から学ぶこと、次の改善につなげることの重要性を説いた本。
本書によると、失敗には良い失敗(未知、新しい体験でのもの)と悪い失敗(人為的な不注意、怠慢によるもの)があって、悪い失敗を防ぎ、良い失敗から学ぶことの意味が身に染みる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
「こうやれば上手くいく」より「こうやればダメになる」を知る(P12)
共有すべきは成功例ではなく失敗例。
失敗例を共有することで、人と同じ失敗を避けることができ、時間と労力の浪費を防ぐことができる。
失敗の痛手をプラスに変える(P16)
失敗はマイナスの影響があることは事実だが、そこから学び、次に生かす材料にすれば、失敗というマイナスをプラスに変えることができる。
行動しなければ何も起こらない。失敗を恐れて何もしないのではなく、失敗しても、そこから学び、改善していくことが大切。
子どもには小さい失敗をさせる(P27)
子どもが失敗しないよう、大人が「あれもダメ、これもダメ」とダメ出しするのはNG。子どもには、致命的にならない、小さい失敗を経験させる。
子どもにあえて失敗を経験させることで、子どもが自分で物事を判断する力を養うことができる。大切なのは、子ども自身が体験で学べるようにすること。
失敗の原因(P60)
失敗してしまう10の原因。
1・無知
→「こうすれば失敗が防げる」と解決策や予防策が分かっているにも関わらず、本人の勉強不足や無知によって起こる失敗。
2・不注意
→人為的な不注意によるもの。注意力不足、過労や寝不足等も要注意。
3・手順の不順守
→しかるべき手順を守らなかったために起こる失敗。
4・誤判断
→状況を正しく理解できなかったために起こるミス。判断ミスによる失敗。
5・調査と検討の不足
→判断材料の不足や検討不足によって起こる失敗。
6・制約条件の変化
→事前に想定した条件が変化してしまうことによって起こる失敗。
7・企画不良
→企画そのものに問題があることによって起こる失敗。
8・価値観不良
→自分の価値観が周囲と違うことによって起こる失敗。「俺はこうやって上手くやってきた」など、自分の過去の成功例に頼って失敗してしまうケースもこれ。
9・組織運営不良
→物事を実行する組織自体が上手くいっていないために起こる失敗。
10・未知
→前例のない新しい体験で、誰もが新しく対応を迫られて失敗してしまうケース。この失敗はとても価値のあるものであり、未知の失敗から学ぶことで、新しい発見がある。
失敗は過程と結果等を知識として残す(P98)
失敗したことから教訓を学び、それを未来の生かすため、失敗例は何をしてどんな失敗が起こったのか、知識化させることが大切。
失敗を1つの知識として、情報共有する。
人の失敗は責めない(P116)
失敗を知識化させ、1つの情報を残すために注意したいのは、失敗した人を責めないこと。
大切なのは責任を追求することではない。今後同じような間違いが起きないようにすること。聞き手は批判的な言動を慎み、失敗が起こった過程、原因等を、冷静にヒアリングすること。
感想など
「失敗」というと、ネガティブなもの、できれば避けたいものというマイナスイメージがありますが、人はミスや失敗から学べる生き物。
何かに挑戦し、そこで思い通りにいかず、失敗してしまったときにこそ、人間力が試される瞬間。失敗から原因を分析、次に生かすことで、失敗がプラスの「恩恵」に変わるのかも。
起こすべき行動はどんどん起こし、そこから軌道修正、学びつつ前進していきたいものです。
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