エジプト研究の第一人者、早稲田大学教授の吉村作治著『運命を味方にする生き方』の読書感想です。
『運命を味方にする生き方』について
10歳で読んだある1冊の本で、エジプトの研究者になることを決めた吉村教授。
エジプト研究を志すきっかけや、紆余曲折の人生の中で身につけた人生訓を公開しているのが本書です。
この本では、47のアドバイスがあるのですが、1つのアドバイスにつき2〜3ページの解説という構成で、とても読みやすかったです。
人生で夢を実現するために何をすればよいか、どのような考え方をすればよいのか、勉強になるアドバイスが詰まっています。
以下、気になったところの要約です。
人生は「遠回り」にこそ価値がある(P39)
目標を決めるのは早ければ早いほどいいが、そのための計画を実現するために、助走期間は長いほうがいい。
思いつめると価値観が偏るので、助走中に自分の考えが正しいか、冷静に見つめる。そして、いろんな経験を自分の肥やしにする。
良い決断をするために(P49)
思いつきで決めること、せっかちになっては成功確率は低くなってしまう。
決断するなら、自分の能力と夢に整合性があるかどうかを見極めること。ただ、勉強(学問)なら、ほとんどの人に適正がある。
勉強に必要なのは、努力と忍耐、まじめさだから。
人生は思い通りにいかない、であるならば(P63)
人生では、自分の努力や頑張りに関係なく、理不尽でどうしようもないことが起こる。理屈通りに人生は進まない。
だからこそ、損得で人生は考えず、のちのち「これをやって良かった」と納得できる道を選ぶ。
成功の影に無数の失敗あり(P77)
行動→失敗→検証。このプロセスで、そのうち上手くいく方法が見つかる。だから、失敗は恥ずかしいことではない。
ただし、失敗しても諦めず、成功するまでトライすること。成功しないと失敗した意味が無意味になるから。
ピンチのとき、人生の選択に迷ったら(P96)
人生は一直線には進んでいかない。夢や目標を決めて行動しても、挫折する。
思うようにいかず、人生に悩んだら、「自分は何のためにこの道を選んだのか?」という初心に立ち返ること。
幸運は失敗のふりをしてやってくる(P153)
人生万事塞翁が馬。長い目で見ると、「ダメだった、失敗した」と思っていたことが、実は意味のあることだったりする。
人生には挫折があるが、それを克服することもできる。
ついていく人を見ぬくポイント(P180)
基本的に、年功序列、年上には従う。
その上で、言ったことを誠実に実行する「誠」の人で、自分の特徴や長所を役立てられる人を師に選ぶ。
夢をかなえるための5つの心構え(P220)
1・運の存在を信じる。
2・とにかく続ける。
3・人がやっていない方法でやる。
4・自分を売りものにし、資金を集める。
5・努力が重要。努力は自分に克つため。人間術を発揮させるためである。
感想など
一流の研究者である吉村先生の考え方、目標を実現するための心構え、アドバイスがたくさん詰まっている本でした。
吉村先生の経歴を見ると、非常に紆余曲折、様々な経験を得て、成功されていることに気がつきます。
10歳のとき、1冊の本と出会い、
エジプト研究を夢見る→小学校の先生から「エジプトの研究がしたいなら東大に行け」と教えてもらい、勉強に協力してもらう→受験で三浪→早稲田大へ→留学→非常勤講師やアルバイトをして暮らす→43歳で助教授に→研究を続け、エジプト研究の第一人者に
という具合、エジプト1本。
そのために3回の浪人、アルバイター時代、教授になってからは研究のトラブルなど、まさに波瀾万丈。
名を成す一流の人は、やはりそれなりの失敗や挫折を経験して、それを克服しているのかもしれません。
考古学を目指す方だけでなく、人生で叶えたい目標がある方には、本書は貴重なヒントを与えてくれることでしょう。