この世には、心の病をでっち上げて患者を薬漬けにするヤブ医者がいる!?
ウィリアム・グラッサー著『警告!あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので精神科には注意しましょう』(アチーブメント出版)の読書感想です。
この本について
精神医療、特に投薬についての治療に警鐘を鳴らす本。
過激なタイトルなので注意深く読み進めてみましたが、内容をざっくり書くと、精神科の薬には頼らず、「メンタルを病む原因となる考え方やライフスタイルを変えていきましょう」という本です。
「相手は変えようとすること、相手をコントロールすることが人間関係にトラブルのもとであって、精神科医の見立て通りに薬で不安や不幸感を麻痺させても、解決にはならない」というのが本書の考え方。
薬に頼ることの危険性や、自分を変えていくこと、「周囲をコントロールしよう」という意識を変革することの大切さが分かる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
精神病の判断は確実な根拠がない?(P3)
精神疾患の生物学的根拠については、未だ明らかな原因が見つかっていない。そのため、精神病の診断は、根拠不十分なまま、日々病名の診断が行わている。
精神的健康とは(P74)
幸福であること、精神的に健康であること(メンタルヘルス)とは、自分が選択した人生を楽しむこと。自分の身近にいる人たちと上手くやり、「自分の人生は価値があるものだ」と信じること。
向精神薬が依存を引き起こす(P112)
一度でも向精神薬を飲み始めると、「脳内物質のバランスを保つ」ために、何年も精神薬を飲み続けるハメになる。効果がなければ薬を変えるか薬の量を増量、それが薬物依存と似たような薬依存状態へつながっていく。
不幸とは(P122)
人生が思う通りにいかない時と場所にいること=不幸の定義。幸い、不幸はずっと続くわけでなく、状況が変化することもある。
対人関係で悩む原因(P176)
人との関係で上手くいかず悩むのは、相手をコントロールしようとするから。夫婦関係や親子関係、職場での関係、どんな人間関係であれ、相手は自分の思い通りにはならない。
相手を思い通りにしようと外的コントロールを加えようとする(=私は正しい、お前は間違っている)と、人間関係が上手くいかず、トラブルが起こる。
相手を批判したりガミガミ言うこと、脅かしたり罰することは相手をコントロールしようとする行為で、結局はそれが自分の不幸へとつながる。
症状の背景(P234)
症状が起こる背景には、もととなる行動がある。症状はいわば行動への警告であって、自分の行動を見つめ直す必要がある。
感想など
精神医療への批判から始まり、考え方、物の見方を変えてく認知療法的な内容の本でした。
「コントロールを手放す(特に人への)」というのが本書のテーマの1つですが、人を思い通りにしようとすること、人にあれこれ期待することは、確かに不合理で非効率的なもの。
「あいつはこうすべきだ、あいつのここが嫌、変えてほしい」など、人への期待を持ったり、人を思い通りに動かそうとするからこそ、人間関係で疲れてしまうのかもしれません。
結局、変えられるのは自分一人。人を変えようとするより、自分の考え方を変えること。柔軟に自分を変化させていくことができれば、もっと人生、楽になるのかもしれません。