日本の教育にはこんな問題が?『なぜ日本の若者は自立できないのか』の読書感想

なぜ日本の若者は自立できないのか

少年院など若者の心の問題に取り組む臨床医として有名な岡田尊司さんの本、『なぜ日本の若者は自立できないのか』を読んだ感想と内容です。

強引に要約すると、

「こどもにはそれぞれ特性があるが、それを無視した画一的な教育によって、成長を阻害されている。その結果、こどもは自立できず、日本は人材を上手く育成できていない。オランダやフィンランドなど、海外の教育に学びつつ、日本の教育システムを変えていくことが重要。」

という内容で、日本の教育、こどもの教育について考えさせられる一冊です。

以下、本書の気になった内容です。

偏った能力(P27)

日本の若者に統合能力(情報を組織化して系統化する力)の弱い人が増えている。そのため、社会で生きていくための柔軟性を失い、ちょっとしたことで挫折しやすい。この原因の1つは、日本の画一的な偏った教育にある。

人によって学習タイプが違う(P50)

人にはそれぞれ、情報を処理力に違いがある。目で見て情報を処理するのが得意な人、耳で聴いて情報を処理するのが得意な人、文字を読んで情報を処理するのが得意な人というように、人それぞれ、特性に違いがある。(視覚空間型、聴覚言語型、視覚言語型の3タイプ)

それぞれの特性の違いによって、効果的な学習方法が異なるが、今の教育システムでは、一部の人に有利なシステムになっている。学校教育が自分の特性と合っていないこどもは、学校で劣等生になりがち。かりに学校を乗りきれても、社会で挫折しやすい。

市井の教育論もこんな注意が必要(P74)

一般的に語られる教育論は、主に一部の特性を持つこどもを対象にしているもの(学校で従業を受けるのが得意な聴覚言語型)が多い。そのため、教育論の内容を鵜呑みにして我が子に適用させようとするのは危険。

自分のこどもの特性を見極め、それに応じて教育論を吟味する。どんなこどもにも当てはまる万能な教育メソッドはない

海外の教育について(P123)

アメリカやフランスのような、エリートを養成するような教育システムは、ほんのごく一部の人たちが、ものすごい力を持つエリートとなるような、強いリーダーを育てる教育になっている。

ヨーロッパ圏では、オランダやフィンランドのような、多様性を重視し、こどもの特性に応じた教育が受けられる仕組みになっている国もあれば、ドイツやスイスのような、職業教育を重要視し、自立できるような教育制度が作られている。

日本の場合、大学進学に教育が偏っているものの、世界的にみて日本の大学教育の評価は低く、日本の教育自体、エリートを育成するものでなければ職業人を育成するものでもない、中途半端なものになっている。

教育制度はその国の価値観とリンクしている?(P140)

「フィンランドでは、午後三時を過ぎると社員は帰りはじめ、五時を過ぎると会社には誰もいなくなるという。六時にはみんな帰宅して、家のことや自分の趣味に時間を使える。」

→日照時間などの条件もあると思うが、日本とは仕組みが違う国があり、それで上手くいっている理由を考えて良いところは取り入れる。

感想など

この本を読むと、日本の教育は人の話を聞いて、それをきちんと覚えられる人間を作る教育が主流となっていて、自分の意思であれこれ発想したり、試行錯誤するような人間ではなく、「すでにあるもの」を覚え、守っていく人間を作る日本の教育の特徴がよく分かります。

そして、学校を優秀な成績で卒業しても社会で挫折してしまう人がいるのか、本書を読んで理解できたように思います。

なぜ高学歴ニートが生まれるのか、自立できない若者が生まれる日本の教育の問題点は何なのか、読んでいてとても勉強になりました。

本書では、こどもの特性(視覚空間型、聴覚言語型、視覚言語型)に応じた教育方法を選び、能力を伸ばして上げることの重要性が強調されていますが、確かに人には向き不向き、得手不得手というものがあるように思います。

「自分の特性に応じた教育方法を選ぶ」というのが一番のポイントで、やはり自分にあった方法で学習しなければ、労力の割に結果が伴わないのが現実。みんな一緒の画一的な教育には限界があるのかもしれません。

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