成長企業のダークサイド。『ユニクロ帝国の光と影』を読む

ユニクロ帝国の光と影

伸びる会社の陰には、犠牲になる人がいるかもしれない。

横田増生著『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋)の読書感想です。

内容について

ユニクロ本社から訴えられたといういわくつき本。しかし、極めて公平な視点で、ユニクロについて丁寧に書かれている本です。

ユニクロとはどんな会社なのか、ユニクロが伸びていった要因、会社の強み、柳井社長の実像など、極めて公平な視点で書かれています。

なぜ、ユニクロが柳井社長のもとで現在のような大企業になったのか、ユニクロという会社が社会に提起している問題は何なのか、

以下、本書の気になった内容の要約メモです。

ユニクロの勝利の方程式

ユニクロの基本戦略=人件費(正社員比率を極限まで抑える)をとことん削り、コストのかからない海外(中国など)で製品を作り販売すること。

社員は正社員比率を極限まで抑え、人にお金がかからないようにしつつ、社員問わず働く人をマニュアルで徹底管理している。この結果、柳井会長の指示が下の社員まで伝わり、極めて利益率の高い会社運営が可能になっている。

反面、働く人はとことん働かされるため、ユニクロで働く店長や社員、バイトに、大きな負荷がかかっている。会社の利益率は高いが、働く人の負担は大きく、ユニクロの高い離職率に現れている。

労働環境について

基本的に会社が高収益の会社にするためには、あらゆるコストを抑えることが大切だが、ユニクロの高利益率の理由は、ユニクロ独自の仕組みに加え、人件費の圧縮によるところが大きい。

極端な話、安く働く人を大量に確保し、マニュアルで徹底的に管理して働かすのがユニクロ式。正社員が少なく(1割程度!)、バイトですら厳しい要求をかせられるため、働く側からすれば、大変な企業。

店長は大量の仕事があり、自由裁量はないが責任が大きい。柳井会長の方針が絶対であり、本部の方針とマニュアルを、確実にこなしていかなければいけない。

そのため、仕事量の多さとプレッシャーで、うつ病などで離職する人が多い。

ユニクロとは違うやり方で成功しているZARA

一方、ユニクロとは違うやり方で成功している企業もある。それがユニクロのライバルであるZARA。

ZARAは自社で人材を確保し、正社員比率を高め(8割が正社員)、自社で工場を持ち、スピード重視の戦略で結果を出している。

ユニクロのように、自分で工場を持たず、正社員を減らしてバイトなど非正規雇用中心の戦略とは違う戦略で上手くいっている。人件費を削ることだけが、企業が成長する道ではない

ユニクロは柳井会長のワンマン会社

よくもわるくも、ユニクロは柳井会長のワンマン会社。柳井会長はワンマンは良くないと言っているが、社員が育たず、現状は柳井会長のワンマン会社になっている。

感想など

急成長する人気企業にはいろいろあるのだなぁ、ということが実感できる本でした。

「小さな会社が大きな会社となっていく。成長していくなか、いろんな歪が生じてくる」という言葉をある本で読んだことがあるのですが、まさしく『ユニクロ帝国の光と影』を読んでいて、そのことを思い出しました。

安くて、そこそこ良い服が買える。しかし、その安い服は、安い給料で長時間働く人たちがいるからこそのものであって、便利さの代償を払っている人がいるのだと思うと、いろいろ複雑な気持ちになれます。

ところで、前からユニクロに行く度に思っていたのですが、なぜユニクロの店員さんは同じような頭の下げ方をするのか、同じような表情を作ってあいさつをするのか、あれには理由があったのですね。

徹底したマニュアルによる社員教育(ユニクロは正社員が少ないので「社員」という言葉を使うのは不適切かもしれませんが)の徹底、金太郎飴的な店舗管理、舞台の裏側は大変なんだなぁと。

この本を読んで、特にこの本の「ユニクロで働くこと」というところを読んでユニクロに行くと、「働くことの意味」を考えさせられるかも。

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