表現1つで結果は天と地獄。『伝え方が9割』を読む

伝え方が9割

「そのコトバを使うとお願い事もノーになる?」

コトバの表現を解説したコピーライティング本、佐々木圭一著『伝え方が9割』(ダイヤモンド社)の読書感想です。

内容について

人にお願いごとを依頼するときでも、言い方1つで結果がガラリと変わってしまいます。そこで、この本では、上手な伝え方、「ノー」を「イエス」に変えていく、表現方法のコツを学ぶことができます。

著者の佐々木さんは、もともと日記も文章も書くのが苦手だったそう。ところが、会社の配属によってコピーライター部に配属になってしまい、とても悩んだそう。

しかし、「文章もダメ、日記も苦手、会社が苦痛だった」のが表現の技術を学ぶことによって、コピーライターとして成功。

「伝え方にはシンプルな技術がある、コピーライティングは特別な才能などいらない」ということに気がついたそうです。

本書では、佐々木さんが習得したコトバの技術が分かりやすく勉強できる内容になっています。

以下、本書の気になった内容の要約です。

お願いごとは相手の名前+感謝するコトバを添付する(P22)

例:「いつもありがとう山田さん。この領収書、おとせますか?」

感謝コトバは否定されにくい。相手が気持ちに応えようとしてくれやすくなる。

伝え方は人生を左右する技術(P26)

表現の原則。伝え方1つで、「イエス」が「ノー」になり、「ノー」が「イエス」になる。表現の技術は、勉強すれば身につけることができる。

そして、その技術によって、多くの人から「イエス」を引き出しやすくなり、チャンスが広がる。

心を動かすコトバには法則がある(P34)

コトバは組み合わせることで、人の心を動かす表現を作ることができる。

まるで料理のレシピのように、コトバの組み合わせの法則を理解することで、感動的な表現が生み出せる。これはコトバの技術論。

代表的な例は、正反対のコトバを使うこと。

・「考えるな、感じろ」燃えよドラゴン

→「考える」と「感じる」

・「死ぬことに意味を持つな。生きるんだ!」3年B組金八先生

→「死ぬ」と「生きる」

コトバの組み合わせの効果を理解することで、無限に応用がきく。

まずは基本を覚えて、それをコピーして、そこから自分なりの表現方法を身につけていくのが王道。

伝え方は人生スキルだ(P40)

あなたがいくら魅力的でも、それが人に伝わらないことには、あなたの魅力を人にうまく伝えられない限り、その魅力はないものと同じ。

就職でも会社の出世競争でも、自己PR不足では実力相応の結果を手に入れることはできない。実力がないのに出世する人、口が上手い人が上の人に気に入られるのは、自己PRが上手いから。

自分を伝える技術、表現のスキルがない人は、社会で損をする?)

「イエス」を引き出すコトバの作り方三箇条(P56)

第一、頭の中で思ったコトバをそのまま口にしないこと。

第二、相手の頭の中を想像する。

第三、相手のメリットと一致するようなお願いを作る。

例:20代男、30代前半の女性に交際を申し出る。

男「彼女と付き合いたいけど、オレが亭主関白で、主導権を握りたい。オレについてこい!」と思っても口にしない。

男「彼女は、30歳になって、結婚を考えているだろうなぁ。すると、稼ぎの安定した男、将来性のある男を狙ってるだろうなぁ。」(相手の頭の中を想像。)

男「僕はこれだけ働いて家を守る男になるんだ。経済的に安定した家庭を作りたいんだ。僕と付き合ってくれる?」(相手の希望を汲み取りつつ、「交際したい」という自分の願いを切り出す。)

「イエス」を引き出すために相手の頭の中を想像するときはこの7つの切り口から(P64)

1・相手の好きなことを想像する。

→自分のメリットだけでなく、相手のメリットも考える

2・相手の嫌いなことを回避する表現を。

→「嫌なことを避けさせる」のは大きな大義名分になる。「これイヤだよね、ならこっちは?」という具合に。

3・AかBか、選択の自由を与える。

→人は比較が好き。2つの選択肢を与えることで、前向きに選ぶことができる。

4・相手を認めたコトバを。

→「お願いできる?」など、「私は頼りにされているんだ」というような承認願望を刺激するコトバを使う。

5・「限定」という魔法のコトバ

「あなただけに・・・」というコトバに人は弱い。悪徳商法でも、よくこのコピーが利用されているのは、それだけ人が限定に弱いから。

6・チームワーク化(みんな一緒)

→「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の理屈。「ほかの人もしていますよ」などのみんな一緒的なコトバは、「オレもしなくちゃ」という気持ちを引き出す。ただし、このコトバを使うときは、使うあなたもも参加することが必要。

7・感謝コトバを使う

→ありがとうのコトバは「ノー」を出しにくい。感謝が入ると、人は拒否しにくくなる。「いつもトイレをキレイに使ってくださり、ありがとうございます」→「お、汚くしてはいけないな」という心理と同じ。

印象に残るコトバ、残らないコトバ(P117)

今や情報社会。テレビに新聞、インターネット。人々は情報の渦の中。

たくさんの文字、情報があふれるなか、印象に残らないコトバは、人々の記憶からすぐに忘れさられてしまう。

同じ内容のコトバでも、強いコトバと弱いコトバがある。強いコトバとは人の感情を動かすコトバ。感情を動かされると、記憶に残る。

強いコトバを作る5つのポイント(P122)

1・サプライズ法

→コトバに驚きを添付。「!」や「、〜」(例:そうだ、京都に行こう。)などのコトバに高低差が出る表現を加える。

2・ギャップ法

→コトバに理想と現実など、ギャップをつける表現。「お前のためにチームがあるんじゃねえ チームのためにお前がいるんだ!!」(スラムダンク、安西先生)などがその例。

3・赤裸々法

→体温を感じるような、生々しい詩人のような表現法。「上を向いて歩こう がこぼれないように」(『上を向いて歩こう』より)などが例。

涙、汗ばむ、口から息が〜、など、身体の反応を示すコトバは、赤裸々法で表現を作り出しやすい。

4・リピート法

→コトバをリピート(繰り返す)する方法。「さくら、さくら〜」や、「さいた、さいた〜」、「人民の、人民による、人民のための政治」(リンカーンのゲティスバーグ演説)という感じで。

繰り返されることで、コトバが心に残りやすくなり訴求性が高まる。

5・クライマックス法

→「これだけは覚えておいてほしい」、「3、2、1」という具合に、ガツンとコトバを強調し、緊迫感や期待感を演出する方法。

相手の集中力を切らさずに、コトバを伝えることができる。

感想など

「コトバは使い方1つでその影響力がガラリと変わる。」

当たり前ですが、大切なことに気づかせてもらった一冊。私も文章業で生計を立てているので、この本の内容は、とても参考になりました。

文章を書く作業を生業としているので、仕事において、表現の違いが結果を生むことの重要性は、常々認識させられています。

ちょっとした表現の違いが、人からの反感を買う恐ろしさもありますし、予想外のコトバが、良い評価を得ることもあり、まさしく、コトバというのはある種の武器のように感じています。

正しく使えば、大丈夫ですが、知らずに使っていると、痛い目にも遭います。コトバの使い方は、常に勉強していきたいと思うこの頃です。

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