21世紀を生きる私たちが今こそ学びたい歴史の教訓。
ティモシー・スナイダー著『暴政:20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』(慶應義塾大学出版会)の読書感想です。
この本について
ヒトラーの台頭やソビエト連邦の樹立、激動の20世紀の歴史を通じて、私たちは何を学ぶべきなのかを20の言葉にして凝縮。
21世紀に生かすための教訓を学んでいく本。
権威主義の持つ権力のほとんどは、労せずして与えられるものです。
現在のような時世においては、個人は予め、より抑圧的になるだろう政府が何を望むようになるのかを忖度し、頼まれもしないのに身を献げるものです。
(P13)
という政治的な言葉から、
誰かが自分の意志を貫く必要があります。誰かの後についていくのは簡単なことです。
他の人間と違ったことを言ったり口にしたりすると、奇妙な感じを覚えるかもしれません。
けれど、その居心地の悪さがなければ、自由もなくなるのです。
(P46)
など個人的な生き方に至るまで、様々な言葉が満載。
短い言葉ながら、ふと「はっ!」としてしまう内容になっています。
感想など
「政治においては、騙された、というのは言い訳にはならない」という帯の言葉に目を惹かれて手に取った本。
コンセプト的には「歴史から学ぶ」という個人的な好きなテーマな本だったので、20世紀のヨーロッパ史をあまり理解していなくても、本書が伝えんとしている大切なポイントはしっかり伝わってきました。
ファシストは日々の暮らしのささやかな<真実>を軽蔑し、新しい宗教のように響き渡る<スローガン>を愛し、歴史やジャーナリズムよりも、つくられた<神話>を好んだ。事実を放棄するのは、<自由>を放棄することと同じだ。
カバーに記載されている言葉より
20世紀は2度の世界大戦が起こった激動の世紀。
そのなかで我々が何を学び、それをどのようにこれからの未来に生かしていくか。それを考えることはとても大切なことだと思います。
「歴史は繰り返す。だからこそ、歴史から学ぶ必要があることがたくさんある」
そのことを実感できる一冊でした。