人の行動は案外簡単に操れる!?
妹尾武治著『おどろきの心理学 人生を成功に導く「無意識を整える」技術』(光文社新書)の読書感想です。
この本について
身近なテーマをもとに、心理学の基本的&実践的な知識が学べる本。
人の心理を詳しく学ぶことはリアルに役立つもの。そのことが実感できる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
口説く相手は身長に注意(P24)
「この子を口説きたい!」と思ったら相手の女の子の身長に着目。自分の身長-5cm~-10cmの女の子は狙いやすい。逆にあまり身長が離れている女の子は口説きにくい可能性あり。
人から好かれるシンプルな技術(P56)
人は自分と似たような人に好感を持つ。そこで、「その人に好かれたい!」と思ったら、ミラーリングのテクニックを使う。
その人と同じ姿勢、動作をすることで、無意識のうち、相手に「私はあなたと似ていますよ」というメッセージを送ることができ、好感を持たれやすくなる。
露骨にミラーリングするとダメだが、さり気なくの技術を使うことで、相手に好感を持ってもらえる。
やっぱり努力は報われる?(P62)
努力をしていれば、必ずどこかで、それを見ている人がいる。また、頑張っている人は頑張っているオーラを発している。それを無意識に感じ取る人がいる。努力にムダなし、最善を尽くすべし。
好意の返報性を使う(P69)
親切にされたら親切に、いじわるされたらいじわるに、人は相手にされたことをお返しする習性がある。
人から好かれたかったり、優しくされたかったら、まず自分から。得たければまずは与えよ、これが鉄則。
将来を考えるときのポイント(P101)
将来、考えるべきは「○○になりたい」ではなく「○○がしたい」。
なりたいではなくしたいこと、これを考えることで、そのための職業選び、ライフスタイル、様々なことが明確になり、進路選定で失敗しにくくなる。
「私はこう思う」はアテにならない(P153)
人は自分の思い込み、信じていることを正しいことと考えてしまう傾向がある。これを確証バイアスという。
それは「あばたもえくぼ」と同じような心理で、「もしかしたら間違っているかも」という発想を持つことはない。この意味で、人は思い込みの世界の中で生きている。
人は案外、物事を客観的&正しく判断して生きることができない。正しいと信じていることも間違っている可能性がある。何事も盲信してはダメ。
人生を本当に支配しているもの(P197)
自分の人生は自分自身で決めている。そんなふうに考えたいが、実はそうではないかもしれない。
人の行動や気分は、予想以上に無意識に支配されている。この意味で、本当に人生を支配しているのは自分のなかの無意識。
意識だけではどうにもならないことがあって、無意識の部分を改善しない限り、問題が解決しないことも多い。
意志だけで無意識にあがらうのはとても難しいこと。そこで、無意識を変化させるために、意識的に外の世界、環境を操作することが大切。
例)
・やせたい
→ダイエットに失敗する情報(外部環境)を断つ。ダイエット合宿に参加して自分で好きにご飯を食べられない環境に身を置く。
ポイントは自分の意志に頼らないこと。意志に頼らず、環境を操作することで、無意識の抵抗から逃れ、新しい結果を得ることができる。
人生は意志だけで決まらない(P221)
人は自分の意志を自分で切り開いているというより、自分を取り巻く環境の影響と日々の積み重ねによって、人生を作っていく。
特に注意すべきは環境。私たちは環境によって、知らず知らず影響を受けている。
環境の影響を自覚しないと、無自覚のうち、望まぬ道へ進んでしまうこともある。環境という要素の影響は予想以上に大きい。
感想など
ミラーリングや無意識など、今すぐ「試してみるか」と実践できる心理学の知識が満載の本でした。
この本では「人に好かれる」とか「人生を設計する」などの身近なテーマで心理学の知識を解説した内容が多いのですが、心理学の知識を実践してみると、ケースバイケースなものがあるものの、効果を実感できるものも確かにあります。
特に興味深かったのは無意識をテーマにした内容。
大学時代にある講義で「人が普段意識していることは全体の10%~20%で、大半のことは意識にのぼることなく、無意識の領域に隠れている」ということを学んだ記憶がありますが、無意識の力は本当に大きいのは普段の生活で実感するところ。
「なんとなく」など意識できない無意識の感覚は実は人生で大きな影響力を持っていて、それを意識的にコントロールできないからこそ、人生は必ずしも自分の思い通りに進んでいかないのかもしれません。
まぁ、100%科学的に証明されたことではないかもしれませんが、自分のなかの「なんとなく」の感覚をじっと見つめてみると、そこからいろんな発見があるかも。心理学の世界は面白いですね。