貧しきときこそ逆転のチャンスあり。
齋藤孝著『<貧乏>のススメ』(ミシマ社)の読書感想です。
この本について
大学教授やテレビのコメンテーター、作家としてマルチな活躍をしている明治大学の齋藤孝教授の貧乏論。
この本では、斎藤教授の貧乏体験(32歳当時、妻一人、子ども二人、定職、定収入なし、年収200万円台)をもとに、貧乏経験の価値を力説。
お金がない、そういうときでも人生は自分次第でチャンスがつかめることが分かる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
貧乏をバネに成功を目指す(P15)
お金は水物。「三代で家が傾く」という言葉があるように、どんなに羽振りが良い家でも、いつまでも金持ちでいられるわけではない。
いつかは苦労知らずのバカが登場して家が潰れてしまう(一代目が富を築くが三代目の穀潰しが家を潰す)。
家が貧乏で貧しい家で育った、そういう人は、自分から財産を築いていくチャンスを与えられている、ある意味運がいい人。
貧しいからお金の苦労が分かる。だからお金の価値が分かる。それはとても意味があること。「貧乏したくない、だから俺は死ぬほど頑張る!」この気持ちを持っている人は強い。
貪欲に吸収する(P25)
貪欲さは自分のパラメーターを伸ばすためのブースター。
貧乏時代は何しても欠乏しているので、感性が研ぎ澄まされ、いろんなものに貪欲になれる。これが自分の力を高めるのにとても良い。
貧乏だと、「次があるさ」と悠長にかまえていられないので、何をするにしても本気になれる。だから成長度、吸収度も段違い。
貧乏で追い詰められたら、何でも貪欲に学んで、自分を追い込むこと。それが逆転のカギになる。
自己投資について(P35)
40歳になるまでは貯金はしない。自分の価値を高めるために、とことん自己投資すべし。投資したものは、40歳以降に回収できる。
「悔しい」をたくさん経験しておく(P64)
人よりモテなかった。いい会社に就職できなかった。あいつは仕事で活躍しているのに俺はニートで貧乏だ、悔しい。
このようなネガティブな思いは決して忘れず、頑張る熱意に変える。これを石油化と言う。
悔しくて仕方ない、いつか見返してやる。石油化すれば、それは爆発的な行動力に変えることができる。
貧乏時代は何かと悔しい、屈辱的な思いをするものだが、これこそが、貧乏体験の大きな価値となる。
素直さを忘れない(P86)
人からススメられた本は素直に読んでおく。何かの偶然でたまたま出会った本というのは、ある意味チャンスで、とても価値があるもの。
人から本をススメられるのはよいことだし、それがご縁になる。どんなときも、素直な気持ちは忘れないこと。
プライドを捨てる(P100)
役に立たないプライドは1円にもならない。
貧乏のときこそ、自分の下らないプライドを全部捨て、虚心坦懐、0から素直にやり直す。プライドを捨てて、柔軟に生きる。
感情をコントロールする(P149)
社会性のある人間になること、これこそが世の中で生きていくための最低限の常識。
社会性のある人間になるためには、感情のコントロールが絶対必要。「自分の気分」と「外へ出すもの」を区別して、たとえ自分の調子がどうであれ、表に出さない。
感情を人に悟られているのはダメ。大人として、「表の自分」をコントロールすべし。
貧乏体験をこうやって生かす(P173)
貧乏を力に変える10箇条。
1・貧乏を受け入れる。
2・貧乏性を大切にして働き続ける。
3・体験を石油化する。
4・一冊の本をバイブルにする。
5・誇りを持っていいがプライドは捨てる。
6・貧しても鈍しない。
7・油断しない、「明日は我が身」の心情で。
8・自分のペースで生きる。
9・人から可愛がられる。
10・濃い仲間を持つ。
感想など
熱いメッセージが満載の自己啓発的貧乏論。
確かに貧乏はイヤですが、ないない尽くしのときって、「見てろよ、俺はこのままでは終わらないぜ!」という、上昇意欲というか、野心というか、そういう気持ちが湧いてきます。
私も20代の頃は就職で失敗したりして、いろいろお金の面では苦労しましたが、今思えば、たしかに貧乏の経験は、それはそれで意味があったように思います。
本書でも書かれていますが、お金がないときというのは、ある意味感性が研ぎ澄まされているときで、読んだ本でも人から聞いたことでも、貪欲に吸収できます。
貧乏はある意味後がない状況なので、だから生存意識が刺激されるのかもしれません。だから、何を読むにしても聞くにしても、全てが学びになります。
まぁ、人生する必要がない苦労はしない方がいいと思いますが、人生山あり谷あり。
「レモンを手に入れたらレモネードを作れ」の精神で、もし苦境というか、苦しい時期がやってきたら、それを将来のプラスに変える燃料に。
お金がないとき=それはそれで意味がある大切なときと考えて臥薪嘗胆、野心を持って、上昇の力にしたいものです。