第二の人生のスタートでつまづかないためにしておきたいこと。
斉藤孝著『35歳のチェックリスト』(光文社新書)の読書感想です。
この本について
「35歳という人生の転機をきっかけに、人生で大切なことを見つめなおしましょう」という本。
本書によると、35歳という年齢は人生の転換期。人生これでいいのか、どうするのか、それを見つめなおす良い機会に。
人生に折り合いをつけるためにはどうすればいいのか、どんなことを整理していけばいいのか、具体的なアドバイスが満載です。
以下、本書の読書メモです。
35歳とは(P4)
35歳という年齢は人生の第二のスタートとも言える転換期。
35歳を機に人生を棚卸し、今のままでいいのか、これからの人生をどう生きるか、考えるきっかけにする。
「四十にして惑わず」にならないために(P9)
「四十にして惑わず」、ブレない生き方をするためには、30代のうち、「俺はこう生きるんだ!」と自分の人生に覚悟を決めること。
そのために、今抱えている問題、心の中で未解決のこと、迷っていることなど、全て棚卸しをする。
コンプレックスと折り合いをつける(P30)
「こんな自分は嫌だ・・・」というコンプレックスは誰もが持つ者。
しかし、大人になったら、このコンプレックスと共存し、不快不安を感じつつも、それに適応しようと努力する、そんな姿勢が大切。
自分の中のトラウマ、コンプレックスを整理して、折り合いをつけるべし。
30代は現実と折り合いをつけるとき(P47)
人生は人それぞれ。
自分の道を早く見つける人もいれば、迷ってなかなか見つからない人もいる。迷ってもいいし、人より遅れてもいい。
最短で進むべき道を見つけることが成功とは限らない。20代までに人生出遅れたとしても30代ならまだ間に合う。舵を切れば、まだ遅れは挽回できる。
ただ、30代になったら、自分の人生に幻想を持ってはいけない。
日々の行動は現実対処。夢や可能性を過大に期待するのではなく、今目の前の現実がどうなのか、現実に応じて行動していくことが大切。
もし、養うべき誰かがいたとしたら、その責任を全力で果たす。その「誰かのために」という気持ちが本質的な生き方につながる道を拓く。
池井戸潤さんの話(P54)
『半沢直樹』で有名な池井戸潤さんの話。
35歳で書いた『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞、それまでは紆余曲折。
大学卒業後銀行に就職、中小企業の融資を担当。仕事は面白かったが組織優先の銀行の体質に馴染めず退職。
独立し、自宅の一室を仕事部屋に企業相手の顧客データサービスの会社を立ち上げ。しかし仕事が上手くいかない。
そこで、自分の強み、得意分野を分析。
学生時代から小説を書いていたので書くことは得意であること、銀行での経験を生かした経験があること。
これらをもとに、中小企業向けの社長を対象としたお金の借り方ノウハウを書き、出版社に持ち込み、出版。
これが契機で、コンサルタント依頼や他社の出版社からビジネス書の執筆依頼が。
「もっと自分の強みを生かせる方法はないか?」と考え、企業融資を絡めたミステリー小説を発表、大ヒット。
壁にぶつかったとき自分の強みを考えぬき、突破口を見つけた。
30代からは決断が慎重になる(P68)
20代の頃は「とりあえずやってみる」で、気軽に行動できる。
しかし、30代にもなるとそうはいかない。
転職するにしても、20代のように気軽に会社を変えるわけにはいかなくなる。家族がいる場合はなおさら。
自分の決断の失敗が、家族を路頭に迷わすことになる。つまり背負うものが多ければ行動も重くなってしまう。
35歳までに徹底して学ぶ(P129)
「これだ!」と決めた仕事の知識は何でも学ぶ。
35歳まではいろんなことを吸収できるので、たくさん学び、肥やしにして、土台を作る。
土台がしっかりしていれば、その上に何を作り上げても大丈夫。
どこで暮らすか(P157)
人は住む街に影響される。持ち家でも賃貸でも、住む場所を選ぶことは人生の大事なこと。
街の雰囲気はそこで暮らす人々の雰囲気。自分にとって落ち着く、なじみがいい街を選ぶことが大切。
仕事はメリハリを(P198)
集中するときは集中してそれ以外しない、仕事にはそんなメリハリが重要。
本に投資する(P210)
自分への投資を惜しまない。特に本は大切。
本を買わない=知的好奇心がダウンしている状態で、そういうときは停滞期。アウトプットも上手くできない。
自分への投資を惜しむと成長が頭打ちになる。興味がある本はどんどん買って、知的好奇心を絶やさないこと。
感想など
タイトルが気になって読んでみた本。
「35歳説」については、転職、いろんなところで言われていますが、実際どうなのか、少し気になっていたところ。
確かに、この本を読むと、人生には、自由に試行錯誤して、気楽に行動を起こせる時期と、現実を頭に。
すると「これだ!」という道を進み続ける時期があるのかもしれません。
人生の放浪者として、したいこと、生き方、いろんなことをマイペースに探求。やがて放浪は終わり、どこかへ定住し、そこで腰を据えて暮らしていく。そんなときがやってきます。
そのタイミングがいつになるかは人それぞれ。
20代かもしれませんし、30代かもしれません。必要な時期に、人は自分の人生が落ち着く先を見つけていくものなのかもしれません。