人生で大敗北したことがない男は、決して男にはなれない。
小和田哲男著『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』 (NHK出版新書 515)の読書感想です。
この本について
戦国大名たちの家法や家訓から、組織論や人生哲学を学ぶ本。
北条早雲に武田信玄、徳川家康、武将たちが残した家訓から現代にも通じる教えを厳選。人生を生き抜く知恵が学べる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
失敗経験を生かす(P24)
敗北のない将は名将にあらず。人生失敗し、挫折し、そこから学んだ者こそが、本当の名将になれる。by朝倉宗滴
組織がダメになる原因(P52)
組織がダメになるのは、上の者が自分と同じ意見の者やイエスマンばかりを周りに集めるから。様々な意見を持つ者を周りに集め、意見の対立を恐れてはいけない。
家族の結束を強める(P54)
争いの時代ほど、家族の結束が家の力を示す。内側の結束が固ければ、外からの脅威にも対抗できる。
家族仲が悪い家族は争いや内輪もめによって滅び、家族の結束が強い家ほど生き残る。
ダメな主人について(P66)
部下の能力を見極められない、適切な地位につけることができないダメな主人は、有能な部下から見放される。
そして、ダメな主人ほど、周りに自分に賛同するゴマすりやイエスマンばかり集めたがる。そんな主人に使える意味はない。
誰かに使えて働くのであれば、良い意味で自分の身の程を知り、適切な待遇をしてくれる主人を探し、そこで頑張るべし。
若いうちにこそ才を示す(P102)
「将来出世せん」と野望を抱くなら、若いうちにその片鱗を周囲に示す。
周りから「あいつは有能だ」という評判を得ることができれば、上から期待され、その分チャンスも得られやすくなる。
40代前と40代以降の考え方(P106)
40歳になるまでは、勝つことを心がける。そして、40歳以降は、負けないことを心がける。
人生攻めるのも大切だが守ることも大切。得ることよりも失わないことに注意すること。
人生は勝ちすぎ注意(P135)
完勝より良いのは六分~七分の勝ち。勝ちすぎるとそこに油断が生まれ、大敗につながる。ほどほどの勝利が一番安全。
感想など
戦国武将の家訓や教えから彼らの素性を知り、そこから学びを得ようとする本で、戦国武将たちがどのような考え方を持って乱世を生きていったか、その姿が浮かび上がってきます。
毛利元就の三本の矢の教えとか、武田信玄の七分勝ちの話とか、印象深い話がたくさんでてきますが、特に印象的だったのは藤堂高虎。
主人を変える度に出世していき、最終的には大名となり、乱世を生き抜いた武将ですが、実力主義&現実主義の武将らしく、「人を見る目がない主人ならさっさと切っていい」という教えを残しています。
このような感じで、それぞれの戦国武将によっていろいろ考え方があって、読んでいて新鮮でした。
今の時代もある意味、安定が期待できない乱世の時代。
人生で失敗しないために、自分なりの生き方をするためには、確固たる自分哲学が必要なのかもしれません。
この意味で、戦国武将たちから学ぶことはたくさんあるはず。彼らの生き様を参考に、自分の人生に相応しい生き様を見つけたいものです。