「避ける」ことで自分を守る人々。『回避性愛着障害』の読書感想

回避性愛着障害~絆が稀薄な人たち~ (光文社新書)

逃げれば苦痛は避けれる。しかしそれで失うものもある。

岡田尊司著『回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち』(光文社新書)の読書感想です。

この本について

人と親しい関係を避ける回避性障害について書かれた本。

なぜ、表面的な関わりはできるのに人との深い関係を避けるのか。原因や回避行動から脱するためにどうすればいいのか。

回避性障害の問題点や克服法について、深く学べる一冊になっています。

以下、本書の読書メモです。

愛着について(P15)

人との関わり方、どれくらい人に信頼感を持てるのかに関わるのが愛着の問題。

愛着は、幼い頃の親との関係や、成長過程における人々との関わりで育成されていく。

親密な関係を避ける人たち(P19)

親子関係や、様々な原因によって、人との深い関わりを避けるのが回避性愛着スタイルの人たち

彼らは、対人関係の不安が強いから人との関わりを避けるのではなく、親密な人間関係にともなって発生する責任感や情緒的な交流が苦痛で、人と関わることを面倒に感じている。

幼い頃の養育が子どものストレス耐性に影響する(P32)

人にはオキシトシンというホルモンがあって、このホルモンはストレスや不安を抑える働きを持っている。

オキシトシンの働きがよければ、不安やストレスを感じにくく、うつやストレスに対して、抵抗力を持つことができる。

オキシトシンが適切に分泌されるかどうかは、幼児期の養育環境が影響している。

小さいころ、安心できる環境で育った子どもは、オキシトシンの分泌が促され、感情的に安定しやすい。

一方、虐待や不適切な環境で育った子どもは、オキシトシンの分泌が上手くいかず、ストレスを感じやすくなってしまう。

回避型タイプは環境への適応行動(P56)

自己開示せず、人との関わりを避ける回避性タイプの人は、親から無視されたり、自分の話を聞いてもらったことがなかったり、受け入れられた経験が乏しい。

そのため、「何を話してもムダ」と周囲への期待を捨てて、関わりを避ける行動を選択してしまう。

トラウマと回避性(P71)

人は自分が傷ついた行動、状況を回避しようとする習性がある。傷ついた状況を避けることで、自分を守り、生き残ろうとする。

回避型の愛着スタイルは、人と関わることを避けることによって自分が傷つくのを防ぐ行為

回避行動から脱するために(P194)

回避行動の問題点に気がつき、そこから脱するためには、自分がまず、問題から逃げていることに気がつき「もう逃げない」と覚悟を決めること。

課題に立ち向かっていく覚悟を決めること。

回避することは、不安や苦痛を避けることはできるが、それによって、新しいことを経験する可能性、誰かと過ごす幸福な時間を失っている。

回避行動が、人生の可能性をダメにしていることに気がつき、逃げない覚悟を決めることが大切。

気になることは放置でOK(P214)

不安や恐れ、気になる症状は、症状を消そうとせず、それをそのまま受け入れ、すべきことをしていけばいい。

誰かと会うときに緊張するなら、緊張していればいい。プレゼンのときに顔が赤くなるなら、そのままにして、プレゼンをしていけばいい。

やるべきことをしていれば、やがて症状も気にならなくなり、いずれ消えていく。

結果を恐れず行動すること(P225)

人生には岐路がある。それをするかしないかで今後の人生が変わる岐路がある

その岐路に立った時、すべきことをしておけば、それが上手くいかなかったとしても、起こした行動が、人生において大きな意味を持ってくる。

人生の岐路に立ったときは、不安や恐れを感じてもいいので、やるべきことをやる。逃げてはいけない。

人生は運に支配されている、だからこそ(P268)

自分の身の周りに起こることは、様々な運、めぐり合わせの結果。

人は、自分の運命、環境を100%コントロールすることはできない。無数の因果、偶然、他人の行動によって、人生が影響されていく。

人がコントロールできるのは、身の回りのほんの小さなことだけ。だから、自分の人生をすべて思い通りにしようとはせず、運や不可避な状況を、気楽に受け止める。

予期しないピンチがやってくることもあれば、努力とは関係なしに、大きな幸運がやってくることもある。人生には多少の気楽さを持った方がいい。

突然やってくるチャンスについて(P271)

人生にはときに、思いもよらぬチャンスがやってくる。

気になること、思いもよらない出会いがあれば、今の状況を俯瞰し、「運命が自分に何をさせようとしているのか?」という視点を持つこと

そして、今何をすればいいのかを考え、素直に行動してみる。

空虚な生き方から現実的な生き方へ(P285)

人との親密な関わりを避け、責任を避けていれば、傷つくことはないし、不安な気持ちになることもない。

しかし、それは自分を守るための空虚な行動で、本当の喜びは得られない。

人との関わりは、不愉快なことや煩わしさ、責任感、様々なマイナスが伴うが、人との関わりでしか経験できない、素晴らしい体験もある。

大切なのは、不安や恐れから行動を避けるのではなく、不安や恐れに身を晒してでも、行動を起こすこと。不安や恐れを感じること、それこそが生きること。

不安や恐れから逃げるのは、自分の人生から逃げていることを忘れない。

感想など

普段は愛想よく、誰とでも楽しそうに「付き合っている」ように見えるのに、実は親しい人間関係を築くのを避け、いざ誰かと深い関係になろうとすると、とたんに冷たく、距離を置いてしまう。

そんな回避性障害を抱えた人について、彼らの心理や心境を勉強できる本で、人間の心の問題は、本当に複雑なんだな、というのが読後の感想です。

人は言葉であれこれ理由付けしますが、本当のところは自分でもよく分かっていなくて、自分でも分からない行動をしてしまうのは、心のどこかに、原因というか、問題の根があるのかもしれません。

まぁ、回避性障害は置いておいて、人は誰でも、不安や恐怖で行動できないことがあります。

人間関係、就職や結婚、人生には、不安で、どうしても悩んでしまうことがあります。しかし、結局、行動しない限りは人生は変わりません。

怖いけどしてみたい、そういうときは、「ええい、ままよ!」と、先のことなんて考えず、怖いまま、不安なまま、行動してみるのが一番なのかもしれません。

だって、結局人生なんて、最後の最後でしか、意味が分からないものなのだから。

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