人間にとって本当に必要なもの、それがキズナ。『愛着アプローチ』の読書感想

愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法 (角川選書)

症状を治すよりも、もっと大切なこと。

岡田尊司著『愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法』(角川選書)の読書感想です。

この本について

愛着障害について、「結局はどうやって治すんですか?」という答えに対する本がこちら。

うつや非行、自傷、過食など人が起こす行動には必ず理由あり。問題行動の表面だけを見てそれをなんとかしようとするのではなく、その根っこ。

本質的な問題に対してアプローチしていくにはどうすればいいか。その具体的な実践法が満載の内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

愛着について(P43)

人の性格、行動に終生影響を与え続けるのが愛着スタイル。

幼児期に作られた愛着はその後、成人後にも続き、それがその人の人生のあらゆる面で、影響を与え続けていく。

愛着の連鎖(P46)

愛着の問題は世代で連鎖する。

不安定な愛着を持っている親は子どもにそれを伝播させ、子どももまた、不安定な愛着の持ち主となる。

この意味で愛着とは個人の問題ではなく、祖父母・両親・子ども世代。家系的に広い視点で考えるべき問題。

なぜ親との関係が重要なのか(P55)

親との関係、問題を、私たちは実社会で繰り返す。

親と愛着における問題を持っている場合、その問題を直接両親にぶつけるのではなく、社会で出会う第三者との間で、その問題を繰り返す。

親が信頼できない人は、周りを信頼できない。親に心を開けない人は、周りにも心を開けない。ここに、問題の根の深さがある。

現代医学の問題点(P76)

現代医学の問題点の一つは、目の前の症状を治すことばかり考えて、問題の根っこにまで、意識が向いていかないこと。

大切なのは目の前の症状をなんとかすることではない。その症状が起こった本当の原因を明らかにして、それを解決していくこと。

これこそが、本当の治療となる。

愛着アプローチの効果(P106)

愛着アプローチによって、人は安全基地を持ち、愛着を安定させることができ、それによって、心身が安定するだけでなく、その人が持っていた潜在力を発揮することができる。

つまり信頼できる人との間にきちんとした愛着関係があり、安定基地がある。それによっては人は、自らの可能性、才能を、思う存分、開花させていくことができる。

安全基地になる条件(P133)

愛着に問題を抱えている人の安全基地になる上での注意点。

1・安全を脅かさない。

2・共感的に応答する。

3・揺るぎない秩序を持つ。

4・出来事を振り返り、相手の立場になって考える。

大切なのは前へ進み続けること(P190)

人生は困難に溢れている。大切なのは、その困難と立ち向かい、前へ進み続けること。

想定外のこと。理不尽なこと。どんなことがあっても、構わず前へ進む。そこで転んでも起き上がって、また前へ進んでいく。

これこそが生きる力であり、何より人生で、大切な力。

感想など

三つ子の魂百までも。結局人には人が必要で、誰か安心できる、信じられる人が必要なことが分かる本。

愛着がしっかりしている人は、人生で何があっても立ち上がり、問題に立ち向かっていけるので、人生いろいろあってもうまくやっていくことができる。

一方、愛着がしっかりしていない人は、人生で本当の意味で頼れる人や信頼できる人がいないので、人間関係で問題を起こしやすく、人生でつまづきやすくなってしまう。

それを決めるのは3歳までの養育者との関係。だから、幼少期、とくに母親との関係は一生を左右するくらいの重要な問題である。

これが愛着論の考え方で、どうしたら愛着が原因となった問題を解決していくことができるのか。

そのアプローチについて、従来の医学的な手法と比較しつつ、より適切な方法について、述べられているのが本書です。

多少専門的な話があるので、さっと文面をなぞっただけでは、内容を理解することができません。

ただ、愛着という問題について理解し、それに適するアプローチについて、本書を丁寧に読み込んでいけば、「こういうことかもしれない」と理解できます。

つまりは結局、人にとって本当に大切なものは何なのか。そのことが分かる本です。

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