「三つ子の魂百まで」は正しかった?愛着がもたらす人格形成への影響。『愛着障害』の読書感想

愛着障害~子ども時代を引きずる人々~ 光文社新書

子どもに大切なのは発達より愛着。

岡田尊司著『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』(光文社新書)の読書感想です。

この本について

子どもの幼児期の養育環境の重要さが認識できる本。

「三つ子の魂百まで」の言葉通り、子どもの小さいときの環境が、人格や価値観形成、人間関係に影響を及ぼし、それが成人後、様々な「問題」として表面化してくるというのが本書の主張。

子どもを育てる上で、いかに愛着を築くことが重要かを認識できる内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

愛着について(P5)

人は、生まれてから、親との間で、愛着関係を形成する。

これを形成することで、他人を信頼すること、上手くやっていくこと、人間関係において、適切な関係を築くことができる。

しかし、不適切な親の養育や環境などによって、愛着が上手く育まれない場合もある。

発達障害やパーソナリティ障害を抱えた人の背景には、愛着障害の問題があり、養育者との間でどのような愛着関係が育まれるかは、人の人格形成において、大きな影響がある。

有名人の愛着障害の例(P137)

夏目漱石やヘルマン・ヘッセ、ミヒャエル・エンデなど、有名な作家の中には、愛着障害による影響で、人間関係に苦しんだ例が多い。

『モモ』などで知られるドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの場合、学校嫌い、勉強嫌いで、親との不安定な家庭環境が、人格形成に影響を与えた可能性が高い。

親との愛着が不安定なため、愛着できる相手には過度に依存をする一方、愛着できない相手には過度に攻撃的な態度を示してしまう。そんな、危うい感覚が背景にある。

愛着障害をプラスに変える(P184)

親との間で、確固たる愛着関係を持つということは、守られている感覚を獲得することであると同時に、親の価値観や考え方にがんじがらめにされる側面もある。

愛着が不安定な場合、安全な感覚を獲得することができず、人との関係で、常に不安定さを抱えてしまうが、それが独創性を育み、クリエイティブな活動で、プラスになることもある。

愛着が不安定であるがゆえ、クリエイティブな活動をすることで、自分の拠り所、居場所を作ろうとする働きになる。

否定的な認知を改善する(P295)

愛着障害を抱えた人は、親や周囲から、否定的な言動を受けて育ってきたケースが多い。

その影響で、認知機能が歪んでおり、物事を否定的、マイナスに受け取りやすい。それが、対人関係に悪影響を及ぼしている。

愛着障害を克服するために必要なのは、認知の歪みに気付き、それを修正していくこと。

そのためには、どんな小さな場所でもいいから、自分が必要とされる場所を見つけ、そこで役割を持つこと。自分のためというより、人のために活動できる場所なら、なおよい。

人から認められることによって、自立が促され、自分に対して、「これでいいんだ」という感覚が育まれる。これによって、歪んでいた認知が徐々に修正されていく。

感想など

親が子どもにとっての安全基地になることの重要性が認識できる本。

子どもが育っていく上では、周囲の環境、サポートが重要で、それによって、子どもが将来どんな性格の大人になるのか、ある程度決まってくる。この考え方はある意味、とても怖いことです。

私達は、どんな親から生まれてくるのか、どんな土地で幼少期を過ごすのか、人は生まれ育った環境を選べません。

ということは、人生で大きな影響がある部分を自分で選べないということになってしまいます。人格的、性格的な部分が、あらかじめ決められているようなもので、そこに自己の選択はありません。

そこで思うのは、人間の一生は、無限の可能性があるのではなくて、大枠の方向性が決まっていて、些細なことは自分で決められるけど、その他のことは、自分に選択権がないのではないか、ということです。

もし、幼少期の養育環境が、人生の一生に影響がある要素であるなら、人は生まれると同時に、ある程度、人生の可能性というか、方向性が決まっているのではないか?

もしかしたら、人生は、何もかも自分で決められるものではなくて、大まかな方向性というか、枠組みは決まっているのではないか?

愛着理論はこういうところが怖いですが、見方を変えれば、親との関係、育った土地というのは、ある意味運命的なもので、もしかしたら、そこに何か意味があるのかもしれません。

まぁ、人生万事塞翁が馬。人生の良し悪しは最後の最後まで判断はできないので何ともいえませんが、読後はなかなか複雑な気持ちになりました。

本の購入はこちら