人生を設計していくということは、具体的にこういうこと。
草間俊介、畑村洋太郎著『東大で教えた社会人学 人生の設計篇』(文藝春秋)の読書感想です。
この本について
東大の教官が東大生向けに人生設計について、様々な視点から語っている本。仕事やキャリア、結婚、お金、東大生でなくても考えておいて損のない話が満載です。
以下、本書の読書メモです。
はじめに(P12)
これからの世の中は、もはや昔のように、敷かれたレールの上に乗っかかっていけばめでたしめでたしになれる時代ではなくなった。
自分の人生をどう生きればいいか、人生をどのようにデザインすればいいか、一人一人が考えなければいけない時代になった。
社会の格差は広がっていく(P54)
今までは国民皆中流、社会が豊かになれば、皆が豊かになれる社会だった。
ところが、もはや時代は変わり、これからは、ますます格差が進行していく時代がやってくる。
成功した人と失敗した人、その差は否定できないほど明確な差となって現れてくる。
大企業に勤めるメリット(P76)
大企業=「寄らば大樹の陰」で安定感がダントツ。給与、待遇、福利厚生、あらゆる面で安心感が強い。
ただし、企業が安定してくると安定を求める学生が殺到するため、その後必ず衰退期がやってくる。
大企業といえど、将来的には成長力も衰え、今安定していたとしても、未来がどうなるかは分からない。
(※東大生が殺到する企業はダメになると言われるのはこのため。)
安定を求めたはずが、人生でお金が一番必要となる40代50代になった頃、会社が経営不振に陥り、リストラされる可能性もある。
就職のために会社を選ぶなら、10年20年30年先、「会社の成長」という視点で就職先を選ぶことが肝心。
運について(P114)
いくら才能があっても、結局は運がなければ成功できない。ただ、運だけを頼りにチャンスを待っていてもダメ。
大切なのは普段から努力し、自分を磨き、運がやって来るチャンスを待つこと。そうすれば運がやって来たとき、チャンスを手に入れることができる。
連帯保証人について(P182)
世の中、気軽に引き受けたことによって、人生が台無しになってしまうことがたくさんある。連帯保証人もその一つ。
これだけは、親であれ友人であれ誰であれ、決して引き受けてはいけない。そして、人にも連帯保証人を頼んではいけない。
「知らなかった」では済まされないくらい、危険な問題だから。
親分を持つ(P186)
人生は悩みと迷いの連続。そこで、必要に応じて助言がもらえる年上の親分を持っておくと良い。
親分は会社の上司とかではなく、利害関係のなく、かつ人生でいろいろ経験している視野の広い人が良い。
自分が気づかない視点から、有益な助言を与えてもらえる。
結婚について(P192)
人生には大きな節目が3つある。1つは大学進学、もう1つは就職、そして最後が結婚。
良くも悪くも、人は結婚することで人生がガラリと変わる。結婚することで、人は人生で大きな宝を得られるチャンスが与えられる。
一方で、結婚に失敗すれば、いろいろ重荷を背負いながら、その後の人生を歩むことになる。
早く結婚しても遅く結婚しても、結局いろいろな問題がやって来るので、自分のタイミングを見計らって、良い人がいれば結婚を決断すればいい。
ただ、結婚においては完璧な女性を探す必要はない。そんな女性は絶対に存在しない。
また、男性は基本的に選ばれる側で、選ぶ立場にはない。自分で選んだつもりでも女性に誘導されていることが多い。
どうせなら、気持ち良く誘導してくれる女性を妻に選ぶこと。
人生とお金(P217)
お金は人生の根本。綺麗事抜きに、お金は絶対に必要。本当の自由を得るためには、経済的自由が必要不可欠。
独立を考えるなら、まずは経済的に独立できるかどうか。そこを考えること。
とはいえ、お金と女は追いかけると逃げていく。そこで目指すべきはお金と女に追いかけれるような男を目指すこと。
お金と女は匂いで寄ってくる。ライフステージに応じた最低限のお金は用意しつつ、貧乏臭くならない程度にお金を使い、人生を楽しむこと。
感想など
東大生でなくても人生を考える上で役に立つ本。
人生はすなわち日々の思考と行動の結果。10年20年30年、積もる積もると、決定的なカタチとなって現れてくるもの。
そこで本書では、普段からいかに生きるべきか、仕事、お金、結婚、あらゆる面で人生設計をしておくことの大切さが説かれています。
普遍性の高い話がたくさんあるので、東大生でなくても十分に本書を楽しめます。
特に10代20代の若い方、30代、まだ人生に迷いを持つ方は、この本で気づけることがたくさんあるはずです。