普通でない発想にこそ人生逆転のカギがある。『書店員X』の読書感想

書店員X - 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ)

「自分の居場所はココではない」という感覚を信じて進む。

長江貴士著『書店員X – 「常識」に殺されない生き方』(中公新書ラクレ)の読書感想です。

この本について

「文庫X」という独自企画を成功させた盛岡の書店員である著者が、出版業界や生き方、世の中について縦横無尽に語っている本。

常識にとらわれない自由な発想がいかに人生を豊かにするか。そして自分が本当の自分と出会うということはどういうことなのか。

自分らしい生き方を見つけるためのヒントが満載の内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

消費者が求めているもの(P37)

現代のお客が求めているのは商品そのものではなく、商品を使うことで出会える未来の自分。

その商品を使えばどんな自分になれるのか、それこそが消費者にとって重要なこと。だから商品を売るなら商品を売ろうとするのではなく、体験を売ることが重要。

最強のサービスとは(P57)

最強のサービスとは、ほとんどの人は興味関心を持たないが、一部の人が熱狂的に支持してくれるサービスのこと。

万人受けを狙うのではなく、ごく一部の限られた人が「これはすげえぞ!」と熱狂してくれる。そんなサービスこそが最強。

才能が見つかる場所(P122)

才能とは、どこにも属せない「非属」のなかで見つかる。自分の居場所はココではない。みんなと自分はどこか違う。その感覚を辿っていくことで出会えるもの。

チャンスに備える(P146)

チャンスはいつどこでやって来るか分からない。ただチャンスを待っているだけでなく、チャンスがやってきたときに自分の力を活かせるよう、しっかり準備しておくこと。

結婚について(P202)

結婚するということは、「結婚することでこんな自分になりたい」という理想を実現すること。

自分の頭のなかにある結婚についての先入観があり、それさえ実現できれば幸せになれると信じている。そして、「理想を実現できなければ自分は不幸になる」という恐れを抱いている。

だから、結婚したくてもできない人は、「結婚しなければ」とある種の強迫観念にとらわれている。

しかし現実問題、かりに結婚できたとしても、自分が思い描いた未来はやってこない。実際にやってみなければ現実は分からない。

自分が頭で考えていたことと、現実は違う。だから「結婚しなければ」とか「結婚したらこんなふうに幸せになれる」などと焦る必要はない。

まずは「結婚したらこんな幸せになれる」という先入観を捨てること。その先に、自由があり、幸せがある。

感想など

こういう書店員さんがいる本屋さんは毎日でも通いたい、そう思わせる本。

書店通いを頻繁にする私としては、本屋さんの店員さんが書いたと思われるキャッチや、おすすめ本などは結構チェックしていて、それがきっかけで「この本はすごい!」という本と出会ったこともあります。

今の時代、ただ本を買うだけならAmazonやヨドバシで十分。しかし、ネットで本を買うときは、想定外の出会いが起こりません。

だから個人的に本は、まず書店へ行き、ブラブラして、新しい本、未知の本との出会いを大切にするようにしています。

そのなかで「ビビビ!」と来る本が見つかればもう最高。そのきっかけは、書店員さんが書いたちょっとしたキャッチだったりします。

そんな感じで、本書の「文庫X」の企画の経緯についてはとても興味深く読みましたが、なぜそんな個性的で面白い発想ができるのか、そこはやはり著者の人生経験が関係しているよう。

著者は大学卒業後、フリーターや引きこもりなどの経験を経て書店員として就職。

自らの居場所を見つけるために紆余曲折したそうですが、その経験が、「常識」にとらわれない自由な発想の源泉になっているように感じられました。

本書で紹介されている「非属」の感覚、つまり自分の場所はココではない。その感覚を信じて自分がいるべき場所を見つけていく。

それによって、自分がすべきことができる場所が見つかり、そこが自分にとっての約束の場所となる。

本書を読んでそんなことを感じましたが、自分がいるべき場所で、すべきことをする。結局はそれが生きる意味であり、自分がそこにいる意味なのかもしれません。

こんな感じで、読後はいろいろ刺激を受けた本になりました。一つの人生訓としてもとても読み応えがある本です。何か感じるものがある方は、一読をおすすめします。

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