ふとひらめいた直感。それに従って生きていくと、人生はこんなにも豊かになる。
水谷孝著、吉本ばななリライト『長年スペインに暮らし多くの人を救った僕が伝える幸せの極意10』(角川書店)の読書感想です。
この本について
スペイン在住の鍼灸カウンセラーが人生を幸せに生きるための10つの極意を説いている本。
自分を知ることの大切さ、物事の優先順位の付け方、人間関係のコツなど、目からウロコの発想が満載の本です。
以下、本書の読書メモです。
まず自分のことに気を使う(P20)
日本では自分のことを優先するのは「自己中でNG」な行為だと考えられているが、何事もまず自分から。
まず自分のことを考え、自分を優先する。そして自分に余裕ができたら近くにいる人のことを思いやる。優しさは優先順位を持って発揮していけばいい。
幸せは伝染する(P23)
幸せな気持ちは周りに伝染していく。だから人を幸せにしたいならまず自分が幸せにならないとダメ。
まず自分が楽しく幸せで明るい気持ちになる。それが結局は、自分だけでなく、周りも明るく幸せにする一番の近道になる。
自分に優しくする、それによって(P35)
人助けは、まず自分の面倒をしっかり見れる人間であることが大前提。
優先順位として、まず自分を助けられること。そして次に、自分の近くにいる人を助けられること。最後に遠くにいる人を助けられること。
本当に人助けをしたいなら、まず自分に優しくなり、そして目の前にいる人に優しくなること。
他人=自分を映す鏡(P88)
人は人によって、自分が何者であるかに気がつく。この意味で、他人の存在なくして自分の存在はない。
結局人生とは人間関係であり、他人のためにすることが、自分のためになる。
人を理解するための3原則(P96)
人付き合いで大切にしたい3つの原則。
1・相手に近づく
2・相手の話を聞く
3・相手を理解しようとする
これらの原則を守ることで、その人がどういう人間なのか分かる。
まずは人を理解しようとすること。そこが大事。
日本人と西洋人の違い(P127)
日本人と西洋人は、エネルギーの向きが正反対。
日本人は自分の内側にエネルギーが向かっていくので、じっくり自分と向き合うような、内省的な文化(静の文化)が発展した。
一方西洋人はエネルギーが外に向かうので、じっとして物事を考えるより、動いて話して、行動的な文化(動の文化)が発展した。
これらのエネルギー向きの違いは性格にも出てくる。
日本人の場合、エネルギーがもともと内側に向くので、意識的にエネルギーを外に向けた方がいい。それで心のバランスが取れる。
日本人のいいところ(P145)
もともと、日本人は思考回路が内側へ向かっている。そのため、人生の指針や羅針盤を、西洋人のように外に求める必要がない。
一方西洋人は、意識が外に向かうので、自分の外側に人生の指針や羅針盤を求めようとする。
ここが日本人と西洋人の宗教観の致命的な違いで、だから日本人はわざわざ宗教を信じなくても、生きていくことができる。
感想など
人生自分ファースト、自己中はアレだけど、自分のことを大切にできないと人のことも大切にできない。自己犠牲的な生き方は誰も幸せにしない。
そんな人生についての心温まるメッセージが満載の本。
人間関係、宗教観、いろいろ個性的な話がありましたが、特に印象的だったのは日本人の西洋人のエネルギーの向きの話。
日本人はもとから内向的で自省的にエネルギーが向かっているので、わざわざ宗教を信じなくても生きていける。
でも西洋人はエネルギーが外に向かっているので、自分の内にエネルギーが向かわない。だからわざわざキリストとか、外からの規範が必要。
これを読んだときは「へぇ、そういうもんか」と思いましたが、この話、新渡戸稲造の『武士道』を読んでいるのと同じような感じがしました。
もし、日本人には日本人独特の習性があるならば、それを知り、それを生かすことで、より自然な生き方ができるのではないか。
読後そんなことを考えてしまいましたが、ともかく文章に独特の雰囲気があるというか、不思議な感じがする本でした。
自己啓発書のようなストレートで気持ちがワクワクするものはないけれど、何となくまったり柔らかい気持ちになる、納得できる不思議さがあります。
ネットで偶然見つけて読んでみた本でしたが、「こういう考え方もあるのか」と物の見方が広がったような気がします。
世の中、まだまだいろんな考え方がある。改めてそのことを実感できた一冊でした。