『作家という病』の読書感想 – 編集者による作家の秘話エピソード集

作家という病 (講談社現代新書)

作家には作家をしなければならない「業」がある?

校條剛著『作家という病』(講談社)の読書感想です。

この本について

編集者による作家論。

遠藤周作や渡辺淳一、有名作家を身近に見た著者が語る回想録的な内容が中心で、作家という仕事の独自性が垣間見れる内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

作家の難しさ(P5)

作家は「なる」より「続ける」方が難しい。

作家であり続けるために、自己の内部の力を誇大化させ、エネルギーを生み出す。それによって、作家独特の「病」(クセや独自の傾向のこと)となっている。

「いい人」の作品はつまらない?(P84)

優れた作品を生み出す作家は、人間的にも厚み、深みがある。

面白い作品を書く作家は、その内部に、一般の常識では計り知れない、奇妙なクセ、資質を持っている。それによって、作品に独自性が生まれ、深みを与えている。

濃く短い人生か薄く長い人生か(P138)

液体を濃くして純度を高めれば、濃くムダがないが、すぐに蒸発してしまう。

液体を薄めれば、薄くなるが液体の寿命は何倍にも伸びる。

遠藤周作について(P193)

理解しにくい二面性を持った天才、それが遠藤周作。

常識人でありながら非常識、人に気を遣う反面わがままな側面も。

感想など

遠藤周作さんや渡辺淳一さんなど、様々な作家と仕事をした編集者の著者が、携わった作家のちょっと変わった感覚、習慣を回想録的に書いている本。

帯には「全21人の作家の「業」を秘話満載で描く」という文字がありますが、「業」というほど秘密チックなものはありません。

ただ、この本を読むと、作家には作家たる独自の習慣や考え方が根本にあって(本書ではそれを「病」という言葉で表現しています)、それゆえに作品を生み出していることが分かります。

日本の国民的作家、夏目漱石も、人間的には非常に気難しく、漱石自身、内面的な面で様々な葛藤や苦しみを抱えていたのは有名な話。

作品を生み出す背景にはそういう問題が創作の力になっている側面があるのかもしれません。

作家という仕事の複雑さが垣間見れる本でした。

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