この話抜きに、世の中は語れない!?
木暮太一著『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版)の読書感想です。
この本について
マンガ『カイジ』を題材にしたマネー本。
『ヤミ金ウシジマくん』ほどグロさはありませんが、綺麗事のないお金の泥臭い話を分かりやすく学べる内容に。
人生を生き抜くために必要な、最低限のマネーリテラシーをこの本で。以下、本書の読書感想です。
お金では幸せになれない、ただし(P22)
世の中、「お金では幸せになれない」「お金より大切なことがある」ということが言われるが、それは正しい部分はあるものの、危険な考えでもある。
お金についてのリテラシー、知識のなさは不幸の原因になるが、世の中ではおおっぴらにお金の話をする機会はなく、誰からもお金の話について教わることもない。
マネーリテラシー、お金の本当の話と向き合わないがゆえに、ローンや借金、お金で不幸になっていく。お金の無知は人生で高くつく。
稼ぐだけでは生きていけない(P28)
お金は稼ぐ力と同時に、「貯める」「使う」「守る」といった、総合的なマネーリテラシーを持つことが大切。
無知であるなら、稼いでもお金は逃げていく。入ってきたお金をいかに有効に使い、守るか、お金は総合力で考える。
お金で買えるもの(P34)
お金で幸せは買えないが、お金で自由は買うことができる。そして、身にかかる不幸をある程度回避できる。
住みたい場所に済む自由、好きなことをする時間を作る自由を持ち、病気やトラブルがあっても、お金があれば、どん底には落ちない。
お金は選択権であり個人のセーフティーネットでもある。
日本人の給料は下がり続けている(P47)
日本では、年収200万未満の貧困層が増えており、およそ705万世帯が、ワーキングプアの貧困層として暮らしている。
貧困層の数が増えているだけでなく、日本人の平均給料も下がり続けている。
1997年、サラリーマンの平均年収は467万だったが、2011年には409万円までダウン、年収で58万、月収で5万ほど、収入が下がっている。
問題なのは、給料が下がっているにも関わらず労働環境が更に悪くなっているところ。仕事はますますしんどくなっているのに、収入はどんどん下がっている。
なぜこんなことが起こるのか、その原因は給料の構造が変わったから。
長い間、日本企業は必要経費方式(社員が元気で働いて仕事をこなすために必要な給料を出す方式)+一生涯保障型(年功序列)で社員に給与を払ってきた。
しかし、現在は非正規労働者が増え、必要経費方式+その場限り型(働いた分だけ払う)というように、企業の給料の考え方が変わってきた。
そのため、年を取っても収入が上がるとは限らず、場合によっては、厳しい状況になる可能性もある。
限界効用逓減の法則(P74)
限界効用逓減の法則の通り、満足感には限界がある。
何を得ても、満足感はだんだん減っていく。そこで満足感を得ようと、「もっと」を求めても、決して満たされない。
もっとを満たすためのお金はどんどん増えていくが、得られる満足感は減っていく。
人はどんな状態にも慣れてしまう。「あれもこれも」という欲や、「もっと」を求める気持ちが、人を不幸へ突き落とす。
投資と消費を間違えない(P93)
将来のリターンが見込めるお金は投資。リターンが見込めないのは消費。
今の日本では、自然に将来の収入は上がっていかないが、世の中や人間の思考は、お金を浪費してしまうようにできている。自制しないと、やがて生活の破綻が待っている。
お金との付き合い方は、真剣に考えるべし。
クレジットカード会社が分割をオススメする理由(P117)
クレジット会社の儲けは買い物の手数料より、カードローンビジネスが主流。
キャッシングやリボ払いの方が会社としては儲かるため、消費者に分割、カードローンをオススメしている。
連帯保証人は絶対にやめとけ(P128)
連帯保証人になるのは人生をダメにするリスクを背負う。
連帯保証人は相手の責任を背負うこと。自己破産する人の10人1人が連帯保証人がなったことをきっかけにしている。
いかに信用している友人でも、困った人の頼みでも、絶対に連帯保証人にはなっていけない。相手の借金など、全て背負うハメになり、自分の人生をダメにしてしまう。
うまい話=危険な話(P171)
本当に儲かる美味しい話を人に持ってくる人はいない。
話が広がれば、儲けの旨味は減る。だから本当に美味しい話があれば、人はそれを独占しようとする。
ブームで損をした人々(P180)
一時期、不動産投資がブームになった時期があったが、それで少しの成功者が生まれた一方、損をして借金を抱えた人も。
「こういうやり方で投資しなさい、そうすれば成功しますよ」という話が流行していても、それで本当に上手くいくのか、安易に信用してはいけない。
自分で考えない人はブームの仕掛け人のカモになる。
大切なのは致命的に負けないこと(P204)
人生、負けてもいい。失敗してもいい。致命的な失敗でない限り、やがて再起ができ、敗北が勝利の滋養になる。
しかし、致命的な敗北、再起不能になるような失敗は絶対に避ける。
役割があれば生きがいが持てる(P230)
自分の場所を持てる人は幸せ。
「ここにいれば自分が認められる」「ここには自分の役割がある」そんな場所があれば、人は幸せに生きられる。
この意味で、生涯仕事をしていくこと、人と関わる機会を持つことが大切。
感想など
昔、「バラ色の人生」という番組がありました。
その番組では、片親の人とか、親がギャンブルやアル中だったり、男に騙されて連帯保証人になって借金まみれになった人とか、人生で苦労した人がたくさん登場。
特に印象的だったのは、お金が原因で人生が転落した人々の話。
「恋人に連帯保証人を頼まれて引き受けたら、恋人はトンズラ、借金で破産・・・」
「ギャンブル中毒→借金→サラ金に追われる」
こんな、お金にまつわる怖い話がたくさん。
この番組を見て、「絶対に返せない借金はしまい!!!」「連帯保証人はヤバイ!!!」ということを学びましたが、こういうお金の怖い話は、あまり人から教わることがないと思います。
どうやってお金と付き合っていけばいいか、お金のことでしてはいけないことは何なのか、そういう知識があるとないとでは、人生の安全度が段違いに。
お金はある意味、「命より重い!」話。
必要なマネーリテラシーは身につけておきたいものです。