パワハラモラハラマウンティング女子、やっかいな人から攻撃される人の特徴とは。
片田珠美著『他人の支配から逃げられない人 』(ベスト新書)の読書感想です。
この本について
他人を攻撃して追い詰める人の特徴と、攻撃対象にされる人の特徴や傾向が書かれた本。
パワハラする上司やモラハラする家族、なぜ彼らが周囲の人を攻撃するのか、攻撃対象にされる人はどんな人なのか、どう対処したらいいか、人間関係の問題に苦しまないために知っておきたい内容が満載です。
以下、本書の読書メモです。
余裕のなさが労働者を追い詰める(P40)
日本の労働環境(人間関係的に)が悪くなる原因の1つが、「今の仕事をクビになったら後がない」という余裕のなさ。
日本の場合、ある程度の年齢がいったら、再就職が難しくなる。
そのため、今の環境がどれほど理不尽なものであっても我慢してしまう。結果、自分を守るために他人を攻撃する人が登場、職場環境がますますギスギスしていく。
攻撃対象にされた人は、退職を選ぶことが本当は理想だが、一度仕事を辞めると、再就職が難しく、条件が悪化しやすいので、攻撃されても我慢してしまう。
精神的な安定を得る変わりに収入を落とすか、収入を落とさない変わりに精神的な安定を捨てるか、二者択一を迫られているのが、労働者の現状。
人間の根本は自己愛(P59)
人は誰でも自己愛がある。
人は自己愛を満たすために行動し、他人の承認を求める。人は誰でも自己愛を満たすために動いている。
逃げられない人の特徴(P78)
他人を攻撃する人から逃げられない、我慢してしまう人の特徴。
1・安定死守型
→日々の安定が第一で、将来のことが見通せることに安心感を持つ人。今がどんなに辛くても理不尽なことがあっても、変化を起こすより、我慢してしまう。
2・トラブル回避型
→争いや問題を嫌うタイプ。自分から動くことはなく、周りの人が困っていても、見て見ぬふりしてしまう。
3・承認渇望型
→周囲から認めてもらうことに価値を置くタイプ。上司や周囲の期待に尽くそうとするが、本当の動機は、自分を認めて欲しいという打算が行動の中心。
4・完璧主義型
→なんでもきちんとしないと気がすまないタイプ。
白か黒か、オールオアナッシングの人。完璧主義のため、問題が起こっても、転職は敗北と考えてしまうため、理不尽な状況に耐えてしまう。
5・権威主義型
→賢威に寄りかかって自分を高めようとするタイプ。学歴自慢や会社自慢はこのタイプの典型。賢威がある人、上位者には、進んで追従、スネオキャラになる。
安定した職場ならではの問題点(P85)
リストラがない、もしくは少ない「安定」した職場は、人間関係が固定的になってしまう。
そのため、面倒な人間が職場に一人でもいると、職場の雰囲気が最悪に。人間関係が流動せずに固定されてしまう分、害のある人間関係から逃げることができない。
複線的な視野を持つ(P195)
攻撃的な人から支配されやすい人は、失敗経験が少なく、視野が狭い。
「自分にはこの道しかない」という思い込みが、人生の可能性を狭め、理不尽な環境に自分を押しとどめてしまう。
これからの時代は、「こうすれば上手くいく」という安定、先の見える時代ではない。いくつかの選択肢を持ち、複線的に生きていくことが大切。
安定を求める気持ちが自分を追い詰めていることに気がつき、複線的な視野を持つ。
感想など
「これしかない」という考え方がいかに人生の損失と害を招いているかが分かる本。
本書は、基本的に他人を攻撃して追い詰める人の特徴と、攻撃対象にされる人の特徴や傾向が書かれた本ですが、「安定志向」という視点でこの本を読むと、世の中は難しいなと思ってしまいます。
私達は先が見えないと不安で安定を求めます。しかし、安定を求めたところ、そこは人間関係が終わってる場所だったりして、全てめでたしめでたしにはならない。
何かを得ようとすると何かを失う。
自由だと身分が不安定、しかし自分の選択で攻撃的な人とも縁切りできますが、身分が安定していた場合、自分に選択権はありません。
仕事も安定、お金もよし、人間関係もよし、そんなハッピーハッピーな結果を得ている人がどれくらいいるのか?
攻撃的な人の考え方を知ることも大切かもしれませんが、人が流動せず、人間関係が固定化されると環境がギスギス。攻撃するものとされるものが現れるのは、そんな構造があるのかもしれません。
1つの場所に居座って我慢する、安定を得ようとするのは、いろいろ大変なようです。
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