『嫉妬をとめられない人』の読書感想 – 嗚呼妬み、この人間なるもの

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嫉妬をとめられない人(小学館新書)

人間関係で足を引っ張られないための実用知識がこちら。

片田珠美著『嫉妬をとめられない人』(小学館新書)の読書感想です。

この本について

「嫉妬心」というダーク、しかし人間関係の様々な場面で影響を与える感情について考察。

人間関係で確実に存在する「嫉妬」という黒いもの。本書では、その黒いものによって知らず知らず被害を受けないための実用的な考え方を学べる内容になっています。

以下、本書の読書メモです。

嫉妬とは(P21)

人を妬ましいと思う嫉妬心。これは人間誰もが持つ原始的な感情。

嫉妬心は、「自分の母親を他の赤ん坊に奪われるのではないか?」というように、自分の大切なものや欲するものを失う恐れ、不安から引き起こされる感情。

嫉妬心とは、自分の安心を脅かす相手に敵意を抱き、排除しようとする感情

現代社会で嫉妬で悩む人が増えている理由(P27)

嫉妬心は、閉じられた環境、限られたパイの奪い合いが多い場所で刺激される。

現在の社会のように、成長が見込まれない閉塞的な環境で経済格差が拡大している社会状況では、勝者が限られ、現実に不満を感じる人が増えていく。

そのため、「なぜあいつは自分より」という欲求不満、敵意も強まり、嫉妬心を刺激する。

嫉妬が起こりやすいとき(P31)

嫉妬は発生しやすくなる状況がある。嫉妬が起こりやすい状況はこちら。

1・自分の立場を脅かす者がいる。

→嫉妬するもの低位、嫉妬されるもの上位。嫉妬は「他人の幸福が我慢できないこと」への怒り。自分より上のものの幸せを知ったときに生じる怒りが嫉妬。

2・閉鎖的な人間関係で起こりやすい。

→人間関係の流動性が少ない職場、特権意識を持つ人々が多い高級住宅地、家族や親族の関係が強い家、人の流動が少ない閉鎖的な地域など、嫉妬は閉鎖的な環境や狭い価値観が蔓延る場所で起こりやすい

3・兄弟や夫婦など、身近な関係で嫉妬心は強くなる。

→親の愛の奪い合い、競い合い、自分と兄弟の比較によって、嫉妬心が強くなる。

4・自分と同性のものに嫉妬を感じやすい。

→女性は女性に、男性は男性に嫉妬を感じやすい。その背景には、自分が所有するはずだったものを奪われたことへの怒り、奪われるかもしれないことへの危機感が嫉妬へつながっていく。

嫉妬しやすい人の特徴(P54)

嫉妬しやすい人の特徴など。

1・自己中な人

→自分のことばかり話すような人、自己愛の強い人が嫉妬マンに変わりやすい。彼らは自分より下の立場、安心して威張れる相手には嫉妬を感じないが、相手が自分より優位な傾向にあると、攻撃性を高め、下へ引きずり降ろそうとする。

2・人の好き嫌いが激しい人

→自分を受け入れ賞賛してくれる人はかわいがるが、少しでも自分に反対する人にはとことん攻撃的になる、そんな人の好き嫌いの激しい人は嫉妬にとらわれやすい。誰かを必要以上に嫌う背景には、恐れや恐怖心がある。

3・自分の非を認めない人

→自分の失敗、ミスを認められない人、責任を他に転化しようとする人は嫉妬傾向あり。

4・言い訳、不平不満の多い人

→文句が多く、自分のセルフイメージがやたらと高い人は現実認識が欠けるため、他罰的になりやすい。そのため、人の敵愾心、嫉妬心が燃えやすい。

5・自己愛の強い人

→オレオレオレ、自己愛の強い人は等身大の自分を受け入れることができない。常に「自分が一番」と考えているため、ちょっとしたことで、人のことが気に食わなくなる。特に自己愛性人格障害の人からの嫉妬には要注意。彼らの嫉妬のターゲットになると、面倒なことになる場合も。

嫉妬が燃え上がるプロセス(P61)

嫉妬が芽生え激化するプロセス。

1・愛情、出世、名声、社会的地位、お金など、何か満たされないものを持っている

2・近くにいる誰かと自分を比較する。

3・相手に嫉妬する。

4・相手を引きずり下ろす攻撃的な言動を開始する。

5・ますます嫉妬心が高まる。

フレネミーにご用心(P99)

世の中には良い人、友人のふりをした敵がいる。

彼らはフレネミーといい、善意を装い、その裏側で、常にこちらを下げて貶めるチャンスを狙っている。

例)

・悩み相談を親身に聞いてくれる友だち。親身な態度の裏で、聞いた話に色をつけ、悪い噂をばらまく。

友だちだと思っていた人が一番の敵であることも。誰を信頼すべきなのか、本当に信頼できる人は誰なのか、よくよく見極めるべし。

うっかり行為に本心が出る(P119)

頼まれたのについ忘れてしまうこと、「うっかり」のミスや失敗が続くことに実は本心があるのかも。

人の本意は無意識の行動に現れる。なぜかミスしてしまうこと、やろうとするのに忘れてしまうことがあるときは、自分の本心を確認してみる。

人から嫉妬されない方法(P122)

人から嫉妬されないための行動&心得。

1・弱い自分を出す。

→良い部分だけ見せようとすると、「あいつが気に食わない」と攻撃されやすい。あえて弱みを見せる(演出する)ことで、相手の矛先を弱めることができる。ミスも失敗もする、そんな弱い部分を人に見せること。

2・我を張らず謙遜する。

→「俺はすごいんだ」的な態度は敵を作り、嫉妬で足を救われやすい。優秀であればあるほど、人気があればあるほど、上にいればいるほど、人生が上手くいっているときほど謙遜が必要。謙虚な態度を示すべし。

3・功を人に譲る。

→一番嫌われる人間が他人の手柄を横取りする人。功を焦って「オレオレオレ」と前に出れば、一時的に成功しても人に嫉妬され面倒な目に遭う。理想は、人に恩を売り、かつそれを返してもらい、じっくり成功すること。

4・実績は淡々と示す。

→自分の功を大げさに語らず、成したこと、その事実を淡々と控えめに示す。自分上げは控え、他人を上げを意識。実績は伝え方を工夫すること。

「俺は努力した」とか、「俺の実力で」的な方法はNG。「運が良かった」とか、「みんなのおかげで」とか、嫉妬を買わない方法を工夫する。

5・正当に努力を積む。

→最後には努力に勝るものなし。淡々と、自分がすべきことを実行すべし。

6・嫉妬する相手を冷静に分析する。

→「なぜこの人は私に嫉妬をするのか?」という冷静な視点を持つ。現実的な立場は、嫉妬される人>嫉妬する人。嫉妬する人の心情、立場を分析することで、「この人はだから嫉妬するのか」という心理的余裕が持てる。

7・嫉妬される場所からなるべく離れる。

→ときに、嫉妬が渦巻く場所から潔く離れることが自分を守る一番の方法になる。嫉妬は燃え上がれば、最後には全ての人を傷つける。嫉妬に悩んだら負けるが勝ち。どうしようもない場所からは、思い切って離れること。

自分の嫉妬心を克服する方法(P160)

自分の中に嫉妬心が芽生えたときの対処法。

1・嫉妬する自分を認め受け入れる。

→嫉妬は人間関係のなか、当然芽生えるもの。嫉妬する自分を否定せず、嫉妬していることを認め受け入れる。それが第一歩。

2・一つの価値観に縛られない。

→嫉妬は狭い環境、閉鎖的な環境で生まれやすい。閉鎖的な環境の背後には、視野の狭さ、価値観の少なさが背景にある。視野を広げ、価値観を変えていけば、嫉妬を克服できる。

3・正当に努力を積む。

→本当の自信になるのは、「俺はこれだけ頑張った」という努力の積み重ね。嫉妬するときはまだまだ努力が足りないと考え、人のことより自分のことに集中する。

4・嫉妬する場所から離れる。

→「自分の居場所はここしかない」「これでなくてはダメ」など、そう感じてしまう場所からとりあえず離れてみる。距離を置くことで、物事を冷静に見ることができる。嫉妬で苦しいときはその場所から離れる、これが鉄則。

5・他人との比較をやめる。

→隣の芝生は青く見えるもの。人より「勝った負けた」と比べている限り心に平安はない。大切なのは人は人、自分は自分であることを知ること。自分なりの価値観を持って、人と比べないことを心がける。

6・多様なつながりを持つ。

→職場だけでなく、趣味などいろんな人間関係を持つこと。嫉妬が起こるキーワードは狭さ。狭い環境は視野が狭くなり、「であるべき」の考え方がはびこりやすく、嫉妬の温床となる。いろんな人と付き合い、いろんな考え方があることを知ることが大切。

7・自分の限界を見極める。

→人にはできること、できないことがある。自分の限界を認め、それを自然に受け入れることが大切。

感想など

表では語るのはためらわれる、しかし確実に存在する「嫉妬」というダークな影響力。その対処法を分かりやすく学べた本。

私は20代の頃に人間関係が濃い職場で働いていて、そこで、人の嫉妬心がいかに人間関係のトラブルに発展するのか、大変なことになるのかを実感。

その体験から、なぜ人が集まるところは足の引っ張り合いが起こるのか、人間関係が悩みの種になるのか、自分なりに興味を持って調べてきました。

そこで辿り着いたのが「嫉妬」というキーワード。

世の中の様々な出来事を嫉妬という視点で見ると、なぜ能力がある人、才能がある人が必ずしも成功して幸せになれないのか、正論だけでは上手くいかないのか、答えがうっすらと見えてきます。

個人的に、嫉妬への知識は嫉妬学と読んでよいほどの実用的な知識だと思っていて、この手の人間心理の本は興味を持って読んでいます。

嫉妬についての知識が浅いと、知らず知らず人から反感を買って足を引っ張られてしまって、面倒なことが起こってしまいます。世の中、人からの嫉妬が原因で、足を救われてしまう人も少なくありません。

何事も予防に勝るものはなし。嫉妬学を学んで人間関係の根本を理解、不用心に敵を作らないよう、気を使いたいものです。

本はこちら

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