『他人を攻撃せずにはいられない人』の知識をこうやって実践。
片田珠美著『賢く「言い返す」技術: 人に強くなるコミュニケーション』(三笠書房)の読書感想 です。
この本について
ベストセラーとなった『他人を攻撃せずにはいられない人』の実践本。
世の中には関わるのが面倒で攻撃的な人が存在し、そのような人と無防備に関わると、こころの健康を害す原因に。
そこで、この本では、周囲にいる攻撃的、迷惑な人の対処法を公開。身近にいる攻撃的な人への対応を勉強できる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
人間関係の大前提(P1)
世の中には性善説の通用しない悪い人間がいる。他者の痛みを想像できず、他人を攻撃する悪い人間がいる。
そういう人間に無防備でいると、攻撃の対象となり、大きな被害を受けてしまう。攻撃に対して無防備にならず、抵抗するための力を身につける。
攻撃する人ほど実は弱い人?(P16)
他人にあれこれ手を出してくる人、先制攻撃してくる人間は、弱い人間。
自分が弱いことを知っているからこそ、人から攻撃されないため、まず自分から相手を威嚇する。
「弱い犬ほどよくほえる」は真実で、周囲に攻撃的な人がいれば、その人を怖がることはない。よく観察すると、その人の「弱さ」が見えてくる。
攻撃的な人間のタイプ(P18)
周囲にいる攻撃的なタイプの8つの分類。
攻撃的な人間に対処するためにまず必要なのは、敵のタイプを見極め、特徴に応じた対応をすること。彼らの特徴を知っておけば、なぜ彼らが攻撃してくるのか、その心理が見える。
1・「王様」タイプ
「俺は偉いんだ、お前らは俺の言うことを聞け!」的な高圧的、威圧的なタイプ。職場の上司などにいがちなタイプで、上から目線、プライドの高さが特徴。
彼らが威張る背景には、自分への自信のなさや不安があり、だからこそ必要以上にいばり、自分を大きく見せようとする。
あまりに偉そうに見える人、高圧的な人は、「この人は本当は不安で仕方ないんだな、自信のない人なんだな」と考えておけばいい。
2・「裸の王様」タイプ
自分の話ばかり、自分自分になってしまうタイプ。過去の栄光、自慢話を延々としたがる人々で、背景には、強い自己承認欲求がある。「他人に認めてもらいたい」という気持ちが強いタイプ。
3・「羨望」タイプ
ジワジワと心理的にこちらを追い詰めてくる嫌な対応。ハッキリとモノを言わない、嫌味を多様してくるタイプ。フレネミーやマウンティング女子はこのタイプの典型。
彼らは序列をつけずにはいられず、人間関係を上か下かで判断したがる、ある意味原始的な人々。嫉妬心が強く、常に人より優位に立ちたいという気持ちが強い。
4・「お子ちゃま」タイプ
わがままで自分勝手、子どもの頃から甘やかされて育ったタイプがこれ。彼らは幼児性が強く、何でも自分の思い通りにならないと気がすまない。
「何でも思い通りになる」という幼児的万能感を捨てきれず、自分の思い通りにいかないときは、攻撃的になり、迷惑者となる。
背景には、「自分は特別扱いされて当然」という幼児性があり、自己愛と特権意識が強い。
5・「悲劇のヒロイン」タイプ
被害者、弱者の立場になりたがるタイプ。
「自分はいつも被害者で、相手が悪い」と責任を転嫁する対応、自分のことは棚にあげ、原因を人のせいにし、周囲の同上を集めようとする。
このタイプは一見すると攻撃的な人間に見えないが、本当の姿は、被害者を装った攻撃者。
6・「置き換え」タイプ
自分が溜め込んでいる不満やストレスを、別の場所や無関係な人に八つ当たりして発散させるタイプ。
店の店員に理不尽なクレームをつける人、立場上反撃できない人に攻撃する人間がこのタイプ。
彼らは家庭や職場、日常生活でさまたげられていることが多く、その不満を溜めこんでいる。
彼らは自分自身でストレスを処理できないため、置き換えという形で、無関係な人々に八つ当たりして、うっぷんをはらしている。
7・「トラウマ」タイプ
自分が経験した辛さや恐怖を人に味あわせたいタイプ。
自分がされたことを人にする、それによって、自分のトラウマを克服しようとするのがこのタイプの特徴。
彼らは基本的に自分より「弱い」と判断した人間をターゲットにするため、彼らに反撃せずにいると、しつこく粘着される可能性がある。
8・「サディスト」タイプ
人を傷つけることに快感を覚える根っからの異常者。
世の中には、人を苦しめたい、傷つけたいという欲求を持つ人間が少なからずいる。
彼らに性善説は通用しないので、このタイプに無抵抗でいると、人生を破壊されるほどの被害を受ける危険がある。
ポイントは攻撃者とは同じ土俵に立たないこと(P56)
攻撃してくる人が気にするのは、「自分の攻撃がどれだけ相手にダメージを与えたのか?」ということ。
だからこそ、攻撃を受けた場合は、彼らの攻撃に動揺しないようにすることが重要。相手に感情的な反応や、レスポンスをしないことがポイントで、覚めて怒る。
感情を見せず、冷静を装い言い返す。
そのさいは、「なぜ相手がそんな攻撃行動をするのか?」を分析、攻撃してくる人間を、「人につっかかってくる可哀想な人間なんだ」と上から下に見下ろすこと。
こうすることで、感情的にならず、冷静な気持ちを持つことができる。
幸せな人は、わざわざ他人を傷つけたり、無意味に攻撃したりしない。攻撃してくる人間は、何らかの理由で人生が上手くいかず、不幸で可哀想な人が多い。
攻撃する人間は不幸な人。そのことを意識しておく。
我慢だけでは問題は解決しない(P66)
面倒な人と関わるとき、「我慢していればいつかは状況が良くなる」と考えがちだが、ときに我慢しているだけでは問題がいつまでも解決しないときがある。
ときに、我慢せず、反撃に転じる必要があることもある。
状況によっては、いい人を捨て、攻撃しかえすことが最善の選択になることもあることを知っておく。
周囲に味方を作る(P86)
攻撃は加害者と被害者という関係で行われる。
加害者の攻撃を周囲が見ていなければ、加害者の行動はエスカレートする。だからこそ、加害者が調子づかないよう、周囲に加害者の悪行が伝わるよう、仲間を作っておく。
言い返すときは相手に面倒な人間だと印象付ける(P119)
攻撃する人間は、言い返さない、攻撃しやすい人間をターゲットに選ぶ。
だからこそ、相手から攻撃されたらすかさず言い返し、決して引かず反撃。「相手からこいつは面倒だ」と思われることが、攻撃を退けるための有効な手段。
被害者にならないために(P132)
攻撃者の犠牲者にならないために、普段から、自分は言いなりにはならない、ターゲットにはならないということを態度で示す。
あれこれ説教し攻撃してくる人間には、1つ1つ反論、態度で「好き勝手言わないでください」と示す。
フレネミーは今すぐ縁切り(P182)
友人の振りをした敵、フレネミー。
彼らは本質的にこちらに悪意を持っているため、彼らの攻撃的な態度には、はっきりと迷惑だと態度で示した方がいい。
フレネミーの行動で実害が出そうなら迷わず縁切り。世の中には、すっぱり切った方が良い人間関係がある。
母と娘の関係は難しい(P189)
世の中には、娘の幸せを歓迎しない母親がいる。
「私より幸せになってはいけない」と娘を心理的に圧迫し、娘を支配しようとする母親がいる。
そのような母親は、「自分が哀れだ、私を捨てないで」と娘を心理的に縛り、いつまでも自分の手元にいるよう、コントロールする。
攻撃的な人に攻撃されやすい人の特徴(P214)
人と上手くやりたい人、自分を主張せず空気を読む人、他者の欲求を満たしたい人、受け身な人。
いわゆる「いい」人が多いが、残念ならが、こういう人ほど、攻撃的な人のターゲットになりやすい。
攻撃されないために必要なのは、できることとできないこと、限度の区別をつけること。他人の要求に対して、「これはNGですよ」という線引をすること。
無理なことは無理、他人の要求はほどほどに対応していい。
感想など
世の中の攻撃的な人にどう対応したらいいか、考え方や行動が勉強できる充実の一冊。
現実問題、人間関係で悩むことになるのは、大半が攻撃的で迷惑な人が原因。
不幸にもそのような人が身近にいて、彼らの行動がストレスになっているとしたら、それを我慢しても、状況がよくなることはないかも。
ダメなものはダメ、嫌なことは嫌、きちんと意思を表示して、面倒な人は線引。適切に対処して、心の健康を保ちたいものです。