誰かに話したくなる経済小話。
門倉貴史著『オトナの経済学』(PHP文庫)の読書感想です。
この本について
身近なテーマで経済学を分かりやすく理解できる本。
「宝くじと幸福度の関係」や「女性を口説く限度額」など、酒のツマミになる小ネタが満載の内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
薬指を見れば分かること(P21)
テストステロン値が高い男性は投資や競争で成功しやすい。テストステロン値が高いかどうかは指を見れば分かる。
薬指が人差し指より長ければ、テストステロン値が高い。競争や株式投資を頑張る価値はある。
品揃えの注意点(P41)
お客の商品の選び方は、3つのグレード(松竹梅)があれば真ん中のグレードを選びやすいという統計があるように、お店が商品をどのように見せるかによって、大きく変わってくる。
人は無意識のうち、極端に安いもの、極端に高いものを避ける傾向がある。また、選択肢が多すぎても、何も選ぶことができず、購買意欲がなくなってしまう。
品揃えは厳選し、お客が買いやすい仕組みを作ることが大切。
大数の法則(P98)
物事で大切なのは平均。
短期的にランダムに発生している事象でも、長期的に見れば平均値に収束していく。これを大数の法則と呼ぶ。
短期的な結果に惑わされず、長期的な視野を忘れないことが重要。
ロビンフッドが「悪」になる理由(P164)
税金は持っている人から取るのが一番効果的だが、それをしてしまうと、お金持ちはより税金が少ない国へ逃げてしまう。すると結果的に税収は下がる。
そのため、ロビンフッド的な発想でお金持ちから富を奪い、それを再分配することによって、むしろ貧しい人たちがますます困る可能性もある。
お金持ちから奪うという発想は、結果的に多くの人の損となる。
景気の良し悪しはココを見る(P167)
経済指標が理解できなくても、日常生活の現象から景気の良し悪しを読むことはできる。
例えば女性のスカート丈。景気が悪いときは、アパレル業界が流行を煽ってミニスカートを流行させようとするため、街中でミニスカートの女性をたくさん見かけることになる。
このように、日常生活の流行を調べることで、世の中の景気がどうなっているか、肌身で感じることができる。
世界のオモシロ税(P186)
世界にの変わった税金について。
・ニュージーランドのゲップ税(反対により見送り)
・ブルガリアの独身税(出生率低下により中止)
・中世フランスのカエル税(労働税の一種)
・近代ロシアのヒゲ税(軍隊育成の資金に)
バタフライ効果について(P190)
ごく小さな出来事が時間の経過とともに大きくなっていき、最終的には大きな結果をもたらす。これをバタフライ効果と言う。
小さな行動でも、それが大きな変化を起こすトリガーになる可能性がある。大きな変化を起こしたければ、まず小さな行動から始めるべし。
感想など
エッセイ感覚で気軽に読めた本。
経済学というとあれこれ難しいイメージがありますが、経済は最終的に人の動き。結局は人が経済を動かします。
そのことを考えると、経済通は人間通。人を知ってこそ、世の中が分かる。この本を読んでいるとそんなこと考えましたが、単純に読み物として面白かったです。
酒の席で役に立ちそうな話もいろいろあるので、これを仕込んで、いざというときに使えば、ネタを提供できて楽しい時間が過ごせそうです。