就職して結婚して自分の家を買う。
世の中には、「当たり前」を信じた挙げ句不幸な人生を送る羽目になってしまう人がいる一方、「当たり前」に疑問を感じ、自分で考え行動。
幸せな人生を歩む人がいます。
両者の具体的な違いが何なのかは置いておいて、人生で重要なウェイトを占める住宅費。具体的には家のローン。
この問題について、「家購入は全体ダメ!」というアンチ派の面白い本を読みました。それがこちら。
上念司著『家なんて200%買ってはいけない!』(きこ書房)です。
この本について
まずはじめにお断りしておきますが、これからローンで家を買おうと考えている方。
もしくはもう既にローンで家を買ってしまった方は、この本を読むと激しく気分を害する可能性があります。
しかしもしあなたがローンで家を買うことを検討している段階であるならば、この本を読む価値は十二分にあります。
なぜなら、最初から家を買うマイナスの意味を知っておけば、将来何があっても、後悔することはないからです。
最初からローンで家を買うことのマイナスを知っているのと、購入後にそのマイナスに気づくのとでは、大きな違いがあります。
だからこそ、既にローンで家を買ってしまった方はこの本を読んで気分を害する必要はありません。
ただし、今検討段階の方は、「こういうマイナスの意見もある」ということを知っているのと知っていないのとでは、その価値。意味がぜんぜん違ってきます。
本書のポイント
・2040年には日本の住宅の40%が空き家になる→空き家あまりで住宅の価値は激減→損をこくという未来予測
・家を買うと維持でお金がかかり、家に人生をしばられてしまうという実害
・そもそも家を買うこと自体が経済的な大きな損という現実
その選択は取り返しがつかない
一度家を買ってローンで毎月お金を支払う。そうなってしまった段階では、もう後戻りはできません。
賃貸なら引っ越しで失敗しても、まだやり直しはできます。金銭的な損害は発生しますが、後戻りはできます。
が、ローンを組んで家を購入した場合は話が別。
隣人がモンスターネイバーフッドだろうが。欠陥住宅だろうが。ローンの支払いが厳しくなってしまおうが。
後戻りするのは、相当なダメージを覚悟しなければいけません。
逆に、家を購入して大正解だった人の場合は、全く本書を読む必要もなければ、あえて家を買うマイナスを知る必要性はありません。
この意味で、
「今現在、ローンで家を買うかどうか、真剣に検討している」
という方は、
「最初から家なんて絶対に買うな!」
という本書の主張を読むことが、大きな価値を持つことでしょう。
本書は持ち家派こそ読む価値がある本
本書を読んで、気持ちが明るくなることはまずありません。
なぜなら「マイホームは完全に幻想で現実社会においてはマイナスしかない」というのが本書の内容だからです。
実際、空き家が増加していくこれからの時代、家を資産と考えればその期待は将来、期待はずれになる可能性が極めて高いのが実情。
そのなかで、あえて家を買う。その選択を決断する上で、自分はどうしたいのか。リスクを背負う覚悟があるのか。
それを知る意味においては本書を読むことに、大きな価値があります。
「家を買うなんてバカらしい」という賃貸派にとって、本書の内容は至極当たり前。当然の話ばかりなので、あえて読む必要はないでしょう。
しかし。
今あなたがまさに、家族のため。子どものため。ローンを組んで家を買うことを検討しているなら。
まずあえて、
「実際にこういうマイナス。こういうリスクがあります」
ということを知っておくことは、将来のマイナスを引き受ける覚悟を決める上において、とても重要なポイントになります。
家を買う本当の意味と価値
家を買うことは損得だけで決めることではありません。
賃貸は楽です。嫌になればいつでも引っ越せます。しかし、自分の家のように安全安心、満足できる環境を得るのは厳しい物件です。
なぜなら賃貸は儲けのために作られている物件であり、居住者のことを考えられて作られている物件ではないからです。
自分と家族が安心して暮らしていく家を買う。
そこに経済的な損得を考えない。なぜなら人は環境の生き物で、環境は生きていく上でもっとも重要な要素。
損得より大切なものがあることも確かです。
だからこそ、家を買う上で絶対に失敗は許されないもの。その意味で本書は持ち家派の方にも、大きな価値があります。
ローンを組んでマイホームを買うことを検討している方は、ぜひ、一読をおすすめしたいと思います。