きれいごとNGの人生論。
入江光海著『目からウロコの! 「生き方」人間学』(明日香出版社)の読書感想です。
この本について
きれいごとをいわず、現実的に人生とはどういうものなのかが書かれている本。
この本を読むことで、人生のえげつなさ難しさを感じつつも、どうやって人生で最善を尽くせばいいのか、生き方を考えるきっかけになる本になっています。
以下、本書の読書メモです。
幸せの勘違い(P17)
「今求めていることが実現されれば、欲しいものを手に入れることができれば幸せになれる」というのは完全に思い込み。
幸せは欲望の先には見つからない。この勘違いに気がつかない限り、幸せは近づいてこない。
人との比較が地獄への道(P27)
「○○さんは私より学歴が良い」「△△さんと比べて年収が低い」「☓☓さんは素敵な恋人がいるけど私にはいない」
このように、人と自分を比較する習慣を持っていると、今すぐ、いつでも、かんたんに不幸になることができる。
自分にはない、しかし人は持っている。そういう視点で物事を考えている限り、決して幸せにはなれない。
では幸せはどこにあるか(P32)
幸せは、何気ない日常のなか、ふと認識するもの。特別な何かがなくても、暮らしていて、ふと「あぁ幸せだ」と気づく、そういうもの。
幸せを実現する条件としては、今の境遇のなかで最善を尽くすこと。貧乏だろうが、孤独だろうが、お先真っ暗だろうが、どんな条件であれ、最善を尽くす。
ないものより、今あるものに意識を向ける。そうすることで、幸せは案外身近にあることに気がつく。
人生は出会いで決まる(P55)
人は誰と出会うかで人生が決まる。
しかし、どんな人と出会うかは、運命によって左右される。自分の意志で、意図的な出会いを作ることは難しい。でも、だからこそ、出会った人にはそれぞれの意味がある。
人にはそれぞれ縁があって、特に人生で深い影響を与える縁は、「運命的な出会い」とか、そういう言葉でしか説明できない奇跡的なもの。
人との縁は不思議なもの。大切にすべし。
相性の問題(P61)
人間関係には相性がある。ある人のことがなんとなく気に入らない。やっていることが気に障る。
そういうのは相性が良くない証拠で、人間関係にはこういう相性がある。相性が合う人は合うし、合わない人は合わない。
人は相性が合う人を過大評価し、合わない人を過小評価し、マイナス点ばかり探すようになる。
人間関係で上手くいっていない場合、相性という視点で考えてみると、その後のより良い身の処し方が分かってくる。
悩みの対処法(P126)
生きている限り、悩みが消えることはない。問題は、対処法を覚えて、上手く付き合うこと。悩みの対処法はこちら。
1・悩みを「除去」しようとしない。
2・悩みばかり考えないよう、他に集中できることを探す。
コントロールしようとしない(P149)
人間は自分でコントロールできないものの方が多い。
感情、思考、意志、どんなものであれ、それは周囲の状況とか、無意識的なものによって、影響を受けてしまう。
だから、自分の感情をコントロールしようとか、何でもかんでも、自分の思い通りにコントロールしようとしてはいけない。
うぬぼれないために知っておきたいこと(P163)
対人関係のコツとしては、「人は自分のことを自分が思っているより、低く見積もっている」と考えること。
多少、人からバカにされているくらいの意識を持っていた方が、傲慢にならず、謙虚に振る舞える。その姿勢が、結果的に人から評価を高めることになる。
人生の重要な時期(P169)
人間の一生は、次の3つの段階がある。
1・準備期
→小学校から大学、社会人として自立するための、必要なことを学ぶ時期。
2・仕事期
→社会に出て仕事を頑張り、生活の基盤、社会的地位を作る時期。
3・余生期
→仕事から引退したあとの時期。人生の黄金期であり、それまでの人生の結果を味わう時期。
運命について(P176)
人には運命がある。
それは自分の思うとおりにはいかず、不如意なものかもしれない。人生、意志で何とかなるものもあるが、運命はどうにもならない。運命には従う覚悟を持つ。
思ってもみない展開、予想外の運命に出会ったときは、そのときの状況に応じて、適切に進路を変えていく。そんな柔軟性を持つことが、運命と上手く付き合うコツ。
欲望の影響(P247)
○○がしたい、△△が欲しい、そういった欲望を持つことは、良い面と悪い面がある。欲望の影響はこちら。
1・前向きに生きる力を与えてくれる。
2・人と争うようになる。
3・自己中心的になる。
4・欲望を抑えられないと人生を台無しにする可能性がある。
5・心、意志が弱くなる。
感想など
「人生の教科書」という言葉がぴったりの本。
生き方、人間関係、運、様々な視点から、人生とはなんぞやと、読者に問いかけてくる内容になっています。
きれいごとや絵空事、理想論はないので、アメリカの「願えば何でも実現できる、人生は100%自分次第!」的な自己啓発とは趣を異にしていますが、個人的には、この本のような考え方の方が、しっくりきます。
人生、ほんとうに運命というか、自分の意志とは全然違うように進んでいくような、そんな不思議さがあるように思います。
「○○を実現したい!」と思って頑張ってもそれが上手くいかず、かわりに他の道へ進むことになる。
でも不思議なのは、その道へ進んだことによって、思わぬ展開が待っていて、最終的には結果オーライになったりする。
人生は、意志では思い通りにならないものの、「人生こうすべきだ」という思い込みを捨てれば、案外悪いものではないかもしれません。
人生、生き方については、多少の我を捨てて、柔軟かつ、幅広い視野を持っておくことが大切なのかもしれませんね。