今だからこそ学びたい戦国の転職王の生き様と矜持。『7人の主君を渡り歩いた男 藤堂高虎という生き方』を読む

7人の主君を渡り歩いた男 藤堂高虎という生き方

この男から学べることは数知れず。

江宮隆之著『7人の主君を渡り歩いた男 藤堂高虎という生き方』(KADOKAWA)の読書感想です。

この本について

一介の足軽から最終的には32万石の大大名にまで出世した戦国の転職王、藤堂高虎の生き様とその矜持について、熱く語られている本。

藤堂高虎は生涯7人もの主君につかえ、主君を変えるごとに出世。そのために、「ゴマすり野郎」とか「信頼できない男」など、あまり良いイメージをもたれていません。

しかしそれらは実はただの風評のようなもので、実際の藤堂高虎は信義に熱く、使えたボスには一所懸命に仕えた誠実な男というのが本書の藤堂高虎像。

もはや一つ会社にしがみつくのではなく、いろんな会社を渡り歩く生き様が一般化しつつある現代日本において、藤堂高虎がなぜ出世し、最終的に大成功できたのか。

それを学ぶことは決してムダではありません。

本書を読めば、なぜ藤堂高虎が一介の足軽から最終的には津の32万石の大大名になることができたのか、その成功の秘訣が分かります。

それは、現代に生きる私たちにとって、大きなヒントが隠されています。

感想など

読後、藤堂高虎のイメージがすっかり変わっていた本。

個人的に藤堂高虎といえば処世が上手い、ようは権力者を見定めて強い方に擦り寄る効率的、つまり風見鶏な武将のイメージが強くありました。

そのイメージは私だけでなく一般的なようで、例えば『信長の野望』などにおいては顕著。

藤堂高虎は「義理」が低くて「野心」が高い、すぐ忠誠心が下がってしまう扱いにくい人物としてパロメーターが設定されています。

ところが、本書を読むと、なぜ藤堂高虎が生涯7人もの主君を変えたのか。そして、その都度なぜ出世できたのか。

その理由が明快に分かります。

それを簡単にようやくすると、使える主人に対しては誠心誠意全力を尽くす。つまり自分ができることを100%以上の力で頑張る。

そして、それをきちんと評価してくれる主人に対しては、誰よりも忠誠心を示している。そして、人よりも+α、自分にしかできない力を磨き、他の武将と差別化する。

そんな努力家な一面が明らかになります。

大切なのは能力や才能だけではない!

特に印象的だったのが「仁の男」としての藤堂高虎。

本書では、藤堂家の旗(三つの餅が描かれている旗)のエピソードが登場しますが、これが感動的。

この話は、藤堂高虎が今で言う無銭飲食をしたときの話で、貧乏でお金がなく、腹減りの状態でぷらりと餅屋に立ち寄り、餅を食べてしまったのですがお金がないことに気づきます。

そして店主に頭を下げて詫びるわけですが、店主は「あんさん、気にしなさんな。このお金を持って故郷へおかえりなさい」といろいろ親切をしてくれます。

それに感激した藤堂高虎は店主への恩を忘れず、出世して大名になったとき、店主に恩返しをします。これが藤堂高虎の白餅→城持ちの逸話。

そのほか、藤堂高虎の豊臣秀長や徳川家康の忠義心など、藤堂高虎がただの空気を読むのが上手いだけの男ではないエピソードが満載。

誰に対して忠義を尽くすべきなのか。そして、誰に対して忠義を尽くさないのか。環境を変えるべきタイミングはどんなときなのか。

今の時代だからこそ参考にしたいヒントが満載です。

ということで、本書は個人的には藤堂高虎のイメージが一変した本。やっぱり、出世して成功する男は、それなりの理由があることを実感しました。

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