ビジネス人生の「まさか」に備えるプロフェッショナルの知恵。
小野展克、池田聡著『危機対応のプロが教える!修羅場の説明力』(PHPビジネス新書)の読書感想です。
この本について
ビジネスで必要な「説明する力」について、危機対応など実際的な問題をもとに、理解できる本。
ビジネスにおいてはトラブルは不可避。
問題なのはトラブルが起こったときの対応そのもの。うまく問題を処理できれば「災い転じて福となす」も可能。
ところが問題への対応を誤ると、その責任を取るハメになります。だからこそ大切なのが問題への対応力。
そのカギとなるのが「説明する力」。
本書を読めばこれこそがまさに、ビジネスマン人生の運命を生き抜く必須スキルとなることが理解できます。
以下、本書の読書メモです。
世の中の原則(P8)
ギブ・アンド・テイク。世の中はこの原則によって動いている。
自分が何かを手に入れたい。それなら自分からそれに見合う何かを差し出して交換する。
自分だけ何かを手に入れたい。自分だけ得をしたい。その姿勢では、世の中でうまくやっていくことはできない。
守破離に従う(P32)
物事の習得にはパターンがある。それが守破離。
ビジネスにおいて大切なのは情報の発信力であり、自分の考えや意見を正しく人に伝えることが必須。
その力を身につけるためには、まず形を身につけ、その後に形を破り、最後は自分のスタイルを身につけていくというステップを経る。
つまり、最初から自己流にこだわらず、上手く真似できる人を見つけ、それを参考に、自分のスタイルを作っていくことが大切。
ジョブズの伝える力(P37)
スティーブ・ジョブズがプレゼンの天才と言われるが、彼の特徴はまさに伝える力にある。
ジョブズの特徴は分かりやすさであり、まず最初に結論を示した上で、その根拠となる理由を3つ示す。
これによって、なぜジョブズが「この商品は素晴らしい」と力説するのか、観客は分かりやすく理解できる。
だからジョブズの説明に説得力を感じ、商品に魅力を感じる。
男なら持ちたい独立力(P108)
一兵卒として生涯を終えるのは男児の本懐にあらず。
実際に独立するしないは別として、「俺はこのままでは終わらないぞ」という気概を持つことが大切。
そこで必要なのが独立力。
それは「言いたいときに言いたいことを言える力」であり、言いたいことを言いたいときに言えない限りは、一生誰かに頭を下げて生きていく人生になる。
逆に、独立力があれば、相手が誰であろうと言いたいことを言いたいように言える。だから人生、自信を持って生きていくことができる。
情報の伝え方(P213)
情報発信で一番ダメなのは、誰にその情報を伝えるのかが絞りきれていないこと。
みんなに情報を伝えようとして、結局誰にもその情報が届かない。心に響かない。それが一番最悪なパターン。
大切なのは、たとえその情報を受け取ってくれる人が少なかったとしても、確実にその情報をキャッチしてくれるよう、層を絞って情報を発信すること。
つまり自分が誰に情報を伝えるのか。八方美人にならず、きちんと「対象」を絞ることが大切。
感想など
危機対応の本というよりは、ビジネスにおける様々な処世を「情報伝達」や「自己アピール」といった形で紹介している本。
大切なのは自分の振る舞いや言動が間違った形で「情報発信」されていないか、ということ。
世の中はいろんな捉え方をする人がいて、自分の振る舞いが意図せず、間違った捉え方をされることも少なくありません。
それがビジネスの世界においては致命傷になることもあり、だからこそ「伝える力」。
自分の考えや意見をきちんと人に伝えること。そのためには何が大切なのか。具体的にどうすればいいのか。
気になった方は本書がきっと、参考になることでしょう。