これが大人のための歴史教科書。『決定版・日本史』を読む

[増補]決定版・日本史 (扶桑社文庫)

日本という国がどのように成り立ち、どのような先人たちの手によって作られてきたのか。

それを知ることが日本人としての最低限の教養であること。

そして、大人が日本の歴史について俯瞰して理解できる本が渡部昇一著『決定版・日本史』(扶桑社文庫)です。

この本について

本書は上智大学名誉教授である故渡部昇一先生が、日本の歴史について通して語っている決定本。

日本人のメンタリティが作られた古代から始まり、武家政権が誕生した中世。

そして、織田信長から始まる近世の世。江戸徳川時代を経て明治維新。そして戦争と敗戦。今我々が生きている現代。

本書を最初から最後まで読み通すことで、今私たちがいる時代がどんな時代なのか。そして、これから日本人としてどのように生きるべきか。

まさに、過去を通じて未来を見つめるための一冊になっています。

以下、本書の読書メモです。

日本の先祖(P27)

日本人が一体どこからやってきたのか。そこには様々な説があるが、有力なのは南方説。

その理由は、

1・日本を作った民族は高床式住居(冬の寒さをしのぐより夏に涼しさを求める住居)に住んでいた。

2・日本人は米に対して異常に執着する。

3・勾玉の存在。勾玉は日本と百済にしか発見されていない。南からやってきた民族が一部は日本、一部は百済にたどり着いた。

神話でも、神武天皇らが船で海岸線沿いを進んでいったという話が残されている。

4・宗教の儀式で禊が重要視されていること。禊は水をかぶる儀式であり、南方の儀式。

この4つの根拠がその理由。

一時の情けが一族の滅亡を招く(P81)

平治の乱で勝利した平清盛の最大の失策。それは頼朝の命を助けたこと。

継母の頼みで情けをかけてしまったことが結局は、平気の滅亡という致命的な結果につながった。

この歴史から学んだのが徳川家康。甘い情けが後日の災いを招いたことを学んだ家康は、豊臣を容赦なく滅ぼした。

秀頼を自刃に追い込んだだけでなく、秀頼の小さい男児も殺したことは残酷だが、為政者としては正解。

災いの種はきちんと刈り取る。これが権力の世界であり、無駄な血を流さないための作法でもある。

平家討伐の原因(P84)

源氏による平家討伐のきっかけとなったのは、ほんとうに些細なことだった。

平宗盛が源頼政の息子の面目を潰し、それに怒った頼政が蜂起。頼政は敗死したが、彼の蜂起が結果的に、平氏滅亡の狼煙となった。

日本史の勝者に絶対必要なもの(P90)

日本においては戦いに勝つために必ず、大義名分が必要。それがまさに、錦の御旗。「我こそが官軍である」という証拠。

だから日本の戦いにおいては、天皇家を味方につけ、錦の御旗を手に入れたものが歴史の勝者となる。

近世の始まり(P126)

日本における近世の始まりは織田信長の登場だと考えられているが、実際は応仁の乱から近世が始まった。

応仁の乱によって、それまで日本の支配してきた権力者たちは失脚。公家や貴族、豪族の多くが力を失い没落した。

その結果、新たしい勢力が台頭。日本は新しい時代を迎えることになる。

なぜ豊臣家は滅びたのか(P155)

豊臣家滅亡の本当の原因は淀君。

日本歴史においては、女性が政治に口を出したとき、そこには必ず大きな変化が起きている。

頼朝の助命を嘆願した平清盛の継母。鎌倉北条政権の土台となった北条政子。応仁の乱の原因となった日野富子。

そして、豊臣秀吉死後政治に口を挟み、豊臣家を滅亡させた淀君。

女性が政治に介入し、良い結果につながったのは北条政子の例のみ。それ以外は、一族の滅亡や政治の混乱など、災いを引き起こしている。

歴史に大きな変化が起こるとき。そこには必ず、女性の影響がある。

感想など

学生を卒業して社会に出て長い時間が経ち、ふと学生時代に好きだった歴史をもう1度勉強したいと思い、まず通史と思って選んだのが本書。

時代の流れがまさに手に取るように実感できる本で、こういう出来事があったから時代はこう動いた。

そんな、歴史を理解する上で大切な、因果関係が非常にスッキリ、理解できました。

自分の学生時代の専門は英語で、当時は国際化。そのために語学。英語を話せることが国際人になることだとしきり言われた時代です。

ところが、自分がいろいろ経験していく上で気づいたのは、英語が話せること=国際人ではない、ということです。

では一体何が国際人としての教養なのか。そこで大切なのが歴史です。

一体、自分の故郷がどのような歴史によって作られてきたのか。どんな先人たちがこの国を作ってきたのか。

それを知らずして教養人を語るのはおこがましいことに気づき、語学だけでなく、日本の歴史。伝統文化に興味を持つようになりました。

この本を読んで気づくのは、日本人としてまだまだ知らないことがたくさんある、ということ。

日本人として知るべきことは何なのか。それに気づく第一歩として、本書はまさに入り口。

日本人として恥ずかしくないように、学ぶべきことを学びたい。そんな方におすすめの一冊です。

本の購入はこちら