自らの進むべき道は、先人の教えの中からヒントが見つかる。
渡部昇一著『人生の手引き書 壁を乗り越える思考法』(扶桑社新書)の読書感想です。
この本について
「知的生活の方法」等で知られる英語学者で評論家の渡部昇一先生の人生論。
人生は山あり谷あり、その中で頼りになるのが先人たちの教え。迷ったとき、壁にぶつかったときいかに生きるべきか。
これからの時代をいかに生きていくべきか、生き方のヒントが満載の一冊となっています。
以下、本書の読書メモです。
人のせいにしない(P17)
人は往々にして、自分の失敗や人生が上手くいかない原因を自分以外の何かのせいにしたがる。
そのとき頭を冷やして、上手くいかない原因は何なのか、本当に自分のせいではないのか、冷静に反省することが大切。
不満を変化のきっかけにする(P24)
不平不満があったとしても、それにグジグジしているだけでは現状は何も変わらない。
大切なのは不満に気がついたとき、その不満を向上につなげていくこと。解決策を考えて、問題を解決していくことに全力を注ぐ。
そうすれば、どんな不平不満も、自分を成長させるための大きな糧となる。
チャンスは3回やってくる(P32)
人生で大きなチャンスは3回やってくる。
人生1度や2度チャンスを逃しても、そこで諦めてはいけない。失敗しても、そこで絶望せずに「まだチャンスはあるさ」くらい鷹揚にかまえておくのが良い。
人生は長い目で考える事。もしチャンスが再び来たら、そのときは全力で食らいつけばいい。
自分に自信がない人の特徴(P53)
本当に自分に自信を持っている人は案外謙虚で、ちょっとやそっとのことでは動じない。
一方自分に自信がない人は一見プライドが高そうに見えるが、その裏には劣等感が潜んでいる。
そのため、ちょっとしたことに反応し人につっかかったり、激怒して攻撃してきたり、振る舞いに余裕がない。
もし、人の些細な言動が気になったり、他人の行動にすぐ反応してしまう場合、その裏には不健全な劣等感が潜んでいる。
一度その劣等感がどこから来ているのか、じっくり考えてみること。そして、その劣等感を+のエネルギーに変えること。
仕事と遊びの違い(P94)
仕事は最初は難しくても、取り組むうちにどんどん面白くなっていく。一方遊びは、最初は面白くても、やればやるほどどんどん飽きていく。
ここが仕事と遊びの決定的な違い。
お金について(P112)
お金はその人を写す鏡。お金の使い方でその人の人間性が分かる。この意味で、お金は人の本性を分かりやすく暴いてくれる絶好のツール。
好きな道を行け(P132)
職業選択のヒントについて。仕事には流行の仕事、将来性がある仕事、堅実な仕事。いろんな選択肢がある。
「どんな仕事に就けば稼げるか、将来得をするか」を考えて仕事を選ぶのも一つの考えだが、長い人生、何があるか分からない。
どうせなら、自分が好きなこと、興味がある仕事を選ぶのがいい。本当に好きで選んだ仕事なら、どんなことがあっても我慢できる。
仕事については、周りの動向や世の中の流行より、好きなのか、やりがいはありそうか、自分の心と相談して決めること。
周りから浮いている人(P144)
周囲とズレを感じて、どうにも溶け込めない人、浮いている人というのは、実は自分の世界観を持っている人。
人間関係ではいろいろ苦労するが、そのズレを大切にすることで、その人独自の人生を送ることができる。
だから周囲とどうしても合わないとき、ズレを感じるときは、自分を押し殺して我慢するより、ズレを大切にした方がいい。それがどこかで必ず生きてくる。
できない理由を探さない(P175)
人は何か問題にぶつかったときはつい、できない理由を探してしまう。それはいわば心の壁で、それを乗り越えられるかどうかで、その後結果が変わってくる。
どうしても上手くいかない状況に陥ったときまず乗り越えるべきは自分の心の壁。できない理由を探すのではなく、どうやったらできるようになるのか、そこに意識を向けること。
そして、今すぐできることを見つけ、それに着手していくこと。そこから「不可能」が「可能」になっていく。
運について(P196)
運は頑張る人に味方する。
何の努力もせず何かを得ることはできない。長く多くの積み重ねを続けるほど、素晴らしい偶然に巡りあう。こうして運は頑張る人を応援する。
「待つ」という選択(P199)
物事にはタイミングがある。動いてよいとき、じっとしている方がいいとき、いろんなタイミングがある。
動いてはいけないタイミングを我慢して、じっとチャンスを待つ。人生にはそんな忍耐強さが必要。
待つことは退屈でイライラしてしまうが、ここで我慢して自分を磨き続けていれば、時はやがてやって来る。
感想など
「時代が変われど、人が生きていくということは昔とそれほど変わらない。結局どんなときも大切なのは、正しい心構えを持って、最善を尽くしていくことなのかもしれない」
読後そんなことを考えた本。
「挫けそうになったときに読む導きの書」という帯書きの通り、人生で日々経験する様々な事柄について、背中を押されるような暖かいメッセージが満載。
人生訓でありながら決して説教臭くない、心にスッーと入ってくる不思議な本で、「ようし、また頑張ろうかな!」と、前向きな気持ちになることができます。
自分の脆弱さに気がついたとき。壁が現れ前へ進めないとき。周囲とズレを感じて息苦しくなったとき。重要な決断をしなければいけなくなったとき。
まぁ人生、いろんなことがありますが、そんなときはこの本の出番。この本のページをめくると、そのとき必要なメッセージを見つけることができます。
人生それぞれの時期この本を読んでみると、きっと心に響く何かが見つかる。そんな本だと思います。