大切なことは、できることを少しづつでもやっていくこと。
城山三郎著『少しだけ、無理をして生きる』(新潮文庫)の読書感想です。
この本について
『落日燃ゆ』や『男子の本懐』で知られる作家、城山三郎さんの人間論エッセイ。
魅力的な人とはどんな人か、人が生きていく上で大切にすべきことは何なのか、考察を深められるエッセイが満載です。
以下、本書の読書メモです。
魅力がない人(P13)
魅力がある人は定義しにくいが、魅力がない人は分かりやすい。
魅力がない人は型にはまった人で、置かれた立場の通りに生きているような人。ヒラのうちはヘコヘコしているけれど、出世すれば態度がでかくなる、そんな型通り、ステレオタイプな人。
運命について(P24)
人は自分の性格の通りの出来事と出会う。
暴力的な男は暴力的な環境を引き寄せ、そして事件を起こす。女好きな男は、自らの助平心によって悪い女を引き寄せ、それによってトラブルを起こし、世間の評判を落とす。
原因があって結果あり、原因は本人の性格が元となっている。
こんな男だからこんな事件があり、こんな人生になる。あんな女だからあんな事件が起こり、あんな人生になる。これが運命の真実。
魅力的な大将とは(P44)
リーダー論について。優れたリーダーたる条件は2つある。
1つは先見性があり大局をつかむ視野を持っていること。もう1つは、相手の懐に飛び込める人間力があること。
この2つの条件を備えた人が、将たる器を持っている。
人間として大切なこと(P67)
人として大切なのは、人から信用される人になること。
失業など人生の失敗は取り返すことができるが、人からの信用を失えば、それを取り戻すことは容易ではない。
人を裏切り、信用を奪うようなことは、絶対にしてはいけない。
人生の心構え(P140)
人生は晴れの日のみにあらず。ときに大嵐、荒れた日々が続くこともある。晴れの日だけでなく雨の日嵐の日、人生いろんな日を乗り越えられるよう、日々準備しておく。
人間を支える3つの柱(P165)
人は己の力のみで立っているわけではない。次の3つのものに支えられて、生きている。
1・自分の世界
2・人との親密さ
3・仕事の達成感
自分の世界を持ち、それを大切にする。それだけでなく、周囲の人と良い関係を持つことで、人は自分の居場所を見つけ、精神的に安定する。そして、自分のすべき仕事をきっちりする。
この3つの柱がしっかりしていることで、人はがっしりと、生きていくことができる。
感想など
生きていく姿勢、人としての在り方について考えてしまう本。
今のまま、そのままではダメ、かといって苦行、難しすぎることは続かない。だから、昨日よりも今日、ほんの少しだけ頑張ってみる。
そして時々、日々の暮らしを振り返って、自分のしてきたこと、振る舞いを反省してみる時間を持つ。
そうやって、じっくり、自分のペースで前へ進んでいく。急ぐ必要はないけれど、毎日ほんの少しだけでも、よりよくなろうとする。
こんな気持ちの持ちようが、長い人生、大切なのかもしれませんね。