突然振りかかる理不尽クレームに負けない方法をこの本で。
川田茂雄著『社長をだせ!実録クレームとの死闘』(宝島社)の読書感想です。
この本について
クレーム処理についての本。
20年以上、企業でクレーム処理を担当してきたという著者の経験をもとにクレーム処理の鉄則をノウハウ化。
言いがかりやトンデモクレームにはどう対応するか、実践的な対処法が勉強できる内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
クレームは事実の徹底究明がポイント(P38)
相手がどんなに「おかしい」と思えるクレームをしてきても、頭から否定せず、事実を究明することが大切。
クレーム処理の過程で、商品の問題点や、品質向上につながるヒントが見つかることもある。
確信犯には毅然と対応を(P61)
商品に問題がないのに確信犯的にクレームとつけてくる「いいがかり」相手には下手に出てはいけない。
世の中には、「オレはお客様だぞ」と傍若無人、非常識な言いがかりをつけてくる人間がいる。
「こいつは反論してこないな」と思われると、彼らはとことんつけあがる。
一度でもなぁなぁな態度で対応してしまうと、定期的に言いがかりやクレームをつけてくるようになり、後始末が面倒になる。
彼らを相手にする場合は、遠慮なく警察に相談し、いざという時は営業妨害で逮捕できるよう、証拠を積み上げておく。
「おかしい」と思うことには毅然と対応するのが重要。
クレーム形態と人間性(P94)
クレームを出してくる人間の性格とクレームの出し方について。
・金品要求型(たかり屋系)
→ゴネ得。クレームで最も多いタイプ。
・謝罪要求型
→プライド回復。相手を謝罪させることでスッキリしたいタイプ。
・高品質要求型
→神経質。傷や品質に異常なこだわりを持つマニア系タイプ。
・新興宗教型
→相手を教育したい、思い通りにしたい。
「君たちは企業としてどうなのかね?間違ってるところを正してあげよう」というような態度で、こちらを「教育」しようとするタイプ。
・特別扱い要求型
→上位者の説明や謝罪を求める。「上司をだせ、社長をだせ!」的なタイプ。
・クレーム生きがい型(愉快犯)
→クレームをつけるのを楽しむ。企業に言いがかりをつけるのが目的のタイプ。
結局目的はたかりなので、この場合は対応や相手の言動を常時録音、いつでも警察に差し出せるような状態にする。
サイレントクレーマーを大切にする(P182)
世の中には、不満があってもクレームを出さず、黙って去っていくサイレントクレーマーがいる。
彼らこそ大切にすべき相手であり、サイレントクレーマーを出さないよう、商品の品質や問題点については、アンテナを張り巡らしておくこと。
感想など
クレーム処理を実例豊富にタップリ勉強できた本。
「企業のコールセンターの仕事は離職率が高くストレスが半端ないらしい」と聞いていますが、この本を読むと、それは本当そうです。
カネ目当てに嘘八百、ゆすりたかりで人間性を放棄した人、勘違いして激昂する人、クレーム処理は人間のダークな部分を垣間見る仕事なのかもしれません。
とはいえ、サイレントクレーマーのように、いい人(良い客)ほど何も言わずに去っていくという難しい現状もあります。
本当に声を聞くべき声を「言いがかりクレーム」と処理してしまっては、クレーム処理に意味がありません。
おかしな声を上げてくる人と、しっかり話を聞くべき人、その見極めが大切なのかもしれません。