「何かが足りない」ときにこそ内面の富に目を向ける。
加島祥造著『老子と暮らす―知恵と自由のシンプルライフ』(光文社知恵の森文庫)の読書感想です。
この本について
老子の教えをもとにした人生についての心構えが説かれた本。
慌ただしい生活の中、お金など物質面への欲求をふくらませがちな現代で、本当の意味で豊かに暮らすにはどうすればいいのか。
シンプル、かつメンタルリッチに暮らすためのヒントが満載の内容になっています。
以下、本書の読書メモです。
大切にすべきは心の声(P57)
自由であることは自分の心の声に素直に従えること。自分がしたいと思ったこと、感じたことを自然にできること。
そうすることで、人は「生きている」と実感できる。
独居の価値(P60)
一人暮らしは寂しい、孤独というイメージがつきまとうが、一人で暮らすことにはいろんな良いところがある。
まず、一人で暮らすことによって、本当に会いたい人、付き合いたい人とだけ付き合える。
人間関係を自分で主体的に選別できるので、より人間関係を大切にできる。
また、一人で暮らすことで、人と過ごすことの意味をより実感でき、新しい出会いにも積極的になる。
寂しさを知らなければ人のいることの良さが分からない。一人暮らしは良い人間関係を築くためのチャンスでもある。
出会いはタイミング(P84)
出会いには適切なタイミングがある。
どんな良い人、良い本、良い機会と出会っても、タイミングがあっていなければ、その時点ではあまり意味がない。
どんな人にも出会いのタイミングがある。それに法則性はなく、ただ自分の感覚が、そのことを教えてくれる。
「ピン!」と来る何かとの出会いは、それがタイミングがあっているということ。その出会いを大切にすべし。
足るを知ること(P176)
足ることを知ることは自分の内面から精神的な富を見出すこと。物質的な豊かさではなく、精神の豊かさ、深さを知ること。
感想など
初めて呼んだ著者の本『わたしが人生について語るなら』が「ピン!」ときたので、別の本をサーチ。
→「楽しい」という感情が教えてくれること。『わたしが人生について語るなら』の読書感想
タイトルが気になったこの本を読んでみることに。
この本は老子の教えをもとに、著者が自分の人生訓を語ったエッセイ的な本。
「こうすべき」的な内容は一切なく、自分の心をみつめ、そこから自分なりの答えを見つけていく、そんな感覚の本です。
シンプル、無為、足るを知る、老子は原著で読むと難しくてなかなか理解できません。
だからこそ、その教えは現代だからこそ、ジーンと心に染み入ってくる何かがあります。
特に個人的に興味を感じているのが「足るを知る」という考え方。
私は20代の頃に「こういう仕事をして暮らせれば幸せだ」と思っていたことが実現できて、その暮らしを楽しんでいます。
が、実際にその暮らしを実現してみると、「何かが足りない・・・」という気持ちが湧いてきます。
収入面ではもう少し頑張りたいけど、時間の余裕、やりがい、仕事の楽しさ、それ自体はほぼ理想。
20代の頃、どん底のどん底にいた自分からすれば、本当に運がいいと思います。でも、何かが足りない。物足りないところがあります。そのことが意外でした。
「こんな暮らしがしたい」と目標を持って頑張る。そして、完璧とは言わないものの、その近いものを実現できる。
ところが思っていたよりも面白く無い、満足できない。
こんなことを経験、人生、目標を決めて頑張って、それを実現しても、結局どこかに不満を感じて満足できなくなってしまって、新しい方法を模索している途中。
こういうわけで、シンプルな暮らし、「足る」を知る暮らしに興味を持ちましたが、足るを知っても頑張る気がなくなってしまう気がするのも正直なところ。
まぁ、40、50と年を取っていけば考えが変わるのかもしれませんが、何事もタイミング。
この本に書かれているとおり、「心の声」を大切に、最善を尽くせればいいかなと思っています。